第10話 In a tender cage 2
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振り絞るような声の語尾が、震える。
「小さな頃から半妖だからと皆に虐げられていた私を不憫に思って。私を傷つける者達が入ってこられないように。私は、傷つけられる場所に行ってしまわないようにと…この家を、世界から切り離したんです。」
「だから!」
耐え切れなくなって思わず出した大声が、辺りに響く。
三蔵の鋭い視線に真っ向から射抜かれるのを感じて、唾と一緒に続きかけた言葉を飲み込む。
『でもだとすると、妙ね。』
空気をことごとく無視した長閑な口調で疑問を呈した春炯が、思案顔で顎に手を添えた。
『どうして、私達はここにいるのかしら。侵入者を拒むと言うのなら、この家に近づく事も出来ない筈よね?なのに、こうしてここにいる。それどころか、家を離れる事が出来ない状況に陥っているなんて…。』
「確かにな。」
不機嫌そうに唇を歪めた三蔵が、煙を吐く。
「或いは、別の何かを求めていたのかもしれんな……。だが、結界を張ったのがあの母親では今となっては確かめる事も出来んか。」
「そ、そうですね……」
擦れた声でそれだけ言った流華を見ていた三蔵が、懐から新しい1本を取り出す。
「ならば、これ以上詮索する意味はない。何を求められていたのかは分からんが…俺達には期待に応える術もなかろう。」
『余計な事を聞いてしまったわね。』
すっと背を向けた三蔵に目をやった春炯がもう一度頭を下げ、その後を追って歩き出す。
「テメェも早く来い。ま、残りたいってんなら止めはせんがな。」
飛んできた冷めた眼差しにぐっと、顎を引く。
……面倒くせえ。