第10話 In a tender cage 2
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「ンだとコ――…」
再び声を荒げかけた悟浄が、音もなく背後に忍び寄った八戒に羽交い絞めにされる。
「今横槍を入れると、話がこじれますから。」
逃れようともがいた悟浄がでも、三蔵と流華の様子にその動きを止めた。
顔色を窺うような上目遣いでは、あるけれど。
真っ直ぐに三蔵を見る紅い瞳に浮かぶ感情が先までとは、異なっていた。
「謂わばアイツの自業自得だ。生まれの問題じゃない。だからアンタがアイツみたいなロクデナシじゃないのなら、怯える必要はない。アンタが俺達を傷つけるつもりじゃないのなら、俺達もアンタを傷つけたりはしない。分かるか。」
ゆっくりと紡がれる低い声に、流華がぎごちなく頷く。
「誤解が解けて何よりです」と悟浄から手を離した八戒が、彼女に歩み寄る。
「でも残念ですが、僕達はもう行かなくてはならない。これでお別れです。貴女のおかげで、風邪を引かずに済みました。ありがとうございます。」
「スープ旨かった。サンキュな!」
からりと笑った悟空が、すでに数歩先を行く八戒の背を追いかけて歩き出す。
突然の事に呆気にとられている流華と、そして似たような表情を浮かべて立ち尽くしている悟浄を見る。
『そういえばこの結界は、何の為に張られているの?』
横手から向けられる三蔵の視線を感じながらそう問うと、流華の頬が微かに強張った。
『少し、気になって。言いたくなければ構いません。』
数度口を喘がせた流華が「母が……」と拳を強く握ってこちらを仰ぐ。
「母が、張ったんです。」