第10話 In a tender cage 2
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「この程度の結界で、ジタバタ騒いでんじゃねえよ。」
「誰がいつジタバタしたよ!テメェが鈍感なだけ…って」
目を見張った悟浄を見下ろした三蔵が、袂を探る。
「…気づいてたのか?」
「俺を誰だと思ってる。」
言いながら煙草を銜えて火を吐けた三蔵が、何故か隣を見やる。
『調子が悪いから無理。ごめんなさい。』
いつになく固い声でそう告げた春炯を見返しながら一服吐いたその目が僅かの間そこに留まり、外れていく。
謎の会話とも言えないやりとりを見守るしかない自分達を他所に三蔵が一歩、流華に歩み寄る。
「俺達の命を狙った……ってワケじゃなさそうだな。」
「……え?」
伏せていた顔を上げた流華が三蔵と目が合った途端、逃げるように目を伏せた。
「流華…だったな。アンタ、そんなに俺達が怖いか。」
俯き、黙したままのその目が彷徨いすがるように悟浄へと注がれるのが分かった。
「成る程な……」
得心した様子で呟く三蔵に口の端だけ笑い、短く息を吐く。
この霧の正体が
「安心しろ。俺がそこのバカを殴るのは、紅い髪をしているからじゃない。アイツが、どうしようもないごく潰しだからだ。」
分かったような気がして。