第10話 In a tender cage 2
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『………』
開いた目に映る天井を、見返す。
つい数秒前までそこを見ていたような気がする程眠りが浅かったのか、深かったのかを判別する術はない。
ただ、夢は見ていたのだろうと思う。
夢を視た後とは違う感覚が、躯に残っていた。
目を擦りながら身を起こすと、控え目な陽の光が額を撫でる。
健やか極まりない目覚めに息を吐いて周りを見回し、ある一点ではたと止まる。
主のいないその場所には夕べ、悟浄が寝ていた筈だ。
煙草でも吸いに行ったのだろうか。
置かれた状況を考えれば単独行動は必ずしも望ましい事ではない。
そう思って立ち上がりかけた時、床に触れた手首を軽く掴まれる。
『……おはよう。』
無言で起き上がった三蔵が粗野な動作で髪をかきあげ、「八戒」と声を掛けた。
呼びかけに応えて瞼を開け軽い伸びをしながら起き上がるその一連の動作は、最初から起きていたのかと思う程に優雅だ。
「おはようございます。……もう事件は起こった後というワケですか。展開が早いですね。」
向けられた微笑にその意味を遅れて悟り、口元を緩める。
『誰にでも優しいのね、女性には。』
「弱いだけだ」と鼻で笑った三蔵が法衣の帯を絞め、苦笑した八戒が悟空を起こしにかかる。
『…嫌いじゃないわ、私は。』