第10話 In a tender cage 2
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「起きろ、三蔵。目を覚ませ、オイ。八戒、起きろっての。」
どれだけ乱暴に揺すぶっても叩いても、怒鳴りつけても効果はない。
「悟空、起きろ。飯だ。ぐずぐずしてるとなくなっちまうぞ…」
そんな言葉を悟空に掛ける頃には完全に、勢いを失っていた。
救いを求めるような思いでその横で昏々と眠っている春炯を見やり、指先でその頬に触れる。
陶器のように滑らかで温かい肌はでも、それだけだった。
「…どうなってんだ…」
拳を握りこんで舌打った脳裏に、流華の声が蘇る。
――私を守る為だからって…
まさかコレもそうだと言うのか。
「~くそッ」
立ち上がり、部屋を飛び出す。
荒っぽい足音を響かせながら行く廊下の先に、ひとつのドアが見えてくる。
母は、もう言葉を理解出来ない程に衰弱しているんです
それでも。
無理でもなんでも、結界を解いてもらわなくてはならない。
勢いもそのままに手を掛けて押したドアノブはだが、上下するだけ。
瞬間頭にカッと血が昇り、口内に金臭い味が薄く広がる。
蹴破った扉が音を立てて内側に倒れ、室内の空気が一気に
顔にぶつかってくる。