第10話 In a tender cage 2
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呆気にとられていた悟浄さんがややあって舌打ちを堪えるようにして顔を歪め、髪を掻き毟った。
「で。どうすりゃこの結界を解いてくれるんだ?」
向けられた鋭い視線と噛み付くような問いに、肩が揺れる程に竦んでしまう。
「わ、私にはどうにも……母の術ですから。」
「じゃあ、アンタの母さんに挨拶すりゃいいワケか?」
皮肉半分冗談半分のその問いすら私には、どうにも出来ない。
貴方みたいに口元を歪めて自身を嘲る事は
「無理です…。母は、もう言葉を理解出来ない程に衰弱しているんです。私の言葉は届きません。例え届いたとしても、術をコントロールする事なんて出来るワケない…」
そんなに強くは、なれない。
「はァ?」
一層顔を険しくした悟浄さんから逃げるように、後ずさる。
「す、すみません。あの、私…朝食の用意を……お野菜を取りに行ってきます……」
最後まで言い終わらないうちに背を向け、家の裏手へと駆け出す。
何も出来ない。
――流華
「――っ」
私じゃない。
私がしたんじゃない。
私が、望んだんじゃない。
「……ぁたしじゃない…」