第10話 In a tender cage 2
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悪意しかない言葉に、嫌悪しかない視線。
向けられる数多の意思にさらされて私は多分どうにも、ならなかった。
だけど
だからって――いいえ、違う。
例え違ったとしてもでもきっとわたしには、どうにも出来なかった。
望んだわけでもないのにこんな風に、こんな在り様で。
「貴方はどうだったんですか?」
微かに眉根を寄せてこちらを見上げてくるのに、問いかける。
「…貴方も、辛い思いをして生きてきたんでしょう?」
目を伏せた悟浄さんが、ややあってまた口元を、微かに歪める。
「俺は……」
揺らめいて漂うその溜息のような紫煙が、間を
「忘れちまったな。」
「忘れ…」
流れていく。
「…た?」
拍子抜けするような返答に、身体を後ろに引かれた様な感覚を覚える。
「……忘れてしまうような、思いしかしてこなかったって言うんですか…?」
「そうかもしれないな。」
「……そう…。私とは、違うんですね……。」
どこか遠いところで自分の声がそう言うのが、聞こえた。