第10話 In a tender cage 2
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何の前触れもない目覚めは驚く程唐突で、静かにやってきた。
「………」
開いた目に映る天井を、つい数秒前まで見ていたような気がする程眠りが浅かったのかそれとも、逆に深かったのか。
体を起こして欠伸をしながら見回した部屋の中は、平穏そのものだ。
こちらに背を向けている三蔵の向こうには、悟空と春炯が仲良く並んで寝ている。
健やかそのものといった寝顔をさらしている2人は血縁関係などない筈なのに、不思議とよく似ていた。
「…っつーか…」
すうすうと行儀良く枕を頭に載せて寝ている悟空に信じ難いような、呆れたような思いを抱きながら頭を搔く。
隣で寝ている人間によって寝方が大人しくなるなどという事が本当にあるのだろうか。
事実目にしてしまっているのだから、信じる他ないのだろうが。
辺りはまだ薄暗く、窓の外から射し込んで来る朝の光りは明けきらない夜の色をつれている。
微塵も起きる気配のない4人を見ながら暫くぼうっとしていたが、寝なおす気にはなれず立ち上がり、部屋を抜け出す。
「やっぱダメになっちまってるか。」
玄関から外に出るなり取り出したハイライトは、予想に違わずものの見事に雨水を吸ってしまっていた。
指で摘まむだけで、雫を滴らせる有様なものが、大半。
「しゃーねえ。」
被害の少ないものを選んで銜え、ライターで火を点ける。
ようやくついた煙草の煙を思い切り吸い込み、長く息を吐いた。