第9話 In a tender cage 1
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『………』
「どうしました?」
むくれたように口を軽く尖らせていた春炯が、ハッとしたようにこちらを振り仰ぐ。
『あ、や…その……うん。何でもない。』
まだまだ知り合って、間もないけれど
多分。
一瞬だけ、その大きな瞳に迷うような色が浮かびつと逸らされる。
よく人を、見ている。
「こちらの部屋には近づかないで下さい。」
振り返った流華に習って足を止め、示されたドアに目を向ける。
「母が寝ていますので。」
「わかりました。夜も遅いですしね。」
『明日の朝、こちらを発つ時に改めてご挨拶をさせて頂ます。』
「いえ…必要ありません。母は、もう随分前から、寝たきりなので。」
微かに頬を強張らせたまま目を伏せ、歩き出すその背中を同じように眺めていた春炯の背に軽く触れて、歩みを促す。
「何?二人共、どうかした?」
「「なんでもねえ。」」
「…春炯。」
不機嫌そうにそっぽを向いたままの悟浄をじっと見つめるその面差しに知らず、頬を緩めた。