第9話 In a tender cage 1
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「で、でしたら私…お布団の用意してきますので……」
おどおどと言って踵を返そうとした流華に、三蔵が息を吐く。
「だから、そういう必要がないと言っている。」
『そうですよ、流華さん本当に。大丈夫ですから。』
「そうそう!それよりまた明日の朝うま゛っ――~」
再びハリセンを喰らった悟空が、今度は口元を抑えて蹲る。
「部屋だけはたくさんありますから、気にしないで下さい。それに、こんな所に寝ていられたら、やっぱり困ります。」
うつむきがちに言って家の奥へと駆け出そうとするのを呼び止めた三蔵を訝しげに思っていると、何故か顎で示される。
「手遅れになる前にひとつだけ忠告しておく。」
「?」
「コイツは女と見れば見境がない。充分注意する事だ。」
流華の視線を痛い程に感じながら、口の端に刹那の笑みが浮かぶのが分かった。
しかし恐らく眉根には、深い皺が刻まれていただろうと思う。
「根も葉もねェ事言ってんじゃねえ、クソ坊主。」
「自分のした事も記憶しておけんのか、アホ河童。」
『もぉお…。すみません流華さん、気になさらないで下さいね。』
「仕方のない人ですね」という心の声が聞こえてきそうな表情を浮かべた八戒の顔を見ないようにして、椀に口をつける。
野菜を煮込んだ、素朴な味のスープ。
確かに優しく柔らかなその味に、体が芯から暖まったような気がした。