第9話 In a tender cage 1
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八戒の悪徳セールスマンもびっくりな訪問とどちらが良いか。
頼まれる立場になって考えてみればそれはどっこいどっこいだし結果は多分、そう変わりない。
仮に家主が野郎だった場合、幾らか春炯に分があると言ったところだろう。
「雨が止むまででも、いいんです」と援護した八戒の背中に隠れた今回の家主はしかし、女だ。
扉に隠れるようにして立つその姿を見ようと、首を伸ばす。
「で、でも…」
家の中だというのに目深にフードを被っているせいで、顔立ちはよく分からない。
ただ、突然の来訪者を警戒する様に忙しなく動く目だけははっきりと見えた。
紅い
『やはりご迷惑でしょうか。』
瞳。
交わされた視線に息を詰めた一瞬、その目も僅かに見開かれたような気がして。
『…あの?』と気遣う響きを伴った声に、女が顔を伏せる。
「あ、いえ……その…」
言葉が途切れた後に、長く息を吐く音。
それから吐いたのと同じだけ吸い込む音が続き、ついで意を決したように上げられた顔にはぎこちない笑みが浮かべられている。
「ど、どうぞ。中にお入り下さい。」
僅かに覗いた前髪もその瞳と同じ、鮮やかな紅い、色をしていた。