第9話 In a tender cage 1
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『え、私?』
小さく目を見張るのを見返し、微笑む。
「ええ、やっぱり女性の方が印象が柔らかいですし。応対して下さる方が女性であれ男性であれ。」
「「「………」」」
「率が上がります」と付け加えると春炯以外の三人の視線を感じたが、当の本人は『それもそうね』とこくりと首を縦に振ってくれた。
「ありがとうございます。」
言いながら場所をあけ、その斜め後ろにつく。
コンコンと遠慮がちな音が、多分に湿り気を含んだ夜の森に溶けるように響く。
『………』
もう一度同じ動作を繰り返した小さな頭が、耳を澄ますように僅かに傾く。
「空き家なんじゃねーの?」
「もう寝ているのかもしれませんね。」
『じゃあ、これが最後ね。』
そう言いながら再び拳をドアにつけようとした春炯が、その寸前で動きを止める。
「……なんでしょう。」
小さな音をたてて細く明けられた戸の影から、消え入るような女性の声が問う。
『夜分にすみません。近くで野宿をしようとしていたのですけれど、雨に降られてしまいまして…出来れば一晩、雨宿りをさせて頂けないでしょうか。物置でも何処でも構いません、お借り出来ないでしょうか?』
真摯に現状を説明し、慎ましやかな望みを伝える涼やかな声。
邪魔をしない程度に”人当たりの良い”と称される笑みを、刷いた。