第9話 In a tender cage 1
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なんだろう。
なんだか妙に、心が浮き立つ。
『悟空?』と不思議そうに名を呼ばれ、ふるふると首を降る。
――…変わらんな
そう言って目を伏せて、口許だけで笑った三蔵だけじゃない。
まだ少ししか、一緒の時を過ごしたワケじゃないのに。
どうしてだろう。
春炯から髪紐を受け取った悟浄が、走りながら器用に髪を結わく。
「っつーかもうさ、パンツまで雨が染み込んでんのよ。気持ち悪ィ~…」
「5分と我慢出来ねェのか。悟空でさえ黙って走ってるのに。」
「コイツは、喋ったら腹が減るとでも思ってんだろ。」
「てねェよ!」
心外な物言いに憤慨したその時、目に映る景色が大きく変わった。
驚いて思わず足を止めると、白く冷たい空気が肌を撫でる。
突如として立ち込めた霧に巡らせていると、三蔵がぼそりと呟くのが聞こえた。
「厄介な霧だな……」
なんとなくやった隣の春炯の横顔は常になく、緊張を湛えているように見えて。
「しゅ「なあ。あれ、明りじゃねェ?」
訝しげに眉根を寄せた悟浄の示す方向に、成る程確かに、ぼんやりと小さな光が見える。
「確かに明りのようですけど……どうします?」
「いいんじゃねェか。こんなところをあてもなく走り続けるよりは、マシだろ。」