第9話 In a tender cage 1
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照れ隠しだろう、三蔵に食ってかかる悟浄に気づかれない程度に笑い、意気消沈している悟空の背を軽く叩く。
「……しょうがありませんね。明日は少し早めに出発して、町に急ぎましょう。ジープにもいつも以上に頑張ってもらわないと。」
パタパタと飛んできたその翼を撫でながら言ったその時、ポツリと雫が頬を打った。
『あ…』
皆がほぼ同時に空を仰ぐ。
ついさっきまで浮かんでいた上弦の月がいつの間にか姿を消したそこに広がる、厚い雲。
誰からともなく走り出した途端、バケツをひっくり返したような音が周囲を圧する。
『ひゃああー』
「くそっ、土砂降りじゃねェか。」
長い髪を振り払った悟浄が、雨にも負けずに舌打つ。
「てめェが説教なんかおっぱじめっからだぞ、三蔵。」
「走りながら寝言言ってんじゃねェよ。」
「そうだぞ、三蔵は説教なんてしてねーじゃん。いつも通り銃ぶっぱなしてただけで。」
後ろを走っていた悟空の一言に、三蔵の眉間に刻まれた皺が更に深くなる。
「……成る程。つかじゃあ春炯、お前のせいだな。余計な予言しやがって。」
『え、私!?』
声を上ずらせた春炯に、悟浄が愉快そうに笑う。
「巫女さんですしね」と言って振り返りながら乗っかると、悟空の隣を走るその秀麗な顔が子どもっぽくむくれた。
『……この雨はすぐ止むでしょう。今すぐ止みます。もう止みます。これでいい?』