第1話 Begin again
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「「………」」
抱き合って身を縮こまらせた後部座席二人組に向けられたのはしかし、殺気を孕んだ視線だけだった。
それは”だけ”、と言うには憚られるモノではあったけれど。
少々意外に思って、目だけで隣を窺う。
無言で両の袂に手を突っ込んで座りなおすその横顔はいつも通りではあるのだが。
まぁ何にせよ、良いことに変わりはない。
「…おい猿、お前手に持ってたカードどこやったんだよ?」
「だから猿ゆーなっつって……あれ?」
「まァた失くしたのかよ」と呆れた口調で足を組み替えた悟浄に、きょろきょろと辺りを見回していた悟空がばっと顔を上げる。
「っ元はと言えば悟浄がっ」
「ンだよ、人のせーかよ?」
「まぁまぁ」と口にしながら、前方に見えてきた巨大な岩くれを見やる。
「もう少し行けば町に着きますから。」
「マジっ」
「予定より早くね?」
「確かに――「「うおッ!?」」
ハンドルを抱え込むようにして切り、タイヤで大地を削るようにして急停車する。
「見つけたぞ三蔵一行!」
振り仰いだ先から降ってくる、毎度の台詞。
「経文と貴様らの命、いただいていく!」