欲を食らわば墓まで
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「見て、海面が煌めいて凄く綺麗!」
目的の由比ヶ浜海水浴場へと辿り着き、名前は目を輝かせながら海辺へと走り出した。十月なので、海水浴をしている人は居らず、ゆったりと落ち着いている。
「折角だから裸足で歩こうかな。隆也はどうする?」
「オレは……」
別に良いやと言いかけて飲み込む。断ると雰囲気を壊してしまいそうだ。
「オレもそうするわ」
そう言って、二人で靴と靴下を脱いで、波打ち際を歩き出した。砂に足を取られて歩きにくいが、それも良い思い出になるだろう。
「あっ、シーグラスだ」
彼女はしゃがみ込んで砂を漁り、水色の石のような物をつまみ上げた。
「なんだそれ?」
「ガラス片だよ。波に揉まれて角が取れて、すりガラスみたいになるの。綺麗でしょう?」
名前はニコニコと嬉しそうに笑う。海に来てからずっと笑顔で、はしゃいでいる姿が可愛い。そう思いながら彼女の隣へと並んでしゃがんだ。
「そうだな。お、これもシーグラスか?」
オレンジ色のすりガラス片を見つけて、それを拾い上げる。名前に見せると目を丸くして、それから興奮気味に口を開いた。
「凄い!オレンジ色のシーグラスなんて初めて見たよ!」
あまりにも嬉しそうにするので、思わず笑みが零れる。それから暫くシーグラス集めをしていると、様々な色と形のそれが集まった。
「ふふっ、いっぱい集めたね。私は持って帰るけど、隆也はどうする?」
「コレ持って帰ってどうするんだ?」
「思い出として飾ったり、アクセサリーにするよ」
アクセサリーにしたいと思うほど、こいつはこのガラス片が好きなのだろうか。
「それじゃあオレの分もお前にやるよ。オレが持ってても仕方ねえからな」
「良いの?嬉しいよ。ありがとう」
彼女は明るく笑うと、それをハンカチで丁寧に包んで、鞄の中へと入れた。
「お前、よっぽど海が好きなんだな」
「うん。中でもこの由比ヶ浜は思い出の場所なんだ。幼い頃に家族と来て、凄く楽しかったの。あの時は凄く幸せだったよ」
「なあ、名前。お前の言う複雑な家庭について、もっと詳しく教えてくれねえか?」
そう切り出すと、彼女は少し驚いた様子で、こちらを向いてくる。それから難しい顔をして、暫く考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「私の家庭事情を知ったら、人によっては気分を害するかもしれない。それでも良いと思えるなら教えるよ」
その言葉だけで、オレが思っているよりもずっと、名前の家庭が複雑なのだと分かる。それでも踏み込む覚悟は出来ていた。
「ああ、教えてくれ。お前のことが知りたいんだ」
真剣な眼差しで告げると、彼女は安堵したように微笑む。それから海の方へと視線を移して、言葉を選びながら話し始めた。
目的の由比ヶ浜海水浴場へと辿り着き、名前は目を輝かせながら海辺へと走り出した。十月なので、海水浴をしている人は居らず、ゆったりと落ち着いている。
「折角だから裸足で歩こうかな。隆也はどうする?」
「オレは……」
別に良いやと言いかけて飲み込む。断ると雰囲気を壊してしまいそうだ。
「オレもそうするわ」
そう言って、二人で靴と靴下を脱いで、波打ち際を歩き出した。砂に足を取られて歩きにくいが、それも良い思い出になるだろう。
「あっ、シーグラスだ」
彼女はしゃがみ込んで砂を漁り、水色の石のような物をつまみ上げた。
「なんだそれ?」
「ガラス片だよ。波に揉まれて角が取れて、すりガラスみたいになるの。綺麗でしょう?」
名前はニコニコと嬉しそうに笑う。海に来てからずっと笑顔で、はしゃいでいる姿が可愛い。そう思いながら彼女の隣へと並んでしゃがんだ。
「そうだな。お、これもシーグラスか?」
オレンジ色のすりガラス片を見つけて、それを拾い上げる。名前に見せると目を丸くして、それから興奮気味に口を開いた。
「凄い!オレンジ色のシーグラスなんて初めて見たよ!」
あまりにも嬉しそうにするので、思わず笑みが零れる。それから暫くシーグラス集めをしていると、様々な色と形のそれが集まった。
「ふふっ、いっぱい集めたね。私は持って帰るけど、隆也はどうする?」
「コレ持って帰ってどうするんだ?」
「思い出として飾ったり、アクセサリーにするよ」
アクセサリーにしたいと思うほど、こいつはこのガラス片が好きなのだろうか。
「それじゃあオレの分もお前にやるよ。オレが持ってても仕方ねえからな」
「良いの?嬉しいよ。ありがとう」
彼女は明るく笑うと、それをハンカチで丁寧に包んで、鞄の中へと入れた。
「お前、よっぽど海が好きなんだな」
「うん。中でもこの由比ヶ浜は思い出の場所なんだ。幼い頃に家族と来て、凄く楽しかったの。あの時は凄く幸せだったよ」
「なあ、名前。お前の言う複雑な家庭について、もっと詳しく教えてくれねえか?」
そう切り出すと、彼女は少し驚いた様子で、こちらを向いてくる。それから難しい顔をして、暫く考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「私の家庭事情を知ったら、人によっては気分を害するかもしれない。それでも良いと思えるなら教えるよ」
その言葉だけで、オレが思っているよりもずっと、名前の家庭が複雑なのだと分かる。それでも踏み込む覚悟は出来ていた。
「ああ、教えてくれ。お前のことが知りたいんだ」
真剣な眼差しで告げると、彼女は安堵したように微笑む。それから海の方へと視線を移して、言葉を選びながら話し始めた。