1章 蕾
「いい拾い物をした」
銀髪の男はいかにも上機嫌な様子で歩き始める。静まり返った廊下にはコツコツとただ一人の足音だけが響き渡る。
「軍師殿」
大理石の柱の影から、黒い覆面を被る存在が軍師を呼び止める。ある程度距離を離し、歩いた先で軍師はゆっくり足を止める。
「例の魔障の居場所を固定致しました。奴らが向かうまでその場から動けないはずです」
その報告に、軍師は緩やかに口角を上げる。黄金色の瞳が三日月のように形を変え、低く上機嫌な声色を漏らす。
「あぁ、楽しみだ。これでようやく手に入る。参謀総長 にも伝えておくといい」
「御意」
覆面を被る存在は音もなく消え去り、残された軍師は再び足を進める。
コツン、コツンと響き渡る足音は不穏を引き連れていく。今宵の三日月は、高らかに笑うように帳が降りる。
銀髪の男はいかにも上機嫌な様子で歩き始める。静まり返った廊下にはコツコツとただ一人の足音だけが響き渡る。
「軍師殿」
大理石の柱の影から、黒い覆面を被る存在が軍師を呼び止める。ある程度距離を離し、歩いた先で軍師はゆっくり足を止める。
「例の魔障の居場所を固定致しました。奴らが向かうまでその場から動けないはずです」
その報告に、軍師は緩やかに口角を上げる。黄金色の瞳が三日月のように形を変え、低く上機嫌な声色を漏らす。
「あぁ、楽しみだ。これでようやく手に入る。
「御意」
覆面を被る存在は音もなく消え去り、残された軍師は再び足を進める。
コツン、コツンと響き渡る足音は不穏を引き連れていく。今宵の三日月は、高らかに笑うように帳が降りる。