1章 蕾
「なぁ香取、あいつ大丈夫かな」
上から見下ろす香取の隣で瀬戸はぼやく。
視線の先は崖の下。土煙とモヤがかった状態で得られる情報は両者が衝突する音のみである。けれど香取は一度もその現場から目を離さず捉え続けている。瀬戸は困ったようにため息をついて苦笑を浮かべる。
「ほんと不器用な奴。なんかあれば絶対手貸してやる準備できてるくせにさ」
握りしめられた狙撃銃には弾が込められており、いつでも撃ち抜けるように引き金に指が添えられていた。香取は瀬戸の言葉に眉を顰めるが、視線だけは外す事なくただ一点を射抜いていた。
「そういうお前も同じだろ」
「俺は最初から心配してました〜。でもまぁ、考えることはお互い同じってわけ」
背負った両手斧に片手を添えている瀬戸も同じように崖の下に視線を向ける。相変わらず状況は何も視認できないが、ただその一点を見つめ続ける。
「こんな任務で倒れるようなら覡隊は務まらない」
「倒れるなんて微塵も思ってねぇのによく言うよ」
咆哮と共に現れる炎に二人は静かに口角を上げる。
上から見下ろす香取の隣で瀬戸はぼやく。
視線の先は崖の下。土煙とモヤがかった状態で得られる情報は両者が衝突する音のみである。けれど香取は一度もその現場から目を離さず捉え続けている。瀬戸は困ったようにため息をついて苦笑を浮かべる。
「ほんと不器用な奴。なんかあれば絶対手貸してやる準備できてるくせにさ」
握りしめられた狙撃銃には弾が込められており、いつでも撃ち抜けるように引き金に指が添えられていた。香取は瀬戸の言葉に眉を顰めるが、視線だけは外す事なくただ一点を射抜いていた。
「そういうお前も同じだろ」
「俺は最初から心配してました〜。でもまぁ、考えることはお互い同じってわけ」
背負った両手斧に片手を添えている瀬戸も同じように崖の下に視線を向ける。相変わらず状況は何も視認できないが、ただその一点を見つめ続ける。
「こんな任務で倒れるようなら覡隊は務まらない」
「倒れるなんて微塵も思ってねぇのによく言うよ」
咆哮と共に現れる炎に二人は静かに口角を上げる。