忘れ物
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=翔陽体育館にて=
「あー、やっぱり緊張する」
暗くなって、帰る生徒がまばらになった校門付近で、1人つぶやいてみる。
でも早く行って部活日誌をもらってこないと帰れない。
藤真さんにも会いたいけど・・・心臓うるさいし・・・
心の中でブツブツと言いながら歩くと、あっという間に体育館に着いた。
小さく深呼吸をしてから、意を決してドアを開ける。
「すいません、海南大付属の蓮見といいますけど・・・」
「ああ、蓮見さん。悪いね、来てもらっちゃって」
あー!藤真さん!
やっぱカッコイイなぁ・・そして優しい!!
さっきまでの緊張は、藤真さんの優しい笑顔と言葉でどこかにいってしまった。
「いえ、とんでもないです!私こそご迷惑を・・・って、もう部活は終わったんですか?」
周りを見渡しても、体育館には藤真さんの姿しかなかった。
そのせいか、やけに私達の声が響く。
「うん、昨日が練習試合だっただろう?だから今日は特別」
そう言って藤真さんがこちらに向かって歩いてくる。
「はい、蓮見さん。これ・・・」
「あっ!」
差し出された藤真さんの手には、今日ずっと探し続けた日誌があった。
「ありがとうございます!よかった・・。本当に迷惑かけてすみませんでした」
こんな大事なものを忘れた自分が恥ずかしかったけど、1日中頭の中を支配していた日誌を手にした瞬間、大きく安堵の息を吐いた。
これ以上お邪魔するわけにはいかないと、日誌を受け取り帰ろうとする私に
「すぐに帰るのもなんだから、少し話していかない?」
藤真さんはそう言って、柔らかい笑顔を向けてくれた。
緊張で何も話せないだろうと思っていたけど、藤真さんのリードが心地よくて、思った以上に話してしまっていた。
こんなに長く話したことなかったけど、益々好きになる自分に気付く。
笑顔も、話し方も、すべてが優しくて、すべてに惹かれてしまう。
よくよく考えたら、部活が早く終わったのに、こんな時間まで私を待っててくれた。
そんなことを思ったら、藤真さんの顔をまともに見れなくなるくらい、気持ちが溢れ出しそうになる。
「蓮見さんと話してるとあっという間だ。だいぶ遅くなってしまったね」
「そうですね・・でもとても楽しかったです!あの、それじゃあ・・・私はこれで」
後ろ髪を引かれる思いで、出口に向かおうとすると
「蓮見さん」
「え?あ、はい?」
藤真さんが私を呼び止めた。
歩みを止めて、藤真さんの方へ向き直す。
「蓮見さんは、一目惚れってあると思う?」
優しい口調だったが、藤真さんの表情は真剣そのもので。
さっきまでの穏やかな雰囲気はもうそこにはなかった。
「一目惚れ・・・ですか?」
唐突なことで戸惑いながらも、う~~ん、とうなって考えていると、藤真さんが口を開いた。
「俺はないと思ってた」
「あれ、そうなんですか?」
「うん。だって外見で人を好きになるなんてありえないかなって」
きっぱりとそう言い切る藤真さん。
自分に経験があるから聞いてきたのかと思ったんだけど。。
じゃあ何でいきなりそんな質問を・・?
不思議に思いながらも、藤真さんの言葉に納得しつつ、ふと気付く。
「確かに言われてみればそうですよね・・って、過去形ですか?」
「うん。今はあると思ってる。蓮見さんと出会ったから」
あっさりと言う藤真さんの意味深な言葉に、私の考えはストップした。
というより、何を言われたのかよく分からなかった。
「え・・・?」
「自分で自分を疑ったよ。まさか俺が一目惚れをするなんて」
思考が追い付かない私をよそに、藤真さんは自嘲気味に笑って続ける。
「でも自分が経験しちゃったから、信じるしかなかった」
「それって・・・」
「うん。俺は蓮見さんが好きなんだ」
藤真さんが真っ直ぐ私を見てからの、まさかの一言だった。
「・・そんなことって・・」
「こんな時じゃないと言う機会ないし、あんまり長引くと海南の奴らにとられかねないからね」
藤真さんの落ち着きとは正反対に、私は自分がどうかなりそうなくらい、速い心臓の鼓動を聞いていた。
「一目惚れってさ、理由なんてなくて一目でどうしようもなく惹かれるってことなんだろうなって」
「藤真さん・・」
「もちろん、会って少しでも話せば話すほど、ものすごく蓮見さんを好きになっていった」
藤真さんの一言一言が嬉しすぎて、すごいことを言われてるようで、今の状況がうまく飲み込めない。
藤真さんはそんな私に気付いてるのかどうか分からないけど、小さく深呼吸をしてから告げた。
「俺と・・・付き合ってくれませんか??」
その言葉に、大袈裟だけど本当に一瞬、呼吸が止まった気がした。
「・・・はい・・・」
藤真さんの告白に、一歩も二歩も遅れてから、小さく応えた。
心臓の鼓動が速くて、やっと紡ぎだした一言。
こんな時は正直な心臓が嫌になる。
ちゃんと言いたいのに・・・。
でも藤真さんは分かってくれたみたいで、いつもの様に爽やかに笑った。
「よし!じゃあ今日から恋人だ。よろしくな、理緒。」
藤真さんが初めて私の名前を呼ぶ。
その笑顔に、少しだけ心臓の鼓動が静かになった。
ふぅ~っと深呼吸をして気持ちを落ち着けてから
「はいっ・・!よろしくお願いします」
急に恥ずかしさが襲ってきて、ちゃんと藤真さんの顔は見れなかったけど、私の精一杯の返事だと気付いた藤真さんが、クスっと笑うのが聞こえた。
=夜・牧宅=
~♪
「おっ、藤真からか」
ピッ
『牧、理緒と付き合うことになったから。お前のおかげだ。サンキュー』
「そうか、よかったな。藤真も理緒も」
次の日、翔陽に行った理緒を心配した清田が、牧や理緒からその事実を知らされ、体育館中響くような大声で、叫んだという・・・。
「あー、やっぱり緊張する」
暗くなって、帰る生徒がまばらになった校門付近で、1人つぶやいてみる。
でも早く行って部活日誌をもらってこないと帰れない。
藤真さんにも会いたいけど・・・心臓うるさいし・・・
心の中でブツブツと言いながら歩くと、あっという間に体育館に着いた。
小さく深呼吸をしてから、意を決してドアを開ける。
「すいません、海南大付属の蓮見といいますけど・・・」
「ああ、蓮見さん。悪いね、来てもらっちゃって」
あー!藤真さん!
やっぱカッコイイなぁ・・そして優しい!!
さっきまでの緊張は、藤真さんの優しい笑顔と言葉でどこかにいってしまった。
「いえ、とんでもないです!私こそご迷惑を・・・って、もう部活は終わったんですか?」
周りを見渡しても、体育館には藤真さんの姿しかなかった。
そのせいか、やけに私達の声が響く。
「うん、昨日が練習試合だっただろう?だから今日は特別」
そう言って藤真さんがこちらに向かって歩いてくる。
「はい、蓮見さん。これ・・・」
「あっ!」
差し出された藤真さんの手には、今日ずっと探し続けた日誌があった。
「ありがとうございます!よかった・・。本当に迷惑かけてすみませんでした」
こんな大事なものを忘れた自分が恥ずかしかったけど、1日中頭の中を支配していた日誌を手にした瞬間、大きく安堵の息を吐いた。
これ以上お邪魔するわけにはいかないと、日誌を受け取り帰ろうとする私に
「すぐに帰るのもなんだから、少し話していかない?」
藤真さんはそう言って、柔らかい笑顔を向けてくれた。
緊張で何も話せないだろうと思っていたけど、藤真さんのリードが心地よくて、思った以上に話してしまっていた。
こんなに長く話したことなかったけど、益々好きになる自分に気付く。
笑顔も、話し方も、すべてが優しくて、すべてに惹かれてしまう。
よくよく考えたら、部活が早く終わったのに、こんな時間まで私を待っててくれた。
そんなことを思ったら、藤真さんの顔をまともに見れなくなるくらい、気持ちが溢れ出しそうになる。
「蓮見さんと話してるとあっという間だ。だいぶ遅くなってしまったね」
「そうですね・・でもとても楽しかったです!あの、それじゃあ・・・私はこれで」
後ろ髪を引かれる思いで、出口に向かおうとすると
「蓮見さん」
「え?あ、はい?」
藤真さんが私を呼び止めた。
歩みを止めて、藤真さんの方へ向き直す。
「蓮見さんは、一目惚れってあると思う?」
優しい口調だったが、藤真さんの表情は真剣そのもので。
さっきまでの穏やかな雰囲気はもうそこにはなかった。
「一目惚れ・・・ですか?」
唐突なことで戸惑いながらも、う~~ん、とうなって考えていると、藤真さんが口を開いた。
「俺はないと思ってた」
「あれ、そうなんですか?」
「うん。だって外見で人を好きになるなんてありえないかなって」
きっぱりとそう言い切る藤真さん。
自分に経験があるから聞いてきたのかと思ったんだけど。。
じゃあ何でいきなりそんな質問を・・?
不思議に思いながらも、藤真さんの言葉に納得しつつ、ふと気付く。
「確かに言われてみればそうですよね・・って、過去形ですか?」
「うん。今はあると思ってる。蓮見さんと出会ったから」
あっさりと言う藤真さんの意味深な言葉に、私の考えはストップした。
というより、何を言われたのかよく分からなかった。
「え・・・?」
「自分で自分を疑ったよ。まさか俺が一目惚れをするなんて」
思考が追い付かない私をよそに、藤真さんは自嘲気味に笑って続ける。
「でも自分が経験しちゃったから、信じるしかなかった」
「それって・・・」
「うん。俺は蓮見さんが好きなんだ」
藤真さんが真っ直ぐ私を見てからの、まさかの一言だった。
「・・そんなことって・・」
「こんな時じゃないと言う機会ないし、あんまり長引くと海南の奴らにとられかねないからね」
藤真さんの落ち着きとは正反対に、私は自分がどうかなりそうなくらい、速い心臓の鼓動を聞いていた。
「一目惚れってさ、理由なんてなくて一目でどうしようもなく惹かれるってことなんだろうなって」
「藤真さん・・」
「もちろん、会って少しでも話せば話すほど、ものすごく蓮見さんを好きになっていった」
藤真さんの一言一言が嬉しすぎて、すごいことを言われてるようで、今の状況がうまく飲み込めない。
藤真さんはそんな私に気付いてるのかどうか分からないけど、小さく深呼吸をしてから告げた。
「俺と・・・付き合ってくれませんか??」
その言葉に、大袈裟だけど本当に一瞬、呼吸が止まった気がした。
「・・・はい・・・」
藤真さんの告白に、一歩も二歩も遅れてから、小さく応えた。
心臓の鼓動が速くて、やっと紡ぎだした一言。
こんな時は正直な心臓が嫌になる。
ちゃんと言いたいのに・・・。
でも藤真さんは分かってくれたみたいで、いつもの様に爽やかに笑った。
「よし!じゃあ今日から恋人だ。よろしくな、理緒。」
藤真さんが初めて私の名前を呼ぶ。
その笑顔に、少しだけ心臓の鼓動が静かになった。
ふぅ~っと深呼吸をして気持ちを落ち着けてから
「はいっ・・!よろしくお願いします」
急に恥ずかしさが襲ってきて、ちゃんと藤真さんの顔は見れなかったけど、私の精一杯の返事だと気付いた藤真さんが、クスっと笑うのが聞こえた。
=夜・牧宅=
~♪
「おっ、藤真からか」
ピッ
『牧、理緒と付き合うことになったから。お前のおかげだ。サンキュー』
「そうか、よかったな。藤真も理緒も」
次の日、翔陽に行った理緒を心配した清田が、牧や理緒からその事実を知らされ、体育館中響くような大声で、叫んだという・・・。
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