境界線
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「で?理緒のそんな気持ちを知ってか知らずか、藤真が軽いスキンシップをしてくることに、また気持ちが乱されて現在に至る、と」
「・・・ねぇ、無性に恥ずかしいから、普通のトーンで言わないで?」
なんともいえない羞恥心だけが、ただひたすら煽られた気がして、いたたまれない気持ちになる。
何だコイツ!?とばかりに顔を赤らめて花形を睨めば、他人事だと思って嬉しそうに笑いながら私を見ていた。
・・さっきまで無表情だったくせに・・。
「まぁ藤真の色恋の話は分からないが、少なくとも何とも思っていない奴に自分から触れたりする奴じゃない。たとえ気まぐれにでも、な」
そう言って花形は、藤真が私にしたように頭に手を置いた。
私の気になってたことは何もわからなかったけど、花形に藤真と同じことをされて改めて気付く。
やっぱり私がドキドキするのは藤真だからで、藤真が好きなんだって。
「告白したらいいのに」
「えっ!?む、無理だよ!今までの話聞いてた!?」
あれだけスマートに要約したくせに、大事なところが伝わってないと思える花形の言葉に、思わず狼狽えた。
「理緒の話を聞いてると、このままでいることこそ、もう無理だって言ってるように聞こえるんだが」
「っ・・・」
「関係を壊したくないのは分かる。でもその境界線を引いてるのは理緒だけなんじゃないか?」
「どういう意味?」
「さぁ?話を聞いてて俺が分かるのはここまでだな」
花形はそう言うと私に背を向け、手を振って去っていった。
モヤモヤを解決してくれたような気がしてたのに、新しいモヤモヤが残された気がする・・・。
放課後
「結局1日悶々と過ごしちゃったな」
朝から乱された気持ちは落ち着くことなく、1日中思考が藤真に支配されて、有無を言わさず自分の気持ちと向き合わされた気分。
特に花形に言われた、境界線を引いてるのは私だけって・・そればかりが気になる。
関係を壊したくないのは私だけで、藤真は別にそんなことは気にしてないってことなのか。
私との関係なんて、別に壊れたってどうってことないってことなのかな。
なぜか帰る気にならず、誰もいない教室から1人グラウンドを見る。
窓を開けると、サッカー部と野球部の練習している声が聞こえた。
「何でバスケ部は外でやんないのよ」
「ストバスじゃないからな」
「えっ?」
急に声がして振り向くと、そこには部活中でここにいるはずのない藤真がいた。
「ストバス用のコートが出来れば、ご期待に添えられるけど?」
「な、にやってんの」
私の質問は丸ごと無視して、藤真は私の隣に来ると同じく外を見た。
「何を見てたんだ?ここから」
「・・・別に何も」
「バスケ部が外でやれば、花形が見られるから?」
「はっ?」
花形が見られる?
藤真は何を言ってるんだろう。
冗談のような本気のような声色で、笑いながら聞く藤真の意図が分からなくて混乱した。
「・・ちょっと意味が分かんないんだけど」
「そっか」
返事にならない返事を返してグラウンドを見つめる藤真は、らしくないと言えばらしくないが、その横顔に笑顔はもうなくなっていた。
藤真と一緒にいる時には感じたことのない、いつもと違う空気がそこに流れる。
「藤真こそ、今って部活の時間じゃないの?」
「あぁ。ちょっと気になったことがあってな」
「どうしたの?」
強豪と言われるうちのバスケ部を率いている藤真が、部活を差し置いてでも気になることって何なんだろう。
グラウンドを見ていた藤真の顔が、首をかしげる私の方に向いた。
真正面から、真顔の藤真を受け止める。
その真剣な表情に、不覚にもまた私の心臓は鼓動を速めた。
「理緒さ、花形と付き合ってんの?」
藤真の予期しない言葉に、一瞬固まった。
私と花形が付き合ってる?
「・・はぁ!?ってか、さっきから花形、花形って何?」
「今日の昼休みに花形の所に行ったら、2人が屋上に行くのを見て。悪いと思ったけど後をつけたら屋上でも仲良さそうだったから」
あの時、見られてたんだ・・・。
「アイツが女子の頭に手を置くところなんて初めて見たから、付き合ってんのかと思って」
「あれはっ!ちょっと花形に相談があって・・」
なぜか気まずく感じて、藤真から視線をそらして思わず俯く。
そんな私の態度が気に入らなかったのか、藤真の上履きが俯いた私の視界に入る距離まで来ると、
「理緒、俺の質問に答えてない。花形と付き合ってんの?」
頭上から低めの、まるで責められてるかのような藤真の声が響く。
「だから、どうしてそういうことに!付き合ってるわけないでしょ!大体何で藤真がそんなこと気に――」
勢いで顔をあげれば、すぐそこに藤真がいて。
言い終わらないうちに、少し強めの力で抱きしめられてた。
「ちょ、ちょっと藤真・・!///」
「よかった・・理緒が花形の彼女じゃなくて」
「え?」
「ずっと前から理緒が好きだったから」
藤真が私のことを好き?
「でも2人が一緒にいるのを見て、まさか理緒と花形がって思ったら、部活も身に入んなくてさ」
あぁ、藤真はどうしてこう・・いとも簡単に、境界線を踏み越えられるんだろう。
私の葛藤や悩みなんてまったく無意味だった。
「理緒は?好きな奴いるのか?」
「そんな、の・・藤真しかいない・・ずっとずっと好きだっ――」
最後まで言い切るか言い切らないかの内に、藤真の顔が近づいてきて
一瞬、唇にそっと触れるだけのキスを落とした。
「っ///さっきから本当に全部唐突すぎ――」
「さぁてと、気になってたことも最高な形で解消されたし、部活に行くかなー」
「ふ、藤真っ!!」
「理緒も来いよ、一緒に行くぞ」
顔が赤いまま抗議する私の声を丸ごと無視すると、藤真は部活に向かうために歩き始めた。
私より少し前を歩く藤真。
いつもと同じだけど、一つだけ違うのは・・・
藤真の左手と私の右手が繋がっていること。
「・・・ねぇ、無性に恥ずかしいから、普通のトーンで言わないで?」
なんともいえない羞恥心だけが、ただひたすら煽られた気がして、いたたまれない気持ちになる。
何だコイツ!?とばかりに顔を赤らめて花形を睨めば、他人事だと思って嬉しそうに笑いながら私を見ていた。
・・さっきまで無表情だったくせに・・。
「まぁ藤真の色恋の話は分からないが、少なくとも何とも思っていない奴に自分から触れたりする奴じゃない。たとえ気まぐれにでも、な」
そう言って花形は、藤真が私にしたように頭に手を置いた。
私の気になってたことは何もわからなかったけど、花形に藤真と同じことをされて改めて気付く。
やっぱり私がドキドキするのは藤真だからで、藤真が好きなんだって。
「告白したらいいのに」
「えっ!?む、無理だよ!今までの話聞いてた!?」
あれだけスマートに要約したくせに、大事なところが伝わってないと思える花形の言葉に、思わず狼狽えた。
「理緒の話を聞いてると、このままでいることこそ、もう無理だって言ってるように聞こえるんだが」
「っ・・・」
「関係を壊したくないのは分かる。でもその境界線を引いてるのは理緒だけなんじゃないか?」
「どういう意味?」
「さぁ?話を聞いてて俺が分かるのはここまでだな」
花形はそう言うと私に背を向け、手を振って去っていった。
モヤモヤを解決してくれたような気がしてたのに、新しいモヤモヤが残された気がする・・・。
放課後
「結局1日悶々と過ごしちゃったな」
朝から乱された気持ちは落ち着くことなく、1日中思考が藤真に支配されて、有無を言わさず自分の気持ちと向き合わされた気分。
特に花形に言われた、境界線を引いてるのは私だけって・・そればかりが気になる。
関係を壊したくないのは私だけで、藤真は別にそんなことは気にしてないってことなのか。
私との関係なんて、別に壊れたってどうってことないってことなのかな。
なぜか帰る気にならず、誰もいない教室から1人グラウンドを見る。
窓を開けると、サッカー部と野球部の練習している声が聞こえた。
「何でバスケ部は外でやんないのよ」
「ストバスじゃないからな」
「えっ?」
急に声がして振り向くと、そこには部活中でここにいるはずのない藤真がいた。
「ストバス用のコートが出来れば、ご期待に添えられるけど?」
「な、にやってんの」
私の質問は丸ごと無視して、藤真は私の隣に来ると同じく外を見た。
「何を見てたんだ?ここから」
「・・・別に何も」
「バスケ部が外でやれば、花形が見られるから?」
「はっ?」
花形が見られる?
藤真は何を言ってるんだろう。
冗談のような本気のような声色で、笑いながら聞く藤真の意図が分からなくて混乱した。
「・・ちょっと意味が分かんないんだけど」
「そっか」
返事にならない返事を返してグラウンドを見つめる藤真は、らしくないと言えばらしくないが、その横顔に笑顔はもうなくなっていた。
藤真と一緒にいる時には感じたことのない、いつもと違う空気がそこに流れる。
「藤真こそ、今って部活の時間じゃないの?」
「あぁ。ちょっと気になったことがあってな」
「どうしたの?」
強豪と言われるうちのバスケ部を率いている藤真が、部活を差し置いてでも気になることって何なんだろう。
グラウンドを見ていた藤真の顔が、首をかしげる私の方に向いた。
真正面から、真顔の藤真を受け止める。
その真剣な表情に、不覚にもまた私の心臓は鼓動を速めた。
「理緒さ、花形と付き合ってんの?」
藤真の予期しない言葉に、一瞬固まった。
私と花形が付き合ってる?
「・・はぁ!?ってか、さっきから花形、花形って何?」
「今日の昼休みに花形の所に行ったら、2人が屋上に行くのを見て。悪いと思ったけど後をつけたら屋上でも仲良さそうだったから」
あの時、見られてたんだ・・・。
「アイツが女子の頭に手を置くところなんて初めて見たから、付き合ってんのかと思って」
「あれはっ!ちょっと花形に相談があって・・」
なぜか気まずく感じて、藤真から視線をそらして思わず俯く。
そんな私の態度が気に入らなかったのか、藤真の上履きが俯いた私の視界に入る距離まで来ると、
「理緒、俺の質問に答えてない。花形と付き合ってんの?」
頭上から低めの、まるで責められてるかのような藤真の声が響く。
「だから、どうしてそういうことに!付き合ってるわけないでしょ!大体何で藤真がそんなこと気に――」
勢いで顔をあげれば、すぐそこに藤真がいて。
言い終わらないうちに、少し強めの力で抱きしめられてた。
「ちょ、ちょっと藤真・・!///」
「よかった・・理緒が花形の彼女じゃなくて」
「え?」
「ずっと前から理緒が好きだったから」
藤真が私のことを好き?
「でも2人が一緒にいるのを見て、まさか理緒と花形がって思ったら、部活も身に入んなくてさ」
あぁ、藤真はどうしてこう・・いとも簡単に、境界線を踏み越えられるんだろう。
私の葛藤や悩みなんてまったく無意味だった。
「理緒は?好きな奴いるのか?」
「そんな、の・・藤真しかいない・・ずっとずっと好きだっ――」
最後まで言い切るか言い切らないかの内に、藤真の顔が近づいてきて
一瞬、唇にそっと触れるだけのキスを落とした。
「っ///さっきから本当に全部唐突すぎ――」
「さぁてと、気になってたことも最高な形で解消されたし、部活に行くかなー」
「ふ、藤真っ!!」
「理緒も来いよ、一緒に行くぞ」
顔が赤いまま抗議する私の声を丸ごと無視すると、藤真は部活に向かうために歩き始めた。
私より少し前を歩く藤真。
いつもと同じだけど、一つだけ違うのは・・・
藤真の左手と私の右手が繋がっていること。
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