境界線
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私と君の間には、目に見えない境界線があって。
それによって私達の関係は保たれている。
何かきっかけがあれば・・と、他力本願な期待をかけてみるけれど
結局傷つきたくなくて、今の関係を壊したく無い自分の弱さが露呈するのを恐れて
そこから一歩を踏み出すことが出来ないまま、ただ留まり続けてる。
【友達】という名の境界線で。
***
「理緒、はよ」
「あ、藤真、おはよー」
「どうした?朝から眠そうな声だな?」
そう言いながら私の髪をわしゃわしゃと撫でる。
「ちょ、朝セットしたばっ、あ~~もう!!」
「眠気も吹き飛んだだろ、感謝しろー」
「うっさい!元から眠くなんてないから!」
藤真のせいで乱れた髪を直しながら、流れでそのまま一緒に登校する。
少し前を歩きながら、たわいもない話をする藤真は、横顔も朝から完璧で本当にかっこ良い。
髪を乱されたことへの怒りなんかどっかにいってしまって・・・見惚れてしまった。
私の気持ちなんか知らないからしょうがないけど、こういうところが本当にズルイと思う。
朝から少しご機嫌な藤真を見ると、やっぱりこの関係を壊したくない気持ちが強くなる。
その度に、藤真を好きな気持ちを隠してることは正解なんだって思うんだ。
玄関に着いて藤真が下駄箱を開ける。
ドサ
「えっ?」
そこから勢いよく出てきたのは、大量の手紙。
思わず出てしまった声を抑えるように、口元に両手を添えて藤真を見たら、すこしうんざり顔でため息をつきながら、落ちた手紙に目を遣っていた。
「えーと・・藤真サン?これはなんか・・すごくない?」
「はぁ。今日は特に多い気がすんだけど」
「と、とりあえず、拾う、ね?」
「あぁ・・悪い」
しゃがんで足元に散らばった手紙を拾う。
これ、ファンレターも入ってるけど、ラブレターもあるよね。
人気があるのはよく分かってたつもりだけど、改めてみるとこんなに彼を好きな子がいっぱいいるんだ。
こうして伝えられるって・・いいなぁ。
ついさっきまで、伝えないことが正解だと思ってたのに、些細なことでこうして揺らいでしまう。
手紙を拾う私の手が一瞬止まったのを、藤真が目ざとくも気付いたのか、少し言いにくそうにしながら
「なぁ、理緒」
「ん?何?あっと、ごめん。すぐ拾う!」
「いや、あぁ・・まぁそうなんだけど、あのさ、理緒はこういうの見て、なんか気になったりする?」
「へ?はっ?」
藤真の取り様によっては意味深な言葉に、思わずまぬけな返答をする。
「えーっと・・どういう意味?」
「ん~だからさ、だから・・あーやっぱ何でもない」
藤真は軽く頭をかきながら、手紙を拾い、立ち上がった。
「?変な藤真」
そう言って私も立ち上がり、拾った手紙を藤真に渡した。
こんな風に気持ちを伝えられたら・・・そう思わずにはいられなかった。
きっと私は思っていた以上に、友達関係から先に進みたいのかもしれない。
「悪いな、理緒にこんなことさせて」
「何言ってるのー?藤真サンがモテることは遥か昔から知ってますよー?」
複雑な気持ちを隠すように、少し冗談交じりの返答を返すと、藤真もいつもの表情に戻って
「はいはい、まぁ助かったよ」
そう言って、私の頭にポンっと手を乗せた。
その一瞬、その仕草に心を奪われる。
私・・このまま自分の気持ちを隠し続けられるのかな・・
授業が始まっても、考えるのは藤真のことばかり。
あんなにモテるのに、どうして彼女を作らないんだろう?
あれだけ手紙もらえば、可愛い子なんていっぱいいるハズなのに。
それでも今まで付き合った、という話を聞かない。
ずっと想ってる人でもいるんだろうか。
そんなことを考えて、勝手に胸を痛めてる自分が嫌だ。
中途半端な距離感で近くにいたって、こうして1番気になってることなのに知らない。
想いも届けられなければ、意識してもらえることもない。
“友達”ってポジションは、特権でもあるけどかなり厄介だ・・・
「もう今日は朝からアイツのことばっか・・こんな自分にうんざりするな」
授業中に思わず小声で漏れた本音。
藤真のことを好きすぎる自分も、それでも臆病で何もできない自分も、いい加減にしたいと思っているのに。
ふと外に目をやると、体育をしてる花形が見えた。
・・そーだ、藤真と距離が近い花形に聞いてみるとか?
1人で悩んでも考えても、もうずーっと行き止まりなんだから。
話せばもしかしたらこのモヤモヤも、少しすっきりするかもしれない。
―――
「はーなーがーたっ!」
「理緒?昼休みに珍しいな」
教室の入り口から、少し声を張って花形を呼ぶ。
突然の私の来訪に驚きながらも、席を立って来てくれるその表情は柔らかい。
まだ何も相談をしていないのに、1人で勝手に思い詰めていたせいか、それだけでホッとした。
「ちょーっと時間いい?相談があるんだけど・・」
「相談?どうした?」
少し戸惑う花形を、屋上まで連れ出した。
「で?何だ、相談って」
「あのさ・・えっと・・藤真に好きな人っていると思う?」
「藤真?あー・・あんまこのテの話を藤真とはしないからな」
「そっかぁ・・そうだよね・・やっぱ分かんないよね」
藤真とあれだけ親しい花形でさえも分かんないんだから、藤真は隠してるか・・それとも本当にいないだけか・・。
「いきなりどうしたんだ?藤真と何かあったのか?」
「何かあったってわけじゃないんだけど・・・」
私は朝の手紙の出来事や、自分のまだ整理のついていない気持ちのモヤモヤを吐き出した。
「なるほどな。大量の手紙を見て、ふと藤真に彼女がいないことを不思議に思った、と」
「うん・・」
「さらに、友達以上の気持ちを藤真に抱いているにも関わらず、関係を壊したくなくて距離が縮められない自分に悩んでいる、と」
「・・・ま、まぁ・・」
私の話を、淡々とほぼ無表情で簡潔に要点だけまとめて話していく花形。
少し居心地が悪そうにしている私を気にも留めずに、花形は続ける。
それによって私達の関係は保たれている。
何かきっかけがあれば・・と、他力本願な期待をかけてみるけれど
結局傷つきたくなくて、今の関係を壊したく無い自分の弱さが露呈するのを恐れて
そこから一歩を踏み出すことが出来ないまま、ただ留まり続けてる。
【友達】という名の境界線で。
***
「理緒、はよ」
「あ、藤真、おはよー」
「どうした?朝から眠そうな声だな?」
そう言いながら私の髪をわしゃわしゃと撫でる。
「ちょ、朝セットしたばっ、あ~~もう!!」
「眠気も吹き飛んだだろ、感謝しろー」
「うっさい!元から眠くなんてないから!」
藤真のせいで乱れた髪を直しながら、流れでそのまま一緒に登校する。
少し前を歩きながら、たわいもない話をする藤真は、横顔も朝から完璧で本当にかっこ良い。
髪を乱されたことへの怒りなんかどっかにいってしまって・・・見惚れてしまった。
私の気持ちなんか知らないからしょうがないけど、こういうところが本当にズルイと思う。
朝から少しご機嫌な藤真を見ると、やっぱりこの関係を壊したくない気持ちが強くなる。
その度に、藤真を好きな気持ちを隠してることは正解なんだって思うんだ。
玄関に着いて藤真が下駄箱を開ける。
ドサ
「えっ?」
そこから勢いよく出てきたのは、大量の手紙。
思わず出てしまった声を抑えるように、口元に両手を添えて藤真を見たら、すこしうんざり顔でため息をつきながら、落ちた手紙に目を遣っていた。
「えーと・・藤真サン?これはなんか・・すごくない?」
「はぁ。今日は特に多い気がすんだけど」
「と、とりあえず、拾う、ね?」
「あぁ・・悪い」
しゃがんで足元に散らばった手紙を拾う。
これ、ファンレターも入ってるけど、ラブレターもあるよね。
人気があるのはよく分かってたつもりだけど、改めてみるとこんなに彼を好きな子がいっぱいいるんだ。
こうして伝えられるって・・いいなぁ。
ついさっきまで、伝えないことが正解だと思ってたのに、些細なことでこうして揺らいでしまう。
手紙を拾う私の手が一瞬止まったのを、藤真が目ざとくも気付いたのか、少し言いにくそうにしながら
「なぁ、理緒」
「ん?何?あっと、ごめん。すぐ拾う!」
「いや、あぁ・・まぁそうなんだけど、あのさ、理緒はこういうの見て、なんか気になったりする?」
「へ?はっ?」
藤真の取り様によっては意味深な言葉に、思わずまぬけな返答をする。
「えーっと・・どういう意味?」
「ん~だからさ、だから・・あーやっぱ何でもない」
藤真は軽く頭をかきながら、手紙を拾い、立ち上がった。
「?変な藤真」
そう言って私も立ち上がり、拾った手紙を藤真に渡した。
こんな風に気持ちを伝えられたら・・・そう思わずにはいられなかった。
きっと私は思っていた以上に、友達関係から先に進みたいのかもしれない。
「悪いな、理緒にこんなことさせて」
「何言ってるのー?藤真サンがモテることは遥か昔から知ってますよー?」
複雑な気持ちを隠すように、少し冗談交じりの返答を返すと、藤真もいつもの表情に戻って
「はいはい、まぁ助かったよ」
そう言って、私の頭にポンっと手を乗せた。
その一瞬、その仕草に心を奪われる。
私・・このまま自分の気持ちを隠し続けられるのかな・・
授業が始まっても、考えるのは藤真のことばかり。
あんなにモテるのに、どうして彼女を作らないんだろう?
あれだけ手紙もらえば、可愛い子なんていっぱいいるハズなのに。
それでも今まで付き合った、という話を聞かない。
ずっと想ってる人でもいるんだろうか。
そんなことを考えて、勝手に胸を痛めてる自分が嫌だ。
中途半端な距離感で近くにいたって、こうして1番気になってることなのに知らない。
想いも届けられなければ、意識してもらえることもない。
“友達”ってポジションは、特権でもあるけどかなり厄介だ・・・
「もう今日は朝からアイツのことばっか・・こんな自分にうんざりするな」
授業中に思わず小声で漏れた本音。
藤真のことを好きすぎる自分も、それでも臆病で何もできない自分も、いい加減にしたいと思っているのに。
ふと外に目をやると、体育をしてる花形が見えた。
・・そーだ、藤真と距離が近い花形に聞いてみるとか?
1人で悩んでも考えても、もうずーっと行き止まりなんだから。
話せばもしかしたらこのモヤモヤも、少しすっきりするかもしれない。
―――
「はーなーがーたっ!」
「理緒?昼休みに珍しいな」
教室の入り口から、少し声を張って花形を呼ぶ。
突然の私の来訪に驚きながらも、席を立って来てくれるその表情は柔らかい。
まだ何も相談をしていないのに、1人で勝手に思い詰めていたせいか、それだけでホッとした。
「ちょーっと時間いい?相談があるんだけど・・」
「相談?どうした?」
少し戸惑う花形を、屋上まで連れ出した。
「で?何だ、相談って」
「あのさ・・えっと・・藤真に好きな人っていると思う?」
「藤真?あー・・あんまこのテの話を藤真とはしないからな」
「そっかぁ・・そうだよね・・やっぱ分かんないよね」
藤真とあれだけ親しい花形でさえも分かんないんだから、藤真は隠してるか・・それとも本当にいないだけか・・。
「いきなりどうしたんだ?藤真と何かあったのか?」
「何かあったってわけじゃないんだけど・・・」
私は朝の手紙の出来事や、自分のまだ整理のついていない気持ちのモヤモヤを吐き出した。
「なるほどな。大量の手紙を見て、ふと藤真に彼女がいないことを不思議に思った、と」
「うん・・」
「さらに、友達以上の気持ちを藤真に抱いているにも関わらず、関係を壊したくなくて距離が縮められない自分に悩んでいる、と」
「・・・ま、まぁ・・」
私の話を、淡々とほぼ無表情で簡潔に要点だけまとめて話していく花形。
少し居心地が悪そうにしている私を気にも留めずに、花形は続ける。
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