誤解はスパイス?
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翌朝、すごく泣いたせいか、瞼は重たいけど朝早くスッキリ目覚めた。
天気は憎たらしいくらいの快晴で、だけどそれが私の心を少し軽くする。
昨日泣きながら思ったこと。
『こんなに苦しい恋はやめよう』
2人を見かけたときに声がかけられなかった自分も、そのあと先輩に連絡して事情を聞くこともできなかった自分も嫌だった。
結局それが出来ないほど、好きすぎて嫌われるのが怖い恋は苦しいだけだから。
窓から青空を見上げながら、よしっと意気込んで、学校に行く準備を始めた。
・・まず、この腫れた目とむくんだ顔をなんとかしないと・・・。
―――
「おはよー、理緒」
「あっ、茜。おっはよ~」
いつもと変わらない日常。
普通に挨拶を返したけど、茜がいつもと変わらないのも、何も言わないのもなんかおかしい。
本当は昨日のことを聞きたい気持ちが強くなったけど、朝の決意を思い出して飲み込んだ。
「理緒?そんなに見つめて・・どうかした?」
「え!?あ、全然何でもない!」
「全然って何それ~」
不自然さを隠しきれない私を、茜はおかしそうに笑う。
茜の普段すぎる態度に、やっぱり私の思い過ごしで、三井先輩との間には何もないんじゃないかって気持ちが沸き上がる。
だけどもう先輩のことを考えるだけで涙がこみ上げそうになるから、考えるのはやめた。
三井先輩から、今朝いつものようにメッセージが来てたけど、それも読んでないんだから。
―――
部活が始まる前の体育館で、三井は何やら落ち着きがない様子で宮城に話しかける。
「おい宮城、今日理緒来てねぇの?」
「学校には来てましたけど・・どうかしたんすか?」
「今日連絡つかなくて、部活だっていつも見に来るのに今日はまだ来てねぇから」
腰に手を当てて体育館内を見回す三井を見つめると、宮城はため息を一つ吐きながら
「それは三井さんの方っすよ」
「は?」
眉間にしわを寄せる三井に、宮城は昨日の放課後の出来事を伝えた。
三井は昨日理緒が練習を見に来たこと。
その時に三井が用事でいないことを、彩子から聞かされていたことを知った。
「俺・・理緒に連絡し忘れてた・・」
「理緒、アヤちゃんから聞くまでずっと待ってたんすよ」
「それで!?それから理緒はどうした!?」
そう問う三井の剣幕に宮城はただ驚いた。
そして少し後ずさりしながら
「・・アヤちゃんの話だと、買い物したいとかで駅の方へ歩いていったそうですよ」
やっとそれだけ伝える。
それを聞くなり思うところがあったのか、三井は嫌な予感がしてカバンの中から急いで何かを取り出すと、体育館を飛び出した。
「ちょっと三井サン!?」
宮城の呼びかけは三井に届いていなかった。
理緒はきっと何か誤解したに違いない。
宮城の言葉に瞬時にそう思った三井は、胸にじわりと浮かぶ嫌な予感を振り切るように校舎へと向かった。
「あ~あ、もう練習始まっちゃってるよね」
放課後ってこんなに長かったっけ?
三井先輩と付き合ってから毎日放課後は一緒だったからなぁ。
誰もいなくなった教室で、1人机に突っ伏す。
バタバタバタ
「?なんか廊下が騒がしい・・・・・・え・・・・・!」
勢いよく開いた教室のドアにびっくりして体を起こすと
「理緒!!」
「み・・つい先輩??こんな時間に・・部活は?」
騒がしい足音の主、三井先輩が教室に飛び込んできた。
先輩の慌てぶりに少し動揺したけど、何で来たのか、本当は分かってた。
「理緒・・はぁ・・はぁ・・。今日・・何で・・・はぁ・・・部活・・見に来ねぇの?」
三井先輩、相当息切れてる。
すごく急いで来てくれたのが分かる。
もうそれだけで十分です。
「もう、行く理由がないですから・・・。」
「はっ?」
「先輩、私達別れましょう?もう無理だなって思って」
言った。
先輩の顔が怖くて見れない。
顔をあげたらきっと泣いてしまうから・・・。
「嫌だ。無理じゃない」
「・・・え?」
「俺、別れる気ねぇもん」
きっぱりと予想外の返事をする先輩を、私はただ、呆然と見つめた。
「はぁ!?だって・・・」
先輩はいつもの余裕のある顔で私を真っ直ぐ見た。
すべてお見通しだとでもいうような目で。
「だって・・何だ?」
「だって・・・昨日茜とデートしてた。私に内緒で」
うつむきながら小さくそういう私の言葉を聞いてから、先輩は額に手を当てて盛大にため息をついた。
「はぁ・・やっぱ見たか。駅の方へ行ったって宮城に聞いて、そうじゃねぇかと思ったんだ」
「何それ!私は本気で悩んで・・・」
最後まで言い終わらないうちに、先輩は私を抱きしめた。
「昨日は・・・理緒へのプレゼントを選んでたんだよ。そろそろ付き合って半年になるだろ?」
「わ、わざわざ茜と一緒に?」
「理緒が一昨日の帰りに言ってただろ?その友達と手のサイズが同じだって」
「え?」
そこまで言うと先輩は、抱きしめていた体をゆっくりと離して、ポケットから小さい箱を取り出した。
「これ、理緒にやるんで大きさをその友達に確かめてもらったってわけ」
「嘘・・・」
「指輪やるのにサイズがあわねぇなんてダサイだろ!?サプライズにしたかったし・・それにまさか理緒に見られるとは思わなかった」
小さい箱を開けてみる。
本当に三井先輩が選んだのかと思うほど、可愛い指輪が1つ入ってた。
「本当は違うものにしようと思ったけど、指輪の方が他の奴を牽制できるから」
「何それ・・」
先輩が言ってることが理解出来なくて、思わず聞き返すと先輩は大げさに感じるほど眉間にしわを寄せて
「理緒は俺が好きになるくらいだからな、心配なんだ」
そう言って頭を撫でた。
「私・・先輩が茜を好きになったんだと思って・・」
指輪を信じられない気持ちで見つめながら小さく呟くと、先輩は口の端を少し持ち上げて笑った。
「そんなわけねぇだろ。半年記念を覚えてた彼氏に失礼だな、お前は」
「う・・ごめんなさい・・」
「まぁ、俺も内緒にしたくて誤解させたから悪かったけどな」
少しバツが悪そうに頭をかいたあとに先輩は、今日指輪を持ってきてよかったと小さく呟いた。
「手、出せよ。はめてやるから」
「う、うん」
先輩の大きな両手が私の右手を包む。
この体温が、いつものように私を安心させてくれる。
「言っとくけどな、理緒の友達にはサイズの確認だけで、この指輪はもちろんはめてないし、デザインだって俺が―――」
これ以上私に誤解をさせまいと、少し赤くなりながら説明する先輩。
「ふふっ、分かってるよ、先輩」
「まぁ・・ならいいけど、よ」
私の好きな色もデザインも、先輩にはお見通しで。
先輩は指輪をはめたあと、満足そうに私の指を撫でた。
「だからもう変な誤解すんな。別れるとか、心臓止まりそうなことも言うなよ」
「うん」
放課後の教室・・・私と先輩の影が重なった。
=それから=
「あっ!やべ!!」
「どうしたの?」
「今日部活休むの赤木の野郎に言ってねぇ!」
「嘘!!」
「はぁ、めんどくせぇことになりそうだぜ。」
心底面倒くさそうな先輩を見て、自然と笑みがこぼれる。
隣にいられることが、こんなにも幸せなことだったんだなぁ。
「あ、でもリョーちゃんが言っといてくれたかも」
ここに来るまでにリョーちゃんと話をしてたわけだし、と続けると
「おっ!そうだな。じゃあ今日はこのまま帰ろうぜ」
先輩はそう言うなり私の右手を握って歩き出した。
指輪をはめた手を握ったのは、偶然じゃないよね、先輩?
私からの半年記念は何を渡そうかな。
大好きな先輩の横顔を見ながら、たくさん考えよう。
結局リョーちゃんは三井先輩の行動をよく理解してなかったせいか、赤木先輩には言ってなくて。
そして先輩が予想してた通り、赤木先輩に色々うるさく言われたらしい・・・。
天気は憎たらしいくらいの快晴で、だけどそれが私の心を少し軽くする。
昨日泣きながら思ったこと。
『こんなに苦しい恋はやめよう』
2人を見かけたときに声がかけられなかった自分も、そのあと先輩に連絡して事情を聞くこともできなかった自分も嫌だった。
結局それが出来ないほど、好きすぎて嫌われるのが怖い恋は苦しいだけだから。
窓から青空を見上げながら、よしっと意気込んで、学校に行く準備を始めた。
・・まず、この腫れた目とむくんだ顔をなんとかしないと・・・。
―――
「おはよー、理緒」
「あっ、茜。おっはよ~」
いつもと変わらない日常。
普通に挨拶を返したけど、茜がいつもと変わらないのも、何も言わないのもなんかおかしい。
本当は昨日のことを聞きたい気持ちが強くなったけど、朝の決意を思い出して飲み込んだ。
「理緒?そんなに見つめて・・どうかした?」
「え!?あ、全然何でもない!」
「全然って何それ~」
不自然さを隠しきれない私を、茜はおかしそうに笑う。
茜の普段すぎる態度に、やっぱり私の思い過ごしで、三井先輩との間には何もないんじゃないかって気持ちが沸き上がる。
だけどもう先輩のことを考えるだけで涙がこみ上げそうになるから、考えるのはやめた。
三井先輩から、今朝いつものようにメッセージが来てたけど、それも読んでないんだから。
―――
部活が始まる前の体育館で、三井は何やら落ち着きがない様子で宮城に話しかける。
「おい宮城、今日理緒来てねぇの?」
「学校には来てましたけど・・どうかしたんすか?」
「今日連絡つかなくて、部活だっていつも見に来るのに今日はまだ来てねぇから」
腰に手を当てて体育館内を見回す三井を見つめると、宮城はため息を一つ吐きながら
「それは三井さんの方っすよ」
「は?」
眉間にしわを寄せる三井に、宮城は昨日の放課後の出来事を伝えた。
三井は昨日理緒が練習を見に来たこと。
その時に三井が用事でいないことを、彩子から聞かされていたことを知った。
「俺・・理緒に連絡し忘れてた・・」
「理緒、アヤちゃんから聞くまでずっと待ってたんすよ」
「それで!?それから理緒はどうした!?」
そう問う三井の剣幕に宮城はただ驚いた。
そして少し後ずさりしながら
「・・アヤちゃんの話だと、買い物したいとかで駅の方へ歩いていったそうですよ」
やっとそれだけ伝える。
それを聞くなり思うところがあったのか、三井は嫌な予感がしてカバンの中から急いで何かを取り出すと、体育館を飛び出した。
「ちょっと三井サン!?」
宮城の呼びかけは三井に届いていなかった。
理緒はきっと何か誤解したに違いない。
宮城の言葉に瞬時にそう思った三井は、胸にじわりと浮かぶ嫌な予感を振り切るように校舎へと向かった。
「あ~あ、もう練習始まっちゃってるよね」
放課後ってこんなに長かったっけ?
三井先輩と付き合ってから毎日放課後は一緒だったからなぁ。
誰もいなくなった教室で、1人机に突っ伏す。
バタバタバタ
「?なんか廊下が騒がしい・・・・・・え・・・・・!」
勢いよく開いた教室のドアにびっくりして体を起こすと
「理緒!!」
「み・・つい先輩??こんな時間に・・部活は?」
騒がしい足音の主、三井先輩が教室に飛び込んできた。
先輩の慌てぶりに少し動揺したけど、何で来たのか、本当は分かってた。
「理緒・・はぁ・・はぁ・・。今日・・何で・・・はぁ・・・部活・・見に来ねぇの?」
三井先輩、相当息切れてる。
すごく急いで来てくれたのが分かる。
もうそれだけで十分です。
「もう、行く理由がないですから・・・。」
「はっ?」
「先輩、私達別れましょう?もう無理だなって思って」
言った。
先輩の顔が怖くて見れない。
顔をあげたらきっと泣いてしまうから・・・。
「嫌だ。無理じゃない」
「・・・え?」
「俺、別れる気ねぇもん」
きっぱりと予想外の返事をする先輩を、私はただ、呆然と見つめた。
「はぁ!?だって・・・」
先輩はいつもの余裕のある顔で私を真っ直ぐ見た。
すべてお見通しだとでもいうような目で。
「だって・・何だ?」
「だって・・・昨日茜とデートしてた。私に内緒で」
うつむきながら小さくそういう私の言葉を聞いてから、先輩は額に手を当てて盛大にため息をついた。
「はぁ・・やっぱ見たか。駅の方へ行ったって宮城に聞いて、そうじゃねぇかと思ったんだ」
「何それ!私は本気で悩んで・・・」
最後まで言い終わらないうちに、先輩は私を抱きしめた。
「昨日は・・・理緒へのプレゼントを選んでたんだよ。そろそろ付き合って半年になるだろ?」
「わ、わざわざ茜と一緒に?」
「理緒が一昨日の帰りに言ってただろ?その友達と手のサイズが同じだって」
「え?」
そこまで言うと先輩は、抱きしめていた体をゆっくりと離して、ポケットから小さい箱を取り出した。
「これ、理緒にやるんで大きさをその友達に確かめてもらったってわけ」
「嘘・・・」
「指輪やるのにサイズがあわねぇなんてダサイだろ!?サプライズにしたかったし・・それにまさか理緒に見られるとは思わなかった」
小さい箱を開けてみる。
本当に三井先輩が選んだのかと思うほど、可愛い指輪が1つ入ってた。
「本当は違うものにしようと思ったけど、指輪の方が他の奴を牽制できるから」
「何それ・・」
先輩が言ってることが理解出来なくて、思わず聞き返すと先輩は大げさに感じるほど眉間にしわを寄せて
「理緒は俺が好きになるくらいだからな、心配なんだ」
そう言って頭を撫でた。
「私・・先輩が茜を好きになったんだと思って・・」
指輪を信じられない気持ちで見つめながら小さく呟くと、先輩は口の端を少し持ち上げて笑った。
「そんなわけねぇだろ。半年記念を覚えてた彼氏に失礼だな、お前は」
「う・・ごめんなさい・・」
「まぁ、俺も内緒にしたくて誤解させたから悪かったけどな」
少しバツが悪そうに頭をかいたあとに先輩は、今日指輪を持ってきてよかったと小さく呟いた。
「手、出せよ。はめてやるから」
「う、うん」
先輩の大きな両手が私の右手を包む。
この体温が、いつものように私を安心させてくれる。
「言っとくけどな、理緒の友達にはサイズの確認だけで、この指輪はもちろんはめてないし、デザインだって俺が―――」
これ以上私に誤解をさせまいと、少し赤くなりながら説明する先輩。
「ふふっ、分かってるよ、先輩」
「まぁ・・ならいいけど、よ」
私の好きな色もデザインも、先輩にはお見通しで。
先輩は指輪をはめたあと、満足そうに私の指を撫でた。
「だからもう変な誤解すんな。別れるとか、心臓止まりそうなことも言うなよ」
「うん」
放課後の教室・・・私と先輩の影が重なった。
=それから=
「あっ!やべ!!」
「どうしたの?」
「今日部活休むの赤木の野郎に言ってねぇ!」
「嘘!!」
「はぁ、めんどくせぇことになりそうだぜ。」
心底面倒くさそうな先輩を見て、自然と笑みがこぼれる。
隣にいられることが、こんなにも幸せなことだったんだなぁ。
「あ、でもリョーちゃんが言っといてくれたかも」
ここに来るまでにリョーちゃんと話をしてたわけだし、と続けると
「おっ!そうだな。じゃあ今日はこのまま帰ろうぜ」
先輩はそう言うなり私の右手を握って歩き出した。
指輪をはめた手を握ったのは、偶然じゃないよね、先輩?
私からの半年記念は何を渡そうかな。
大好きな先輩の横顔を見ながら、たくさん考えよう。
結局リョーちゃんは三井先輩の行動をよく理解してなかったせいか、赤木先輩には言ってなくて。
そして先輩が予想してた通り、赤木先輩に色々うるさく言われたらしい・・・。
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