①_湘北編
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宮城はコートに戻るや否や三井に話しかけ、2人で理緒達の方を見ながら何やら話していた。
気を抜かずに集中しろという赤木の声で、宮城や三井のみならず、部員全員が引き締まる。
(それにしてもリョータのせいで理緒ちゃんに仙道との関係を聞きそびれちゃったじゃない)
そんな事を思っていると、理緒がいきなり尋ねてきた。
「あの、彩子さん?もしよかったらなんですけど・・・」
「なに?理緒ちゃん」
「流川君について少し教えてもらってもいいですか?」
「流川?」
彩子は少し不思議に思ったが、好奇心に満ちた真剣な眼差しで聞いてくる理緒が愛らしく、「そうねぇ~」と話し出す。
どんなプレイヤーなのか、今までの試合やプレーも含めて。
理緒は彩子の話を聞きながら、自分自身わくわくするのを感じた。
「・・・とりあえずおおまかだけど、どんな奴かなんとなく分かった?」
「はいっ!とにかく強い人なんですよね?」
「そうね~。あれだけ出来る奴もなかなかいないと思うわ。でもなぜ流川の事を?」
最初に聞いておくべきだったけど、と前置きをしたあとに彩子が聞く。
「仙道君が『流川は面白い奴だ~』って言ってたんで。私も1on1で勝負してもらいたいなって」
「あははっ、仙道らしいわね・・・って理緒ちゃん?今なんて・・・?」
理緒の言葉が信じられず、思わず顔から笑みが消える。
彩子はもう一度確認する為、再度尋ねた。
「え?流川君に勝負してもらいたいって・・言ったんです・・けど・・・」
「流川と勝負!?え、本気なの!?」
「そうですけど・・・やっぱだめですか・・?」
まるで小動物のようにしゅんとなった理緒を見ながらも、戸惑いを隠せなかった。
突然来て、話を聞いて、流川と勝負なんて無謀にもほどがある。
実際流川は本当にすごい奴だからだ。
バスケの腕は超高校級で陵南の仙道とも互角に争う。
それより、まずなによりも流川自身、女とバスケをやるような奴ではない。
「ねぇ、理緒ちゃん?そういえばさっき聞きそびれたんだけど、仙道とはどういう関係なの?高校も学年も違うじゃない?」
彩子はとりあえず落ち着き、仙道と理緒との関係を聞くことにした。
「あっと、そうです。仙道君とはバスケ友達なんです。」
「バスケ友達?」
「はい。私ついこの間までアメリカに住んでたんです。そこでバスケをしてて・・・」
理緒の話では、どうやら理緒はアメリカ生まれアメリカ育ちの日本人らしい。
アメリカでは毎日のように、どこにもあるコートでバスケをやっていたが、日本ではバスケができる場所が限られている。
やっと見つけたストリートコートで仙道と会い、一緒にバスケをしたというのだ。
「そうだったのね。それで・・仙道と勝負はしたの?」
「はい、勝たせてもらっちゃいました!」
「・・えぇ!?」
一瞬の間を置いてから、彩子は唖然とした。
「勝たせてもらったって・・言ったって・・」
いくら相手が女の子とはいえ、勝負に手を抜くような奴だろうか?
「(もしかしてこの子・・・とんでもない子なんじゃないかしら・・・)」
仙道との勝負を思い出したのか、仙道のプレーのすごさをニコニコしながら語る理緒を見ながら、彩子は直感でそう感じた。
そうこうしているうちに部活が終わり、部員達が水を飲もうとドアの方に近づいてくる。
「おっ、この子か?宮城が可愛いって言ってたのは」
「ちょ、ちょっと三井サン。そんなこと言わないでくださいよ」
タオルを片手に、三井と宮城が理緒のそばに来た。
「お疲れ様です。蓮見理緒といいます」
にっこり微笑む理緒。
「本当に可愛いな~!俺三井寿、よろしくな」
思わず口から出た言葉を隠すことなく告げると、今度は宮城の耳元に近付いて
(おい宮城、マジ可愛いじゃねぇかよ!)
(だからそう言ったじゃないっすか)
2人はなにやらこそこそ話しを始めた。
するとそこへ、ある意味理緒のお待ちかね、流川がやってきた。
「流川、お疲れ様」
彩子が流川に声をかけた。
「うす。・・・先輩、こいつ誰っすか?ずっといたみたいすけど」
珍しく流川が気にかけた様子で彩子に聞き、そして理緒を見下ろす。
蓮見理緒です、と理緒は再度繰り返し自己紹介をした。
そして次の瞬間、体育館がいっきに静まるような言葉を理緒が発した。
「流川君、私と勝負してもらえませんか?」
その言葉に一瞬固まる流川。
部員全員の驚きの視線が、一気に理緒と流川に集まる。
「・・は?何で俺がおめぇと」
至極当然の反応を返す。
「仙道君から聞いたんです。流川君のこと」
「仙道・・・?」
すると、それまで隅っこでドリブル練習をしていた桜木が理緒達の方へ向かってきた。
「仙道だとぉぉ!しかもあの野郎、何でこの天才じゃなくルカワなんかを!!」
「あなた、桜木君だよね。聞いたよ。すごいリバウンドだって」
「いやぁぁ、天才ですから!!・・・ところで君誰?」
バシっ
彩子がどこからともなく出したハリセンで桜木を叩いた。
「っつ~~~!!アヤコさん、痛いっすよ。」
「桜木花道!失礼でしょうが!!理緒ちゃん、ごめんね!本当に見た通りの失礼な奴なの!」
「ふふっ、大丈夫です」
そう言って笑う理緒に、桜木は一瞬みとれた後、顔一杯の笑顔になった。
「いやぁ~理緒さんっていうんですかぁ。可愛い名前ですね~」
ドス
「花道、馴れ馴れしいぞ!」
ゲシ
「そうだ、おめぇはまだドリブルでもやってろ」
桜木が誉められた上に、やけに嬉しそうに話しかけたのが気にくわなかったのか、宮城と三井が割り込む。
「ぬぅぅ、リョーちんもミッチーもこの天才になんてコトを!!」
そして3人がギャーギャー騒ぎ出す。
いつもの光景と言わんばかりに、赤木や小暮はためいきまじりでそれを見ていた。
「ドアホウどもめ。で?あんた、俺と勝負したいとかなんとか・・・」
仙道がからんでいるからであろうか、3人を横目で見て溜め息をつきながらも、珍しく流川が話題を戻す。
理緒は思い出したかのように手を叩くと
「そうです。私と勝負していただけませんか?1on1の10本勝負で」
そんな理緒を、流川はじっと見つめる。
すると、彩子が助け舟を出すように流川に耳打ちした。
「理緒ちゃん、あの仙道に1on1で勝ったんですって。勝負する価値はあるんじゃない?」
流川は驚いて再度目を見開いて理緒を見る。
仙道に勝っただと?
理緒の容姿からじゃとても想像出来なかったが、とにかく興味があった。
そしてなにより売られたケンカは買うのが流川である。
「・・・10本だな。受けてやる」
「あっ、ありがとうございます!私着替えてきますね」
「理緒ちゃん、着替えるなら案内するわ」
彩子が理緒に、親指を立ててGOODのサインを送ると、理緒もそれに応えるように、小さく笑ってお辞儀をした。
数分後、理緒が戻ってくると、部員達は誰一人帰らず、体育館に残っていた。
よほどこの勝負に興味があるようだ。
理緒はというと、先ほどの制服姿はTシャツにハーフパンツとなり、長めの髪は束ねてポニーテールになっていた。
別人に近い理緒の姿だったが、皆は相変わらず
「(((((これはこれで可愛い)))))」
理緒にみとれていた。
そんな部員達を気にすることなく、理緒は流川の待つコートに向かう。
「流川君、お願いしますね」
「おう」
そう言って2人とも1on1の準備に入った。
「あ~本当は俺がやりてぇよ」
「本当っすよね。何で流川なんだか」
「この天才より劣るルカワがなぜ!!」
「あ~も皆、静かにして!集中できないでしょ」
皆の口から出ていた心の台詞を、彩子が一蹴すると、体育館内は静まった。
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気を抜かずに集中しろという赤木の声で、宮城や三井のみならず、部員全員が引き締まる。
(それにしてもリョータのせいで理緒ちゃんに仙道との関係を聞きそびれちゃったじゃない)
そんな事を思っていると、理緒がいきなり尋ねてきた。
「あの、彩子さん?もしよかったらなんですけど・・・」
「なに?理緒ちゃん」
「流川君について少し教えてもらってもいいですか?」
「流川?」
彩子は少し不思議に思ったが、好奇心に満ちた真剣な眼差しで聞いてくる理緒が愛らしく、「そうねぇ~」と話し出す。
どんなプレイヤーなのか、今までの試合やプレーも含めて。
理緒は彩子の話を聞きながら、自分自身わくわくするのを感じた。
「・・・とりあえずおおまかだけど、どんな奴かなんとなく分かった?」
「はいっ!とにかく強い人なんですよね?」
「そうね~。あれだけ出来る奴もなかなかいないと思うわ。でもなぜ流川の事を?」
最初に聞いておくべきだったけど、と前置きをしたあとに彩子が聞く。
「仙道君が『流川は面白い奴だ~』って言ってたんで。私も1on1で勝負してもらいたいなって」
「あははっ、仙道らしいわね・・・って理緒ちゃん?今なんて・・・?」
理緒の言葉が信じられず、思わず顔から笑みが消える。
彩子はもう一度確認する為、再度尋ねた。
「え?流川君に勝負してもらいたいって・・言ったんです・・けど・・・」
「流川と勝負!?え、本気なの!?」
「そうですけど・・・やっぱだめですか・・?」
まるで小動物のようにしゅんとなった理緒を見ながらも、戸惑いを隠せなかった。
突然来て、話を聞いて、流川と勝負なんて無謀にもほどがある。
実際流川は本当にすごい奴だからだ。
バスケの腕は超高校級で陵南の仙道とも互角に争う。
それより、まずなによりも流川自身、女とバスケをやるような奴ではない。
「ねぇ、理緒ちゃん?そういえばさっき聞きそびれたんだけど、仙道とはどういう関係なの?高校も学年も違うじゃない?」
彩子はとりあえず落ち着き、仙道と理緒との関係を聞くことにした。
「あっと、そうです。仙道君とはバスケ友達なんです。」
「バスケ友達?」
「はい。私ついこの間までアメリカに住んでたんです。そこでバスケをしてて・・・」
理緒の話では、どうやら理緒はアメリカ生まれアメリカ育ちの日本人らしい。
アメリカでは毎日のように、どこにもあるコートでバスケをやっていたが、日本ではバスケができる場所が限られている。
やっと見つけたストリートコートで仙道と会い、一緒にバスケをしたというのだ。
「そうだったのね。それで・・仙道と勝負はしたの?」
「はい、勝たせてもらっちゃいました!」
「・・えぇ!?」
一瞬の間を置いてから、彩子は唖然とした。
「勝たせてもらったって・・言ったって・・」
いくら相手が女の子とはいえ、勝負に手を抜くような奴だろうか?
「(もしかしてこの子・・・とんでもない子なんじゃないかしら・・・)」
仙道との勝負を思い出したのか、仙道のプレーのすごさをニコニコしながら語る理緒を見ながら、彩子は直感でそう感じた。
そうこうしているうちに部活が終わり、部員達が水を飲もうとドアの方に近づいてくる。
「おっ、この子か?宮城が可愛いって言ってたのは」
「ちょ、ちょっと三井サン。そんなこと言わないでくださいよ」
タオルを片手に、三井と宮城が理緒のそばに来た。
「お疲れ様です。蓮見理緒といいます」
にっこり微笑む理緒。
「本当に可愛いな~!俺三井寿、よろしくな」
思わず口から出た言葉を隠すことなく告げると、今度は宮城の耳元に近付いて
(おい宮城、マジ可愛いじゃねぇかよ!)
(だからそう言ったじゃないっすか)
2人はなにやらこそこそ話しを始めた。
するとそこへ、ある意味理緒のお待ちかね、流川がやってきた。
「流川、お疲れ様」
彩子が流川に声をかけた。
「うす。・・・先輩、こいつ誰っすか?ずっといたみたいすけど」
珍しく流川が気にかけた様子で彩子に聞き、そして理緒を見下ろす。
蓮見理緒です、と理緒は再度繰り返し自己紹介をした。
そして次の瞬間、体育館がいっきに静まるような言葉を理緒が発した。
「流川君、私と勝負してもらえませんか?」
その言葉に一瞬固まる流川。
部員全員の驚きの視線が、一気に理緒と流川に集まる。
「・・は?何で俺がおめぇと」
至極当然の反応を返す。
「仙道君から聞いたんです。流川君のこと」
「仙道・・・?」
すると、それまで隅っこでドリブル練習をしていた桜木が理緒達の方へ向かってきた。
「仙道だとぉぉ!しかもあの野郎、何でこの天才じゃなくルカワなんかを!!」
「あなた、桜木君だよね。聞いたよ。すごいリバウンドだって」
「いやぁぁ、天才ですから!!・・・ところで君誰?」
バシっ
彩子がどこからともなく出したハリセンで桜木を叩いた。
「っつ~~~!!アヤコさん、痛いっすよ。」
「桜木花道!失礼でしょうが!!理緒ちゃん、ごめんね!本当に見た通りの失礼な奴なの!」
「ふふっ、大丈夫です」
そう言って笑う理緒に、桜木は一瞬みとれた後、顔一杯の笑顔になった。
「いやぁ~理緒さんっていうんですかぁ。可愛い名前ですね~」
ドス
「花道、馴れ馴れしいぞ!」
ゲシ
「そうだ、おめぇはまだドリブルでもやってろ」
桜木が誉められた上に、やけに嬉しそうに話しかけたのが気にくわなかったのか、宮城と三井が割り込む。
「ぬぅぅ、リョーちんもミッチーもこの天才になんてコトを!!」
そして3人がギャーギャー騒ぎ出す。
いつもの光景と言わんばかりに、赤木や小暮はためいきまじりでそれを見ていた。
「ドアホウどもめ。で?あんた、俺と勝負したいとかなんとか・・・」
仙道がからんでいるからであろうか、3人を横目で見て溜め息をつきながらも、珍しく流川が話題を戻す。
理緒は思い出したかのように手を叩くと
「そうです。私と勝負していただけませんか?1on1の10本勝負で」
そんな理緒を、流川はじっと見つめる。
すると、彩子が助け舟を出すように流川に耳打ちした。
「理緒ちゃん、あの仙道に1on1で勝ったんですって。勝負する価値はあるんじゃない?」
流川は驚いて再度目を見開いて理緒を見る。
仙道に勝っただと?
理緒の容姿からじゃとても想像出来なかったが、とにかく興味があった。
そしてなにより売られたケンカは買うのが流川である。
「・・・10本だな。受けてやる」
「あっ、ありがとうございます!私着替えてきますね」
「理緒ちゃん、着替えるなら案内するわ」
彩子が理緒に、親指を立ててGOODのサインを送ると、理緒もそれに応えるように、小さく笑ってお辞儀をした。
数分後、理緒が戻ってくると、部員達は誰一人帰らず、体育館に残っていた。
よほどこの勝負に興味があるようだ。
理緒はというと、先ほどの制服姿はTシャツにハーフパンツとなり、長めの髪は束ねてポニーテールになっていた。
別人に近い理緒の姿だったが、皆は相変わらず
「(((((これはこれで可愛い)))))」
理緒にみとれていた。
そんな部員達を気にすることなく、理緒は流川の待つコートに向かう。
「流川君、お願いしますね」
「おう」
そう言って2人とも1on1の準備に入った。
「あ~本当は俺がやりてぇよ」
「本当っすよね。何で流川なんだか」
「この天才より劣るルカワがなぜ!!」
「あ~も皆、静かにして!集中できないでしょ」
皆の口から出ていた心の台詞を、彩子が一蹴すると、体育館内は静まった。
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