①_湘北編
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「ここね、湘北高校は」
そう言って校門に立つ一人の少女。
明らかに制服が違う彼女を、湘北の生徒は珍しそうに見ながら通り過ぎる。
そして彼女自身に自覚はないが、かなりの整った容姿の持ち主のため、さらに視線を集めていた。
「さて!体育館はどこかな~」
そんな湘北の生徒たちの視線を一切気にすることなく、わくわくしながら湘北の敷地内に足を踏み入れ、辺りをグルリと見渡す。
「すいません。体育館はどこですか?」
「あぁ?」
聞いた方が早いと思ったのか、とりあえず近くにいた4人組に声をかけた。
見るからにヤンキーな出で立ちの4人。
「あの・・体育館に行きたいんですけど・・・」
「あぁ、はいはい。体育館ね」
「そこの建物の角を曲がってまっすぐ行けばいいんだよ」
見た目とは違い、身振りを交えながら教えてくれる姿に安心した少女。
「どうも親切にありがとうございました」
そう言って4人の顔を見て笑顔で軽く頭をさげる。
胸の辺りまである長めのストレートの髪がさらりと揺れる。
「((((おっ!可愛い・・・))))」
4人全員が一瞬にして目を奪われるほど、少女の笑顔は可愛らしいものだった。
「それじゃあ私はこれで――」
「ちょ、ちょっとまって。名前は?」
4人のうち太っていて眼鏡をかけている男が、去ろうとする少女を引き留めるように焦り口調で聞いた。
「おいおい、急に名前なんて聞いたらビビるだろーが」
「だってよぉ」
ちょび髭の男がたしなめると、少女はその様子にくすっと笑ってから、
「蓮見・・蓮見理緒です」
突然の問いかけにもかかわらず、臆することもなくすんなりと名前を告げた。
「理緒ちゃんかぁ~~、俺は高宮っていうんだ」
「おい、お前何ちゃっかり!あ~、おれは野間だ」
すると金髪の男が口をはさんだ。
「高宮!野間!おめぇらばっかりずりぃぞ!俺は大楠」
最後に一番顔立ちのいい男が自己紹介をした。
「水戸洋平ってんだ、よろしくな」
「よろしくお願いします!ではまた」
そう言って軽く会釈をし、理緒は先ほど教えてもらった方へ歩いていった。
「湘北の生徒じゃねぇよな」
「あぁ、制服が違ったし」
「あれはどこの学校だったっけ?」
「まぁそれにしても、あんなに可愛い子もいるんだな~」
「「「確かに」」」
うんうんと頷きながら、この4人組、その名も『桜木軍団』は下校して行った。
***
「あっ、体育館てあれかな?」
桜木軍団と別れた理緒は、体育館に辿り着いた。
中からはボールをつく音が聞こえる。
「うわぁ~やってるやってる」
ドアが開いていたので、そこから中を見る。
とにかく一瞬で目がいったのは赤い坊主頭。
「あの人が桜木君・・・かな??」
事前に聞いていた情報と相違ない姿に、思わずこぼれた笑みを隠すことなく、少しの間練習風景を見ていた。
すると…
「あれ?先輩。あそこにいる子、海南の制服ですよね?」
「あ?・・あぁ、そうだな」
「珍しいですね、何か用でしょうか?ちょっと聞いてきます」
一人の女の人が理緒に近づいてくる。
「ねぇ、あなた?海南の生徒さんよね?」
「あっ、はい!」
「うちのバスケ部に何か?」
「・・・あの・・・」
もしかして怒られるのではないかと少し怯える理緒の様子に気付き、彩子は微笑した。
「別に怒ってるわけじゃないのよ?ただ他校の生徒がここにいるのが不思議なだけだから」
「そう・・ですか・・あ、そうですよね」
すみません、とそう言って理緒は少し安心したような顔をした。
幼く無防備なその表情は、同性の彩子から見ても素直に可愛いと思えるものだった。
「あの、仙道君に湘北には面白いプレーをする人がたくさんいるって聞いてきたんですけど・・・」
「仙道に!?」
意外な名前が出てきたことに驚く彩子。
なぜこの子が仙道と知り合いなのか。
目の前にいる少女と仙道との結びつきが、まったく想像できない。
「と、とにかく、そういうことなら見学していく?キャプテンには私から話しておくから」
「えっ、本当ですか!?ありがとうございます!!」
そういって満面の笑みを浮かべる彼女につられ、彩子も笑顔で返した。
「ちょっと話してくるから、そこの椅子に座っててもらえる?」
「はい!・・えぇと・・・」
「私は2年の彩子。湘北バスケ部マネージャーよ」
「あっ、私は海南大付属の1年で蓮見理緒です」
緊張の解けた笑顔で挨拶をする理緒。
「(あんな可愛い子っているのねー。屈託のない笑顔で)」
そんな事を思いながら、彩子はキャプテンである赤木のいる方へ向かった。
「どうだ?」
「はい、なんか不思議な子で――」
理緒の事を話すと、彩子同様に驚く赤木。
「なに?仙道の話を聞いてここに来たのか?」
「そうみたいです。偵察などではなさそうですし、見学させてあげてもいいでしょうか」
彩子はそう言って、ドア近くの椅子に座っている理緒を見遣る。
赤木は腕を組んで少し考えてから、
「ふむ・・・まぁいいだろう。それにしてもなぜ海南の女生徒が仙道と知り合いなんだ?」
「私もそれが気になったんですよね。あとで聞いてみます」
館内で練習している部員達を、理緒は邪魔にならないようにそっと見つめる。
「(あの人は・・スリー専門の三井さんかな?キレイなフォーム・・・)」
三井のシュートに思わず見入りながらも、その後ろのハーフコートに目線を映す。
「(あれは絶対ガードの宮城さん。私よりも少し身長が高いかな)」
周りと比べて特徴的とも言える身長ながら、人一倍動きの速い宮城を見つつ、隣のコートに目を遣る。
「(ゴール前にいるのはキャプテンの赤木さんね。魚住さんの唯一の敵といわれてる・・・)」
赤木の存在感と迫力に納得しつつ、少し観察していると、ひときわプレーも応援も華やかな人を見つけた。
「いた・・。きっと彼が流川君ね。仙道君となんとなく似てるし・・・」
「よくわかったわね?」
「うわぁぁ!彩子さん!?」
突然隣から聞こえた声に驚く理緒。
湘北の選手に夢中になっている間に、彩子は理緒のすぐ隣にいたのだ。
「うちの連中、かなり個性的なやつらばっかでしょう?」
「はい!仙道君の言う通りですね!」
「ねぇ理緒ちゃん?」
「はい?」
理緒の返事に、彩子がここぞとばかりに気になっていたことを切り出した。
「理緒ちゃんは仙道とどういった知り合いなの?」
「えっと、それはですね――」
「アヤちゃぁぁんvvv」
理緒が言いかけたところに、丁度宮城がつっこんできた。
「リョータ!!」
「ねぇ見た!?俺、シュート率上がってない?・・・ってこの子は?」
そう言うと宮城は理緒の存在に気付いたようで。
「うちのバスケ部を見学したいっていうから、見学させてあげてるのよ」
「蓮見理緒といいます。練習の邪魔にならないようにしてますので・・」
そういって頭を軽く下げて宮城の方を見つめた。
まっすぐ見つめられた宮城は、一瞬にして顔が赤くなる。
それから急におとなしくなって
「あ、宮城リョータです・・・よろしく・・・」
ソワソワしながら練習に戻って行った。
(なーにやってんだか。まぁ無理もないわね、こんな可愛い子に見つめられたら)
宮城に呆れつつ、そう思いながら彩子は理緒を見た。
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そう言って校門に立つ一人の少女。
明らかに制服が違う彼女を、湘北の生徒は珍しそうに見ながら通り過ぎる。
そして彼女自身に自覚はないが、かなりの整った容姿の持ち主のため、さらに視線を集めていた。
「さて!体育館はどこかな~」
そんな湘北の生徒たちの視線を一切気にすることなく、わくわくしながら湘北の敷地内に足を踏み入れ、辺りをグルリと見渡す。
「すいません。体育館はどこですか?」
「あぁ?」
聞いた方が早いと思ったのか、とりあえず近くにいた4人組に声をかけた。
見るからにヤンキーな出で立ちの4人。
「あの・・体育館に行きたいんですけど・・・」
「あぁ、はいはい。体育館ね」
「そこの建物の角を曲がってまっすぐ行けばいいんだよ」
見た目とは違い、身振りを交えながら教えてくれる姿に安心した少女。
「どうも親切にありがとうございました」
そう言って4人の顔を見て笑顔で軽く頭をさげる。
胸の辺りまである長めのストレートの髪がさらりと揺れる。
「((((おっ!可愛い・・・))))」
4人全員が一瞬にして目を奪われるほど、少女の笑顔は可愛らしいものだった。
「それじゃあ私はこれで――」
「ちょ、ちょっとまって。名前は?」
4人のうち太っていて眼鏡をかけている男が、去ろうとする少女を引き留めるように焦り口調で聞いた。
「おいおい、急に名前なんて聞いたらビビるだろーが」
「だってよぉ」
ちょび髭の男がたしなめると、少女はその様子にくすっと笑ってから、
「蓮見・・蓮見理緒です」
突然の問いかけにもかかわらず、臆することもなくすんなりと名前を告げた。
「理緒ちゃんかぁ~~、俺は高宮っていうんだ」
「おい、お前何ちゃっかり!あ~、おれは野間だ」
すると金髪の男が口をはさんだ。
「高宮!野間!おめぇらばっかりずりぃぞ!俺は大楠」
最後に一番顔立ちのいい男が自己紹介をした。
「水戸洋平ってんだ、よろしくな」
「よろしくお願いします!ではまた」
そう言って軽く会釈をし、理緒は先ほど教えてもらった方へ歩いていった。
「湘北の生徒じゃねぇよな」
「あぁ、制服が違ったし」
「あれはどこの学校だったっけ?」
「まぁそれにしても、あんなに可愛い子もいるんだな~」
「「「確かに」」」
うんうんと頷きながら、この4人組、その名も『桜木軍団』は下校して行った。
***
「あっ、体育館てあれかな?」
桜木軍団と別れた理緒は、体育館に辿り着いた。
中からはボールをつく音が聞こえる。
「うわぁ~やってるやってる」
ドアが開いていたので、そこから中を見る。
とにかく一瞬で目がいったのは赤い坊主頭。
「あの人が桜木君・・・かな??」
事前に聞いていた情報と相違ない姿に、思わずこぼれた笑みを隠すことなく、少しの間練習風景を見ていた。
すると…
「あれ?先輩。あそこにいる子、海南の制服ですよね?」
「あ?・・あぁ、そうだな」
「珍しいですね、何か用でしょうか?ちょっと聞いてきます」
一人の女の人が理緒に近づいてくる。
「ねぇ、あなた?海南の生徒さんよね?」
「あっ、はい!」
「うちのバスケ部に何か?」
「・・・あの・・・」
もしかして怒られるのではないかと少し怯える理緒の様子に気付き、彩子は微笑した。
「別に怒ってるわけじゃないのよ?ただ他校の生徒がここにいるのが不思議なだけだから」
「そう・・ですか・・あ、そうですよね」
すみません、とそう言って理緒は少し安心したような顔をした。
幼く無防備なその表情は、同性の彩子から見ても素直に可愛いと思えるものだった。
「あの、仙道君に湘北には面白いプレーをする人がたくさんいるって聞いてきたんですけど・・・」
「仙道に!?」
意外な名前が出てきたことに驚く彩子。
なぜこの子が仙道と知り合いなのか。
目の前にいる少女と仙道との結びつきが、まったく想像できない。
「と、とにかく、そういうことなら見学していく?キャプテンには私から話しておくから」
「えっ、本当ですか!?ありがとうございます!!」
そういって満面の笑みを浮かべる彼女につられ、彩子も笑顔で返した。
「ちょっと話してくるから、そこの椅子に座っててもらえる?」
「はい!・・えぇと・・・」
「私は2年の彩子。湘北バスケ部マネージャーよ」
「あっ、私は海南大付属の1年で蓮見理緒です」
緊張の解けた笑顔で挨拶をする理緒。
「(あんな可愛い子っているのねー。屈託のない笑顔で)」
そんな事を思いながら、彩子はキャプテンである赤木のいる方へ向かった。
「どうだ?」
「はい、なんか不思議な子で――」
理緒の事を話すと、彩子同様に驚く赤木。
「なに?仙道の話を聞いてここに来たのか?」
「そうみたいです。偵察などではなさそうですし、見学させてあげてもいいでしょうか」
彩子はそう言って、ドア近くの椅子に座っている理緒を見遣る。
赤木は腕を組んで少し考えてから、
「ふむ・・・まぁいいだろう。それにしてもなぜ海南の女生徒が仙道と知り合いなんだ?」
「私もそれが気になったんですよね。あとで聞いてみます」
館内で練習している部員達を、理緒は邪魔にならないようにそっと見つめる。
「(あの人は・・スリー専門の三井さんかな?キレイなフォーム・・・)」
三井のシュートに思わず見入りながらも、その後ろのハーフコートに目線を映す。
「(あれは絶対ガードの宮城さん。私よりも少し身長が高いかな)」
周りと比べて特徴的とも言える身長ながら、人一倍動きの速い宮城を見つつ、隣のコートに目を遣る。
「(ゴール前にいるのはキャプテンの赤木さんね。魚住さんの唯一の敵といわれてる・・・)」
赤木の存在感と迫力に納得しつつ、少し観察していると、ひときわプレーも応援も華やかな人を見つけた。
「いた・・。きっと彼が流川君ね。仙道君となんとなく似てるし・・・」
「よくわかったわね?」
「うわぁぁ!彩子さん!?」
突然隣から聞こえた声に驚く理緒。
湘北の選手に夢中になっている間に、彩子は理緒のすぐ隣にいたのだ。
「うちの連中、かなり個性的なやつらばっかでしょう?」
「はい!仙道君の言う通りですね!」
「ねぇ理緒ちゃん?」
「はい?」
理緒の返事に、彩子がここぞとばかりに気になっていたことを切り出した。
「理緒ちゃんは仙道とどういった知り合いなの?」
「えっと、それはですね――」
「アヤちゃぁぁんvvv」
理緒が言いかけたところに、丁度宮城がつっこんできた。
「リョータ!!」
「ねぇ見た!?俺、シュート率上がってない?・・・ってこの子は?」
そう言うと宮城は理緒の存在に気付いたようで。
「うちのバスケ部を見学したいっていうから、見学させてあげてるのよ」
「蓮見理緒といいます。練習の邪魔にならないようにしてますので・・」
そういって頭を軽く下げて宮城の方を見つめた。
まっすぐ見つめられた宮城は、一瞬にして顔が赤くなる。
それから急におとなしくなって
「あ、宮城リョータです・・・よろしく・・・」
ソワソワしながら練習に戻って行った。
(なーにやってんだか。まぁ無理もないわね、こんな可愛い子に見つめられたら)
宮城に呆れつつ、そう思いながら彩子は理緒を見た。
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