君に好かれるなら
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「『蓮見さん
俺は君に一目ぼれしました。好きです』
『蓮見理緒様。
俺は君が好きです。
もしよかったら付き合ってください』」
今は5時間目。
授業をサボって1人屋上でブツブツ呟いている少女が1人。
手紙らしきものを読みながら、それを1つ1つ紙飛行機にしている。
「『好き』『一目ぼれ』『付き合う』・・・なーんて、外見だけ見てるんでしょ?結局は・・・」
彼女の名前は蓮見理緒。
湘北高校1年で、校内でも有名な美少女である。
その外見ゆえか、こうして手紙をもらったり、告白されることも多い。
だが、理緒はそれを喜ぶ様子もなく、告白は必ずというほど断り、手紙を貰っても毎回屋上で紙飛行機にして、帰りがけに校舎玄関のくず入れに入れてしまうのだった。
ひどいことをしているとは思っても、内容に応えることはもちろん、持ち帰る気にもなれなかった。
「外見をどれだけ好きになってもらったって、嬉しくないのになぁ。。」
屋上のフェンスに背をもたれ、ゆっくり目を閉じる。
柔らかくてすがすがしい風が、頬をかすめた。
「おい、蓮見」
「ん?流川君」
いきなり声がして、理緒がそっと目を開くと、目の前にはバスケ部1年エースの流川が立っていた。
流川と理緒はいわゆるサボリ仲間で、この屋上の『常連』だ。
ここで知り合い、何回も顔を合わせてるうちに自然と話すようになった。
今では『知り合い』から『友人』の関係になっている。
「これ、ドア開けたら飛んできた」
流川はそう言うと、さきほどまで理緒が折っていた紙飛行機を手渡す。
理緒はちょっと苦笑いをしながら受け取った。
「あ~、ごめん。飛んじゃったんだね」
「・・・」
ふと理緒の足元を見ると、いくつかの紙飛行機が置いてあった。
少し異様な光景に思えたのか、流川は無表情のまま首をかしげる。
「何だ、これ」
「これ?知らない人から告白の手紙だから、紙飛行機にしてるんだよね」
「は?」
言っていることの意味は分かるが、その行動の意味が分からない。
流川はめんどくさそうに頭をかいてから、
「ふーん・・で?」
それが何かを聞いてんだよ、とでも言いたげに、紙飛行機を指さした。
理緒は流川のその仕草がたまらなく面白くて、クスクス笑ったあとに紙飛行機を1つ手に取って開く。
「いやさ~、なんか面識もないのになぜか私を好きだっていうんだけど、それって外見だけしか見てないじゃん?って思ってて」
そう言って、理緒は切なそうに手紙を見つめた。
それからすぐに困ったような笑顔で、
「そんな人と付き合えるわけないじゃんね!大体さ、顔が好きってどうよ!?顔が変わったら嫌いになるってことじゃん。うわべだけのくせに、『好き』とか『付き合う』とか意味分かんない。顔だけ好かれても全然嬉しくないんだけど」
溜まっていた何かを吐き出すように、まくしたてて一気に話す。
流川はそれをただ黙って聞いていた。
そんな流川を不思議に思ったのか、理緒が流川の方を見る。
「流川君??・・・あっ、ごめん!私ばっか超喋ってるね!」
「・・けど・・・」
流川はボソっと小さい声で呟きながら、その場で仰向けに寝転んだ。
「ん?何??」
理緒が聞き返すと、今度はさっきよりも少し大きな声で言った。
「分かるけど」
「?何が?」
流川の言った意味がよく分からずに、再度聞き返す理緒。
あまりに伝わらないことに、いつもなら話すことすら諦める流川だが、なぜか今日はそんな気にならず、ハッキリと伝える。
「だから、蓮見の言ってることが」
「私の言ってること?」
「その・・ウワベだけってやつ」
流川は目を閉じながら、ため息とも思えるほど大きく息を吐くと、
「話しかけてくる女、バスケ中にうるせぇ女、皆そうだ。ウワベだけしか見てねぇ。そういう奴ら、疲れる」
ブツ切りな言葉でそう言った。
廊下を歩いていれば、突然渡される手紙。
親衛隊という、名前も顔も知らない女子達から叫ばれる自分の名前。
普段周りを気にすることのない流川でも、毎日のことになるとさすがに嫌気が差していた。
「知らねー奴に好かれるとか、気持ち悪ぃ」
「おぉ!そこまで行くか・・でもまぁ分からなくもないっていうか」
目を閉じている流川の眉間に皺が寄っていて、露骨に嫌がっているのが分かり、理緒は思わず苦笑した。
「私、同じことを思う人って流川君が初めてかも」
「?」
「あのさ、今まで誰に言っても嫌味に取られるというか、羨ましがられたりしてたから」
「なんか・・めんどくせー」
「ふふっ」
流川の至極もっともな言葉に、思わず笑ってしまう。
確かに、一言で言ってしまえばもうすべてがめんどくさいのだ。
「でもさー・・・」
理緒は笑顔から少し諦めをにじませるような顔になって、誰に言うでもなく、小さな声で呟く。
「1人だけでも、自分を知ってくれる人から好かれたら、それが一番いいっていうか・・嬉しい、よね」
「・・・」
「あ、ごめん。いきなり変なこと言った」
理緒の言葉に、流川は閉じていた目をそっと開いて、視線だけ理緒に向ける。
「なんかさ、不特定多数に好かれるより1人だけでいいから、この人いいなって思える人に好かれたいよねって」
「・・・」
「流川君、どう思う??」
「あーー・・・」
ため息と一緒に出た声は、このテの話は苦手だとでも言っているほど、流川の正直な気持ちを含んでいたけれど、それでも理緒の方を向くように態勢を変えてから
「分かんねぇ」
「ははっ、そーだよね」
正直すぎる流川の反応だったが、理緒はなぜかほっとしたような気持ちになった。
「・・けど・・・」
「ん?」
「 」
「へっ?・・・えぇっ!?」
流川は急に小声でぼそっと言葉を呟いてから、再度目を閉じた。
耳ざとくも流川の言葉が聞こえてしまった理緒は、思わず大声をあげて驚いた。
「うるせー」
「えっ!だって流川く・・今、え、どういう意味――」
「・・・・眠い・・寝る・・・」
流川はそう言って理緒に背を向けるように寝返りを打つ。
その耳は心なしか、少し赤くなっているように見えた。
理緒の顔もじわじわと熱を持ってくる。
「ね、寝るって!ちょっと!このタイミングで!?」
理緒の訴えを一切聞く気がないのか、動こうとしない流川の背中を見つめる。
「(流川君が・・?でも・・そう言われるとすごく嬉しいかも・・)」
理緒は少し熱を冷まそうと、手で顔を扇ぎながら自販機に行くため屋上から出て行った。
授業が終わる5分前。
屋上には寄り添うように寝ている2人の姿があった。
『・・けど・・・』
『ん?』
『蓮見に好かれたら、俺は嬉しいんじゃねーかと思う』
俺は君に一目ぼれしました。好きです』
『蓮見理緒様。
俺は君が好きです。
もしよかったら付き合ってください』」
今は5時間目。
授業をサボって1人屋上でブツブツ呟いている少女が1人。
手紙らしきものを読みながら、それを1つ1つ紙飛行機にしている。
「『好き』『一目ぼれ』『付き合う』・・・なーんて、外見だけ見てるんでしょ?結局は・・・」
彼女の名前は蓮見理緒。
湘北高校1年で、校内でも有名な美少女である。
その外見ゆえか、こうして手紙をもらったり、告白されることも多い。
だが、理緒はそれを喜ぶ様子もなく、告白は必ずというほど断り、手紙を貰っても毎回屋上で紙飛行機にして、帰りがけに校舎玄関のくず入れに入れてしまうのだった。
ひどいことをしているとは思っても、内容に応えることはもちろん、持ち帰る気にもなれなかった。
「外見をどれだけ好きになってもらったって、嬉しくないのになぁ。。」
屋上のフェンスに背をもたれ、ゆっくり目を閉じる。
柔らかくてすがすがしい風が、頬をかすめた。
「おい、蓮見」
「ん?流川君」
いきなり声がして、理緒がそっと目を開くと、目の前にはバスケ部1年エースの流川が立っていた。
流川と理緒はいわゆるサボリ仲間で、この屋上の『常連』だ。
ここで知り合い、何回も顔を合わせてるうちに自然と話すようになった。
今では『知り合い』から『友人』の関係になっている。
「これ、ドア開けたら飛んできた」
流川はそう言うと、さきほどまで理緒が折っていた紙飛行機を手渡す。
理緒はちょっと苦笑いをしながら受け取った。
「あ~、ごめん。飛んじゃったんだね」
「・・・」
ふと理緒の足元を見ると、いくつかの紙飛行機が置いてあった。
少し異様な光景に思えたのか、流川は無表情のまま首をかしげる。
「何だ、これ」
「これ?知らない人から告白の手紙だから、紙飛行機にしてるんだよね」
「は?」
言っていることの意味は分かるが、その行動の意味が分からない。
流川はめんどくさそうに頭をかいてから、
「ふーん・・で?」
それが何かを聞いてんだよ、とでも言いたげに、紙飛行機を指さした。
理緒は流川のその仕草がたまらなく面白くて、クスクス笑ったあとに紙飛行機を1つ手に取って開く。
「いやさ~、なんか面識もないのになぜか私を好きだっていうんだけど、それって外見だけしか見てないじゃん?って思ってて」
そう言って、理緒は切なそうに手紙を見つめた。
それからすぐに困ったような笑顔で、
「そんな人と付き合えるわけないじゃんね!大体さ、顔が好きってどうよ!?顔が変わったら嫌いになるってことじゃん。うわべだけのくせに、『好き』とか『付き合う』とか意味分かんない。顔だけ好かれても全然嬉しくないんだけど」
溜まっていた何かを吐き出すように、まくしたてて一気に話す。
流川はそれをただ黙って聞いていた。
そんな流川を不思議に思ったのか、理緒が流川の方を見る。
「流川君??・・・あっ、ごめん!私ばっか超喋ってるね!」
「・・けど・・・」
流川はボソっと小さい声で呟きながら、その場で仰向けに寝転んだ。
「ん?何??」
理緒が聞き返すと、今度はさっきよりも少し大きな声で言った。
「分かるけど」
「?何が?」
流川の言った意味がよく分からずに、再度聞き返す理緒。
あまりに伝わらないことに、いつもなら話すことすら諦める流川だが、なぜか今日はそんな気にならず、ハッキリと伝える。
「だから、蓮見の言ってることが」
「私の言ってること?」
「その・・ウワベだけってやつ」
流川は目を閉じながら、ため息とも思えるほど大きく息を吐くと、
「話しかけてくる女、バスケ中にうるせぇ女、皆そうだ。ウワベだけしか見てねぇ。そういう奴ら、疲れる」
ブツ切りな言葉でそう言った。
廊下を歩いていれば、突然渡される手紙。
親衛隊という、名前も顔も知らない女子達から叫ばれる自分の名前。
普段周りを気にすることのない流川でも、毎日のことになるとさすがに嫌気が差していた。
「知らねー奴に好かれるとか、気持ち悪ぃ」
「おぉ!そこまで行くか・・でもまぁ分からなくもないっていうか」
目を閉じている流川の眉間に皺が寄っていて、露骨に嫌がっているのが分かり、理緒は思わず苦笑した。
「私、同じことを思う人って流川君が初めてかも」
「?」
「あのさ、今まで誰に言っても嫌味に取られるというか、羨ましがられたりしてたから」
「なんか・・めんどくせー」
「ふふっ」
流川の至極もっともな言葉に、思わず笑ってしまう。
確かに、一言で言ってしまえばもうすべてがめんどくさいのだ。
「でもさー・・・」
理緒は笑顔から少し諦めをにじませるような顔になって、誰に言うでもなく、小さな声で呟く。
「1人だけでも、自分を知ってくれる人から好かれたら、それが一番いいっていうか・・嬉しい、よね」
「・・・」
「あ、ごめん。いきなり変なこと言った」
理緒の言葉に、流川は閉じていた目をそっと開いて、視線だけ理緒に向ける。
「なんかさ、不特定多数に好かれるより1人だけでいいから、この人いいなって思える人に好かれたいよねって」
「・・・」
「流川君、どう思う??」
「あーー・・・」
ため息と一緒に出た声は、このテの話は苦手だとでも言っているほど、流川の正直な気持ちを含んでいたけれど、それでも理緒の方を向くように態勢を変えてから
「分かんねぇ」
「ははっ、そーだよね」
正直すぎる流川の反応だったが、理緒はなぜかほっとしたような気持ちになった。
「・・けど・・・」
「ん?」
「 」
「へっ?・・・えぇっ!?」
流川は急に小声でぼそっと言葉を呟いてから、再度目を閉じた。
耳ざとくも流川の言葉が聞こえてしまった理緒は、思わず大声をあげて驚いた。
「うるせー」
「えっ!だって流川く・・今、え、どういう意味――」
「・・・・眠い・・寝る・・・」
流川はそう言って理緒に背を向けるように寝返りを打つ。
その耳は心なしか、少し赤くなっているように見えた。
理緒の顔もじわじわと熱を持ってくる。
「ね、寝るって!ちょっと!このタイミングで!?」
理緒の訴えを一切聞く気がないのか、動こうとしない流川の背中を見つめる。
「(流川君が・・?でも・・そう言われるとすごく嬉しいかも・・)」
理緒は少し熱を冷まそうと、手で顔を扇ぎながら自販機に行くため屋上から出て行った。
授業が終わる5分前。
屋上には寄り添うように寝ている2人の姿があった。
『・・けど・・・』
『ん?』
『蓮見に好かれたら、俺は嬉しいんじゃねーかと思う』
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