Two people ahead of it.


Two people ahead of it.(その先の2人)






ベルリンの屋敷にて、いつも通りの生活が戻り1ヶ月経った。

以前とひとつだけ違うのは、ブロッケンJr.と共にケビンマスクが当然のように同居していること。
別段、一緒に暮らそうという話になったわけではないが、偽弟子を故郷に帰らせてからケビンが居着き、私物も日に日に増えていった。
夜には主寝室のドアを叩きもせず入り、ブロッケンJr.と語らいながら同じベッドで共に眠る。
朝は先に起き、朝食の準備をして彼を待つ、

ブロッケンJr.は好き勝手し放題のケビンに苛立つこともなく、何も咎めようともしなかった。
口論することも殆どなくなり、とても穏やかな日々だった。



「今夜寝る前に少し真面目な話をしてもいいか?」

ある晩の食事中、おもむろにケビンがブロッケンJr.に問うた。

「・・・少しだけなら。今夜はなるべく早寝したい」
「オレのトレーナーをして疲れたんだろ?」
「当たり前だ。つくづくウォーズの変わらない若さが羨ましい」
「あんたも身体は若いぞ。とても50越えたオッサ・・・・いや、あの、今でもリングに立てるほど若々しいと思う」
「ふん、おっさんで構わん」
「すまない、つい・・・。だがブロが何歳だろうがオレは愛してやまないぞ」
「まだ23のくせに50過ぎの俺などにひっついている位だ、言われなくともわかる」
「あんた、最近ずっとあれだよな。オレが愛しているだの好きだの言っても嫌な顔しない」
「この前、もう慣れたと言わなかったか?」
「慣れられるより受け入れてもらえる方がいい」
「・・・・ごちそうさま。俺は観たいニュース番組があるからリビングにいかせてもらう」
「おう、後で茶かノンカフェインのコーヒーでも持っていく」
「薄めのコーヒーがいいな」

と、ブロッケンJr.は自分の皿を全て片付け、その足でリビングへ向かって行った。

「日本から帰国して以来・・・・ブロは本当に変わったな」

以前なら食卓は全てケビン任せで手伝うことは稀だったが、最近は食後に空いた食器をシンクに運ぶようになった。更には自分でも簡単に洗えるように、食器洗い機が欲しいとまで言っている。

「家事は任せっきりにしてりゃいいのに。皿洗いなんてガラに合わないったらないぜ」

でもまぁいいか、と呟き、ケビンも片付けの為に席を立った。


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