Break my past.



公園近くの駐車場から車で15分ほどの住宅街らしき地区に入った直後、おもむろにラーメンマンが口を開いた。

「ブロッケン、もうすぐジェイドの所に着く。今は超人委員会が借り上げているマンションの一室に住まわせている」
「・・・・ジェイドは日本に残りたいのだろうか?それともいつかはドイツに帰りたいのだろうか?」
「それについては分からない。だが怪我と精神状態が落ち着くまでは日本にいた方が良いのは確かだ。皆で支えてやれるからな」
「・・・・・・」
「わかっているとは思うが、ブロッケン、おまえとジェイドで話し合うことが今は重要だ。その上でまた彼を引き取るか突き放すか・・・・いや、すぐに決めろという訳ではないが」
「ジェイドが鬱状態というのは本当なのか?」
「西洋医学の診断ではな。人前では普段通りに明るく振る舞うことも増えた。本当のところはどうなのか知らんが」
「話題や言葉選びには気を遣うべきだろうか?それとも普通に接した方が良いか?」
「・・・・それは、これから対面して会話をする中で判断して欲しい。彼の反応や顔色を見れば、おまえなら何かしら察せるだろう?」
「あんたは同席しないのか?せめて今日は居てもらいたいのだが」
「おまえさんたちが良いならわたしは構わんが、二人きりの時間は少しでも設けたい。様子を見て中座すると思っていてくれ」
「わかった」
「まあ今日は2時間位で引き上げようと思っている。久しぶりに夕飯でも食って帰ろう」
「・・・・美味い日本料理がいいな」
「ははは、最近出来た良い店がある。中座した時に予約しておくよ」

二人は話しながら既に車を降り、マンションの前に居る。

「さて、行こうか」

ブロッケンJr.の中で結論は出ているが、ジェイドがそれに諾と言うかどうか・・・

(ややこしくなれば長引く。長引けばまたケビンが勘繰り余計ややこしくなる)

これから元弟子に会うというのに、ブロッケンJr.の頭の中は半分以上ケビンに巣食われていた。


6/18ページ