If... (番外編)
ケビンにとって生きる為に大切なのは、人並みの衣食住ではない。
『生きているだけ儲け物』と思わねばならない過去が、本来良家の子息である彼の価値観を善くも悪くも変えた・・・・ゆえに、例え束の間であっても『平和』な世で、自由な『休暇』というものを得たけでも何かに感謝したくなる。
そう、悪行超人だった頃は考えられない『現在(いま)』が此処に在るのだ。
心まで悪に染まれなかった自分は正義にも一家言あるにはあるが、超人オリンピックを制したことの意義はあまりにも大きかった。
アジト再興を誰か企むだろうが、もうケビンはそれを望まない。自分の居場所は其処ではなく、かといって此処でもないが・・・・これから思う場所へ行くのだ。
この身を置きたい場所は、とっくに決めてある。受け入れてもらえなくとも必ず思いを遂げたい。オリンピックを制すより困難な戦いになろうとも、彼処は必ず奪取しなければならない。
『あの人の傍ら』を・・・
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