BK風邪ネタ集
◆4
・・・・ああ、喧嘩じゃあないですね、良かったような、良くないような・・・・ケビンマスクの声が鼻声なのは風邪のせい、だけですか?まさか甘えている声とか・・・・聞き取りにくいけど頑張れミート!こんな機会はもう無いかも知れないんだ!!
『・・・少し位いいじゃないか』
『駄目だ』
ケビンマスクがまた何かごねていますね、少しって何のことだろう?
『どうしてだ?今はどっちも風邪なんだし別に構うことはないだろう?伝染しようがない』
『少しも何もおまえ、さっき毛布に潜っていた時、俺になにをしていた?さんざん触りやがっただろうが』
『フン。舐めた方が良かったか?ナマであんなに触りまくっていても淡々とミートと会話していたな、なかなか愉快だったぞ』
『おまえ、一度死んでみるか?』
『最強の超人が風邪なんかで死んでたまる・・・・かっ、ゴホゴホ、ゲホっ』
『馬鹿、調子に乗るからだ。さあ、何もせずに一眠りするぞ』
『せめて、キスだけでも・・・』
『駄目なものはダメだ。また悪ふざけしやがったら即刻あの世へ旅立たせるからな』
『ゴホコホゲホゲホ・・・・ッ、治っ、たら、する、か?ゴホっ』
『二人とも全快してからだな。早く何かしたけりゃ大人しく寝ろ。夕飯も今夜はきちんと食えよ、残すとミートに失礼だ』
『あ、あんたこそ、ゴホッ、食え・・・・よ、な』
『ああ、わかったわかった』
ブロッケンJr.さんに何をしていたのか想像つく・・・・具体的には想像しないけど、したくたいけど。風邪でもそっちはアレなのって、ボクは分かりますよケビンマスク。
スグル大王も二世も、高熱出して寝込んでも大怪我してても、下半身だけは元気でしたから。朝とか特にもっこ・・・・あああああ思い出しちゃった!
男って下品ですねぇホント。いやボクも男だけど・・・
『ブロ、少し寒気、する』
『もっとくっついていいぞ。俺は逆に暑いが仕方ない』
『うん・・・・早く、治る気、してきた』
『随分と単純だな。では腕枕もしてやるから夕刻まで黙って寝ろ』
『わかった、黙る、寝る』
『よし。ではおやすみ』
・・・・あれは本当にブロッケンJr.さんですか?
相手は本当にあのケビンマスクですか?
普段からあんな会話を?
喧嘩ばっかりと聞いてましたけど?
実際、怒鳴り合ったり罵り合ったり、さっきは死ねとまで言いながら、もの凄い仲良しっぷりじゃないですか!
男同士のカップルって、結構ややこしそうだなぁ、いや、ボクには無縁の世界ですから全然どうでもいいですが。
(あ、いけない!また差別しちゃった。
病人たちは仲良くお昼寝したし、もうここに居ても意味ないや。お茶でも頂いて夕飯の献立考えようっと)
二人とも風邪ひきさんとはいえ、お幸せそうで良かった。
ブロッケンJr.さんのこと、大事にしてあげて下さいね、ケビンマスクさん。
##TOPSP1384##
―3日後・日本。都内の某焼肉屋にて―
「皆さんこんにちは!ごぶさたしております」
「おう、ミート!元気そうで何よりだな。堅い挨拶は抜きでいこうや。おまえさんも本来はこっち側なんだからな」
「あはは・・・確かに」
バッファローマンさん、ウォーズマンさん、ラーメンマンさん、ウルフマンさん、そうそうたるレジェンドたちの食事会に誘われて来たけれど・・・・ただの集まりではなさそうだとすぐに判った。
来なければ良かった、でも、もう遅い。
個室で所謂お誕生席に座らされ、何が始まるのかとドキドキしっぱなしだ。
「で、どうだった?あいつら」
唐突にバッファローマンさんに訊かれ、それは始まった。
「ブロッケンの屋敷に手伝いがてら泊まりに行ったんだろ?」
「ええ、まぁ。その前にその件はどこから漏れたんですか?」
「おまえんとこのブタ万がキッドに話して、キッドがテリーに、テリーがオレらに、と伝言ゲームよろしく回ってきた」
「・・・・口止め料で大阪での遊び賃を出したのに、2世ったらもう・・・」
「まぁまぁミート君。我々もブロッケンのパートナーがケビンマスクだと知ってから、心配しているんだ。様々な角度から、な」
「独身レジェンドの会にとっちゃ裏切り者第1号だが、昔仲間の誼で、ブロッケンが幸せなら許してやりたい。な、みんなもだろ?」
ウルフマンさんの呼び掛けに全員がうんうんと頷いている。
そういえばここにいる全員が50歳以上の独身バツ無し、いつの間にそんな会を作っていたんだろう・・・
「というわけで聞かせてもらおうか、ミート君」
ラーメンマンさんまで興味津々かぁ、ああ半目で睨まないで下さい怖いです。
「ち、ちょっと待って下さい、いま思い出しますから!あと皆さん、ボクは用事のついでに看病しに行っただけで、決して偵察に行ったわけじゃないんです、それを忘れないで下さいよ」
「我々も野次馬ではないさ」
多少話しても平気ですよね、何も口止めされていないし。
少なくともここにいる皆さんは二人の婚約を知っているし、結婚のお祝いパーティーにも参加するだろうメンバーなわけだし。
簡単に向こうでのことを話して、下世話なツッコミを入れられる前に帰ろうっと。
◇◇◇
「・・・・で、夕飯の席でまた険悪になって、それでも二人一緒にシャワーを浴びに行き、同じベッドで就寝しました。あ、一緒に寝るのはもう普通だそうで」
「何が普通なんだか・・・」
「言うな、ウルフ。奴等はオレらと違う生き物になったんだ」
「差別はいかんぞ。ブロッケンが幸せならいいではないか」
「・・・・・・・・ロビンがここに居なくて良かった」
ああ、うん・・・・皆さん毒気に当てられてますね、ボクもでしたから判りますよ。
さーて、最後にアノ話をして退散しますか!
「それで終わりじゃないんですよ実は!様子が気になって夜中にまた鍵穴から覗いたんです。室内は既に真っ暗でしたけど、何か声がちょっと聞こえてきて・・・」
「ま、まさかヤってたのか?!」
「いえ、ソッチの声ではなく会話でした」
「どんな会話だ?」
「んー、声が小さくて、しかも英語とドイツ語だったからよく分からないんですが、確かこんな・・・・いひ りーべ でぃひ ぜあ、とかなんとか。あとは、えーと、覚えている分だけですが紙に書きましょうか」
バッファローマンさんがお店の人に借りてきたペンで、割り箸袋とコースターの裏に聞き取れた分だけ書いてみる。
「すみません、ドイツ語はスペルがわからないので平仮名です。英語は多分合っていると思いますが、文法は自信ありません・・・・」
「ここはラーメンマン先生の出番だろ」
「わたしもわからん・・・・ウォーズ、おまえさんなら訳せるよな?」
「あまり言葉にしたくないが、このイヒ リーベ ディヒ ゼアは、あなたをとても愛している、だ。ミート君、これはどちらの台詞だい?」
「ブロッケンJr.さんです。あ、横に誰の声だったか書いておきますね。会話の順番がちょっと違うかもですが、うまく組み立てて解読して下さい」
ウォーズマンさんが唸りながら(嫌そうに)ペンを走らせている。黙り込んでそれを見ている一同。
本当は何と話していたのかわかるけど、ほら、訳を見た皆さんが誰一人として読み上げないように、ボクも口に出せなかったんですよね。
でもブロッケンJr.さんとケビンマスクは普通に言っていたなぁ、いくらプライベートでもキャラ違いすぎ・・・・ケビンマスクが現役レスラーのうちは2世たちに絶対秘密にしなきゃ。これをネタに冷やかしたりしたら皆殺しにされそうだし。
こっそり帰り支度をしていると、隣でバッファローマンさんが深い溜め息を漏らした。
次に口の端をムズ痒そうに歪め、
「遠いな、あっちの世界は」
と呟いて頭を抱えた。
他のみんなも口々に、
「行く気は全くないが遠すぎる」
「おい、おまえらもう考えるの止めようぜ」
「・・・・ロビンが知ったら『あんな子供、作るんじゃなかった』とか言って泣くんだろうな」
とか。
「み、みなさん、ボクはお先に帰りますが、その紙は炭火が消えないうちに跡形もなく燃やして下さいね!ね、ラーメンマンさん、お願いしますよ!」
この時、白目で頷いたラーメンマンさんの顔を、多分ボクは一生忘れない。
----完----
*ミートが聞いて、ウォーズマンが訳した会話文は以下のようなものでした。
長くなるので文中では省きましたがせっかくなので載せておきます。
ケ→I didn't know the meaning of my love and happiness until I met you.
「あんたに会うまで、オレは愛と幸せの意味を知らなかった」
ブ→Kevin・・・
「ケビン・・・」
ケ→How much do you love me?
「オレのことどれくらい愛している?」
ブ→I love you so much that the words I love you are not enough.
「愛しているの言葉じゃ足りないほど大好きだよ」
ケ→Then.Will you make me the happiest man alive? /
「じゃあ、オレをこの世で一番の幸せ者にしてくれるか?」
ブ→Of course.
「もちろん」
☆ここから独語
ブ→Ich brauche dich.
Ich liebe dich sehr.
「俺にはおまえが必要だ。おまえをとても愛している」
ケ→Ich dich auch!
Ohne dich kann ich nicht mehr leben.
「オレも愛しているぞ!
あんたがいなけりゃ生きていけない」
ブ→Ich auch.
「オレもだ」
このあと名前を呼び合っていたとか、ミートの見えない暗がりで何かあったらしいとか、色っぽい部分が書ききれず無念です。
おわり
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