BK風邪ネタ集
◆3
この鍵穴の真正面は多分ベッド辺り・・・・うん、思った通りだ。
ドアに耳を押し付けなくても全く声が聴こえないわけじゃないし、二人が落ち着くまで少し様子を・・・・これは心配だからですよ、別に疚しい心なんてこれっぽっちしかありませんから!
(咳、結構二人とも出てるなぁ。薬はちゃんとのんでるのかな?お昼の分はこれからだよね?
僕としてはブロッケンJr.さんもスープ位は胃に入れてもらいたいんだけどな。
あ、ケビンマスクが動いた!)
ベージュ色の毛布から金髪の頭だけが出てきた。顔は長い髪が邪魔して見えない、残念。
(ケビンマスクの咳は止まったみたいだ。ブロッケンJr.さんは・・・・さっきよりは治まってきたかな?喋れるようになったらまた喧嘩の続きが始まるんだろうか?それとも違う展開に?)
ブロッケンJr.さんの咳が聞こえなくなるまで、ドアの向こう、狭い視界を凝視しながら待ってみる。
(ケビンマスクは向こう側で何しているんだろ?仮に声をかけているとしても咳に紛れて聞こえないや)
反対側から見たい、天井からでもいい、キン肉ハウスでなら可能でもここではどうやっても無理だ。
(あ、ブロッケンJr.さんの咳、止まった・・・・・・ケビンマスクの声だ、やっぱり何か話しかけていたんですね)
ここは耳を澄ましてよーく聞き取らなきゃ、待った甲斐がない!
『大丈夫か?・・・・もう答えられるよな?何回でも訊くぞ、何故ミートに頼んだんだ?手伝いなど必要ないだろ』
『俺は、必要だ』
『何かして欲しいならオレに言え。立つことすら出来ないわけじゃない』
『昨夜キッチンに行くのも無理だと言ったのは誰だ?とりあえず起きろ、おまえにスープと薬を飲ませねば昼寝が出来ん』
『自分が寝たいから早くしろと言・・・・うわっ!何・・・』
『四の五の言わんで早く起きろ』
あああ無理矢理引っ張り起こしてる!このまま喧嘩になるのかな、僕はどうしたらいい?!
『ちっ。仕方ない、食ってやるから手伝え』
『甘えたことをぬかすな、自分でスプーンくらい持てるだろうが!』
『指は動いても肩や肘が痛い、動かしたくない』
『俺も多少、関節痛なんだがな』
ブツブツ言いながら食べさせてあげてる・・・・頭からぶっかけるかと思ったけど、なんか、やっぱりラブラブなんですねぇ。
さっき予知した展開はコレですよ、『はい、あーん』ってするのかなって。
四半世紀もスリープ状態だったから最近の日本語?はよくわからないけど、キタコレ!という言葉はこういう時に使っていいのかな?
(全部飲んでもらえたみたいだ。ブロッケンJr.さんの背中しか見えないけど、ケビンマスクの素顔、見てみたいなぁ・・・)
この後は薬をのんで二人でお昼寝するらしいし、お皿を下げに入るのはやめよう。タイミング良すぎたら疑われちゃう。
(あ、疑われるってのは変か、実際こんなとこから覗き見してるわけだし、現行犯・・・・・・)
・・・・・・う、わ・・・・・わわわー!!
だ、抱き合ってる!?
ブロッケンJr.さんの背に腕が二本で肩口に金髪の頭が見える、ブロッケンJr.さんの腕も前で何か抱えてる感じ・・・うわぁナマでホ・・・・あ、差別用語はダメですね、ええと・・・・ホ、抱擁!アツい抱擁!
(見てるこっちが恥ずかしくなるのは何故だろ?抱き合って寝るのかな?同じベッドでもうじき入籍する恋人同士だもんね、普通の成り行き、普通の・・・・)
偏見なんてないと思っていたけど、直にこういうシーンを見て狼狽するってことは、多少なりとも違和感を覚えた証拠だ。
すみません、お二方。
そっちの趣味はボクには無いけど興味はあるんです、だから覗いてるんです。
(また何か話してるのかな?声が小さくて気付かなかった)
さっきより聞き耳たてないと消えなさそうだ。
まさか抱き合いながら口論?
それとも・・・・
~4へ続く~
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