BK風邪ネタ集


◆二人揃って風邪をひきました。
(他キャラ視点)




ドイツ・ベルリンを訪れるのは数える程しかなかったけれど、目的地のブロッケンJr.さんのお屋敷までの道は覚えていたりする。
だから一人で行けると伝えた。途中、ベルリンの街で買い物しようと思ったし、何より迎えに来てもらうなんて出来ない。

(ブロッケンJr.さんは風邪でダウン、・・・・同居の、あの超人もだと聞いたし・・・・うーん、超人が寝込むような風邪だから相当強いウィスルなんだろうな。インフルエンザかな?肺炎じゃなければいいけど・・・)


用があるついでだからと看病を申し出たのは僕だ。
大王や2世が風邪をひいた時も伝染ることなく看護出来たし、もしインフルエンザでも日本で予防接種したから多分平気だよね。





テーゲル空港のタクシー乗り場に向かう途中で、僕の名入りプラカードを掲げた人に遭遇した。

『すみません、えっと・・・・この[Mr.meat]って僕のことでしょうか?』
『そうですミートさん!ああ無事に行き合えて良かった!あっ、私は怪しい人間ではありません。あなたのお迎えを依頼されたタクシー運転手、ご覧の通りただの人間です』
『ブロッケンJr.さん・・・そんな気を使わなくていいのに』
相変わらず優しい人だなぁ、と、少し誰かさんが羨ましく思えた。別に変な意味じゃなく、昔から僕はブロッケンJr.さんが結構好きだったりする。


陽気な運転手さんとお喋りしながらタクシーで移動、途中で見つけたマーケットで少し買い物して・・・・そして今、懐かしいブロッケン邸の前に僕は居るわけだけど・・・

(まずはどんな顔をしてお二人に会えばいいんだろう?
僕は[そういう仲]に偏見は無いし、ずっと独身だったブロッケンJr.さんが漸く結婚・・・・結婚だよね?うん、もうじき同性と結婚すると聞いた時は心から祝福出来たし、相手がケビンマスクだというのも薄々勘付いていたしね。でも、二人の世界に足を踏み入れるとなると実際どう対応すればいいのか・・・・ココは、いわば愛の巣なわけだし・・・)

普通に、普段通りが最善なのは分かってる。
ブロッケンJr.さんは昔から知ってるから全然平気でも、ケビンマスクは少し怖いというか、取っ付きにくい雰囲気バリバリなんだよね。2世たち同世代の超人とはスカーフェイス以外、殆ど付き合いがないっていうし、だから僕も馴染みが薄い。

オリンピックで2世と対戦した時の迫力は今も脳裏に焼き付いている。
OLAPをキメた後、もう勝負は決まったも同然なのに、情け容赦なくビッグ・ベン・エッヂで2世をマットに叩き付け・・・・あの背筋が凍り付くような光景は僕の中で永久保存されると思う。
試合が終わった後で少し優しさを見たような気がしたけど、あれがケビンマスクの素なのかな?
ブロッケンJr.さんが結婚する位なんだから、性格は悪くないはずだよね?



「あっ、もうお昼時だ!早くご挨拶しないと」

門前で30分近くもぐだぐだしていたなんて、気付かれていなければいいけど・・・




(やっぱり努めて普通に振る舞おう。お昼ご飯、食べられるのかな、何がいいだろう?)


ああ・・・ドキドキする。






§§§§§§





「遠路遥々、わざわざすまんな、ミート」

「いえ、僕はトレーニングも任務もないですし、2世は大阪のキッドの家に泊まりに行ってて、ちょうどヒマだったんです。だから気にしないで下さい」

思ったよりブロッケンJr.さんの症状は酷くない感じ・・・かな?
メールには熱と喉の痛みだと書いてあったけど。
ドアを開けてくれたのがブロッケンJr.さんで正直ホッとした・・・ いきなりケビンマスクが出たらどうしようかって、そればっかり考えていたし。

「あ、これスグル大王からです。婚約のお祝い」

「もうキン肉星まで話が行ったのか・・・・婚約ごときで祝い物を頂くとはかたじけない。ついでとはいえ、ミートに手伝いをしてもらうのも申し訳ないが・・・」

「本当は大王自身が来たがっていたんですが、持病の痛風とぎっくり腰で動けないらしいんです。お二人のお手伝いは大王の非礼をお詫びするようなものだと思ってください!」

「ありがとう、大王には後で御礼の手紙を書く」

うん、やっぱりブロッケンJr.さんは昔と変わらず話しやすい。
これがケビンマスクだったら無言で睨まれて・・・・そうだ、彼は?

「あ、あの、ケビンマスクの具合はどうですか?いまは寝ているんですか?」

「トイレに行く以外はベッドに伏したきりでな、今朝はまだ起きていない。意外に思うだろうが奴の方が重症なんだ」

「そうですか・・・・お昼はどうしましょうか?食欲ないかも知れませんが、何か食べられそうなものがあれば」

「・・・・悪いが俺はパスさせてくれ、夜だけ少しいただく。ケビンには・・・・そうだな、ポタージュスープを頼みたい。昨夜、作りたくても起きられないと嘆いていたんでな。食材は適当に使ってくれていい」

「わかりました、ブロッケンJr.さんは夕方までに食べたいものを言って下さいね。ちゃんと食べて薬をのまないと長引きますから。お医者さんにはかかりました?」

「昨日、往診で、ゴホゴホ・・・・薬を、置いて行っ、ゴホン!すまん、咳は止まったと思っ、ゴホゴホッ」

「ごめんなさい!僕が長々お喋りしちゃったせいです、ブロッケンJr.さんも横になっていて下さい!ケビンマスクの寝室はどこですか?スープが出来たらお持ちしますから」

「・・・・・・2階の、奥」

「じゃ、早速キッチンお借りしますね!」


今の「間」は何だろう?
意味深長に感じたのは気のせい?
単に喉の痛みで声が出にくかっただけだと思いたいけど・・・

咳き込みながら2階へ上がるブロッケンJr.さんを見送り、スープを作るべくキッチンに向かう僕の心臓は、またドキドキし始めていた。





◆二人揃って風邪をひきました。
2へ続く・・・
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