疲労困憊

◆投稿日時：2019-02-22 23:00:26

午前中に家を出て列車で３時間、タクシーで２０分のところにケビンがいるギムナジウムがある。１４時にケビンの担任と面談の約束をしていた。
学校側は俺が誰だか知っているが、生徒達に気付かれぬよう変装しなければと支度が大変だった。

初めは担任にケビンの成績や素行について聞かされたが、思っていたよりマトモな学生を演じていたようだ。他人には愛想が最悪なくせに友人も数人いるようで安心したが、上級生とは衝突しがちだったらしい。
１時間ほどして授業を終えたケビンが来て、三人での話し合いになった。
ケビンが今回、乱闘に発展した上級生は、ギムナジウム内でやや問題のある生徒だという。そいつが、身体付き抜群でスポーツ万能のケビンを部活に無理矢理入れようとし、断ると襟首を捕まれ、足を踏まれたことから取っ組みあいに発展したらしい。まあそのシーンを想像してみれば誰でもムカつくだろう。
担任も詳しい状況は知らずにいた為、ケビンの話に同調はしたが、暴力沙汰は校則に反するとして双方の謹慎は解けないと言った。
ケビンが抱えてきたのは山のように積まれたテキストで、明日までに提出する宿題だそうだ。全校でのテストも近いからちょうどいいと本人は笑っていたが、嫌そうな顔を見逃す俺ではない。
相手は保健室で手当てを受けた後、病院へ行ったようだが、もう寮へ戻ってきているという。
俺が謝るのは何か違うと思い、見舞いもしなかったが、担任に持参した菓子折を渡してくれるよう頼んでおいた。もちろん担任や校長、教頭にもギフトを用意してきたが、ケビンへの差し入れも一応持ってきた。
面談が終わっても、二人になる気はなくすぐ帰宅したかった為、その場で渡したが、どうしても寮の部屋を見て欲しいと乞われ、少しならと嫌々応じた。

部屋に入るなり、俺は絶句せざるを得なかった。壁一面に俺の写真やポスターが貼られていて、身の危険を感じた為、３０分足らずで部屋を出、ベルリンの我が家へ戻ってきた。
往復の時間だけで疲れが溜まりに溜まり、もうベッドの中だ。

担任から家庭での教育見直しを提案された。明日から考えたいと思う。
とにかく疲れたとしか言えない１日だった。ケビンのせいで。


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