ラッキーだ！

◆投稿日時：2019-02-16 21:52:34

二週間、ケビンがギムナジウムから出てこない。俺にはある意味、朗報だ。
いや、決して週末毎に帰ってくるケビンが疎ましいわけではない。買い物や雪掻きや炊事洗濯掃除を自分でやらねばならないのは面倒だ。しかしそれらを差し引いても独りでゆっくりと、そう、先週大量に買った本を毎日読み耽ることが出来るのはラッキーだ。
独りなら飯など何でもいいし、掃除も洗濯も溜めておき、目につく位になったらすればいい。
寒いが降雪もだいぶ落ち着いてきたし、毎日雪掻きをしなくとも車は出せる。つまり俺は自由だ。
３月までケビンとおさらばするのは、彼にとっては少々酷なことかも知れない。だがギムナジウム側の決まりであるからには俺もどうにも出来ん。
会えない間、勉学に勤しんでくれることを願いたい。授業中にポエムを書くのは感心しないが、日記を書かない夜に暇を持て余しているなら好きにすればいい。
もっと美しい言葉を選んで詩的なものになれば読んでやらないこともない。まあ頑張れ。

歳のせいか肉より魚料理の方が好きになった。ゆえにケビンの週末の献立はありがたい。だが、きゅうりしかない糠漬けは飽きる。どうせなら人参や大根なども欲しい。キャベツやオニオンは糠漬けには合わないからやめておけ。キャベツなら浅漬けがいい。オニオンならスライスしたものをサラダにするだけでいい。但し、暫くきゅうりは要らん。それと３月に帰宅してから自分独りで糠漬け当番をしてもらいたい。俺はもう嫌だ。

朝の鮭の塩焼きと夜の刺身は美味かった。明日は魚のフライか････胸焼けしそうだからあまり脂っこくない揚げ方をして欲しいものだ。きゅうり４本がノルマ？なんとかなりそうだが、少し辛いな。あと２本弱を明日のうちに食わねばならん。やはりギムナジウムへ持っていけばいいのではないか？英国人が漬けた糠漬けは珍しいからな。ドイツ人の口に合うかは知らないが。

昨夜のケビンとは逆に、いまケビンがバスルームを使っている最中だ。
俺は既にシャワーを浴び、寝室には行かずリビングで暖炉にあたりながらノンカフェインの紅茶を飲みながら書いている。
今夜は少しばかりケビンを喜ばせてやりたいが、昨夜もやることはヤったしな････少し暖炉で暖をとりつつ他愛のない会話でもするか。
昨夜、言い付け通り薄気味悪いポエムを書かなかった褒美に。


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