BK交換日記 ~ 夏のメモリー ~

曇り

◆投稿日時:2015-06-12 19:56:39

7時。通常この時間に目覚まし無しで一度は目覚める。
が、今朝は横っ腹に異物感があり目が覚めた。そちら側ではケビンが俺に抱き着いて寝ている。硬さからして膝だ、と思った。もしくは拳か。
だが違った。1番嫌なモノだった。最悪の起床。
昨夜ケビンを無視して寝たこととは無関係だ、奴はいつも朝・・・いや、あえて書くまい。

しかし昨日の『焼そばパン買ってこい』には驚いた。日本で覚えたようだが、今時のガキ大将もこれを言うのか?
まだ『焼そばパン』なのか?そんなに『焼そばパン』がいいのか?確かに美味かったがな・・・
まさかこの歳で初めて自分が言われる側になるとは思わなかった。かなり腹が立つもんだな。
よくわからず言ったにせよ、暫く、いや出来れば二度と奴を日本へ行かせたくないものだ。おかしなことばかり覚えて来るからな。
次に行く国もなかなか酷いが現地で独りではないし自由も無い。幾らかマシだと思いたい。

8時。ホテルのレストランで朝食を摂り、カフェでゆっくりコーヒーを飲みつつケビンの日記を読み、客室に戻る。
あのバカ・・・・ちっとも理解していないんだな。おまえの存在自体が卑猥だといつか思い知らせてやりたいよ。貝だか具だかの超人と手を組んで懲らしめるのも悪くないな。
メールにもおかしな文章など書かんでいい!もし書いたら即刻別れるからな!チャド言語は文字なら多少解読出来るが、こういう機械では変換はもちろん入力自体が不可能だと思うぞ。

10時。まだ起きる気配のないケビンを叩き起こした。
腹が減ったと騒がれたが、既にホテルの朝食時間は終わっている。昼まで待てと言っても黙らず、また『焼そばパン』がどうのと言い出したが、奴は『焼そば』も知らんくせに言ったのだと、このとき知った・・・・こいつの相手は俺がしなければ、他人に多大な迷惑や被害が及ぶ。
愛よりそちらの理由が今では大半を占めていることを、頼むから自覚してくれ!


夕刻、二人で夕飯を食いに街へ向かう。
今夜は屋敷へ帰るつもりだった。歩きながらそう話すとケビンも了承した。
反対もせず文句も言わず、やけに大人しかったのは逆に不気味だったが、(こういうガキが)聞き分けの良かった時は褒美をやらねばなるまい。
この機会に本物の美味い『焼そば』を食わせてやろうと中華料理店へ向かったが、あいにく定休日だった。
仕方なく隣のイタリアンの店に入り、『焼そば』の代わりに『ナポリタン』がサンドされたパンがあることを教えた。
すると奴は、やはり想像通りのことを・・・・パンにパスタを挟んで食い始めた。ナポリタンではなく、スープ仕立てのパスタをだ。もちろんパンはスープまみれで・・・・・・共に居るのが恥ずかしかった、とても。

店にタクシーを一台手配してもらい、迎車を待っていざ乗り込まんという状況で、ケビンが『この近くにバイクの駐輪場はあるか?』などと言うから・・・・・・・・・・・・・・・もうこの場で連れて帰るというか拉致するしかなかった。


ロビン、本当にどんな教育、いや、躾をこいつにしたんだ?!

まだ時間は早いが、これからケビンの部屋に鍵をかけて寝かせてもらう。
疲れてもうダメだ。


以上。
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