BK日常小咄集
*寒い夜
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ベルリンに大雪警報が発令された日の夜、あまりの寒さに今宵は早く寝ようと二人で決めたのは夕食の席で。
先にシャワーを浴びたブロッケンJr.は、いつものようにベッドで本を読みながらケビンが寝室に来るのを待っていた。
身体が温まっているうちに眠りたかったが、『先に寝るなよ』と釘をさされた為、半ば仕方なく待っている・・・・しかしケビンはなかなか現れず、何度目かに時計をちらりと見た後、本を閉じた。
(待たせすぎだ、40分も何をしているんだ?また髪を乾かすのに時間をくってるのか?)
今夜は一緒に寝るだけ、何かするわけではない。
(そうだ、寝るだけじゃないか。奴を待つ必要性がどこにある?)
本をサイドテーブルに置き、毛布を頭まで被ったブロッケンJr.は、待つのをやめて目を閉じた。
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「ブロ、起きているか?待たせてすまない!朝メシのスープを作っ・・・・」
寝室のドアを開閉しながら奥のベッドに声をかけたケビンだったが、そこにいるはずの相手から返事はなかった。
「寝ちまったか・・・・1時間位は平気だと思ったんだがな」
普段は、もう寝ようと何度言っても読書を中断しない人が22時台に寝付いている。
「早く寝ようと話したのは確かだが早すぎないか?・・・・少し話したかったが起こすのも気が引ける、オレも寝るか」
二人で寝る為に新調した主寝室のベッド、片側は余裕で空いている。
すぐには寝付けないかも知れないが、既に温まっている恋人に寄り添う形で横になり、起こさぬようそっと手を握った。
(ああ、あったかいなぁ、ブロ。ヤりたいと言えば待っていてくれたかもな・・・・ああ本当にシたくなってきた、ヤバイ)
「何をモゾモゾしているんだ?」
「ぶ、ブロ!起きたのか?!」
「おまえが入ってきた時からな。・・・・キノコとクリームの香りがする、スープかシチューでもこしらえていたのか」
「まあな、それで遅くなった、すまない」
「いや、朝メシが楽しみだ」
「ブロ・・・・あのな、オレ・・・」
「少し身体の芯が冷えた。一戦手合わせしてくれないか?」
「・・・・もちろんOKだ」
いつも気持ちを読まれてしまう。
だからケビンはブロッケンJr.が好きでたまらない。
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