BK日常小咄集


*出迎え

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「一体いつまで待てばいいんだ?具体的なことは何も決まっていないじゃないか!誰かが『それは折を見て』とか何とか曖昧だからオレは不安でたまらないんだ。っと、うん・・・・よし、美味いスープが出来たぞ」

キッチンで飯の支度をしながら独り言をいうのが日課になりつつあるな。ついつい溜め息も連発してしまう。
だがこれでいくらかは日々のストレス発散になる。誰も聞いちゃいない場所で位、いいだろ?

「はぁ・・・・もうすっかり家事も『妻』の心得も身に付いて、オレは準備万端だというのに」

とはいえブロに結婚を急かすようなことは言えない。もう何度かその話で揉めているものな。
あの人は催促されたり詰め寄られたり、とにかくしつこくされるのを極端に嫌う。

「いい加減オレだって学習したさ・・・・、ん?あの車の音はブロだな。飯も出来たしナイスタイミングだ。よし、たまには出迎えに行こう!」

今日の独り言タイムはおしまいだ。口に出しちまえば幾何か気持ちが軽くなるような気がするから不思議だ・・・・って、そんなのオレだけか?
結局、オレはブロと沢山話をしたいだけかも知れない。
思ったこと、感じたこと、全て明け透けに、お互い何も隠さず遠慮もせず・・・・現状ではまだ無理そうだが。






「おかえり!」

「ああ」

「ああ、じゃないだろ、ただいまだろ?」

「ただいま」

うっ、いきなり不機嫌モードだ!

「あ・・・・それ、コート預かる」

「頼む」

此方を見もせずコートを寄越し、中身はスタスタと奥へ歩いて行く。

オレは何もしていないぞ?
普通に出迎えただけだろ?

どうせ不機嫌なら一発ふざけてみようか?

「ブロ、ちょい待て!」

「何か用か?」

「すぐにメシ食うか?もしくは先にシャワー浴びるか?それとも、オ、オレ」

「休憩」

「えっ?あ、ああ、うん、そうだよな、仕事は疲れるよな!」

ノッてくれなかった。
突っ込む気力すらなさげだ。
『オレとはなんのことだ馬鹿者!』とか何とか切り返されないと逆に心配だぞ?体調崩したとかでなけりゃいいが。

「ケビン、おまえも休め」

「えっ?」

「おまえ、試合前だろう?本来トレーニングに集中すべき時に、掃除洗濯炊事をさせて休む暇もなかろう・・・・さすがに俺も気が引けているんだ。メシは遅い時間でいい、暖炉の前で少し一緒に寛ごう」

「ブロ・・・・そんなの気にしないでくれ、家のことはオレが勝手にやっているだけだ!トレーニングにも全く支障はないぞ!」

「そう言うと思ったから今まで放っておいたが、パートナーにばかり負担をかけては俺の沽券に関わるからな。家事など手を抜いてもいい、俺も手伝えることはするから言えよ?」

オレはブロの為に何か出来ることが嬉しくて仕方ないんだが、ここは黙って頷いておこう。
この照れ臭そうな笑い顔でオレのハートはノックアウトKO負け状態だしな。

「じゃあ先に暖まっていてくれ、コーヒー淹れてくる」

「それは俺の台詞だ、おまえが先に休んでいろ。・・・・それとな、出迎えてくれて嬉しかった、少し、ほんの少しだが」

「・・・・Thank You.」


オレまで照れさせてどうする?!既に新婚家庭みたいじゃないか!
もしかしてブロは、結婚したら良い意味で変わるタイプかもな。
まあどうなろうが、いいダンナになるには違いないが・・・・



ダディ、ざまあみろ。いまオレはあんたより億千万倍幸せだ!




---無理矢理おわる---


【どうでもいい解説】
たまには甘めにしたいなと考えていましたがこれが精一杯でした。
長めの話になりかけてカットしまくり中途半端ですね、スミマセン。
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