BK日常小咄集


*前と後ろ

※18禁というには温いですが念のため
18禁にしておきます。


・・・・・・・・・・

その日はとても暑い1日だった。
前日には雨が降り、たいぶ涼しかったのだか、好天と湿度とで一気に温度が上がったのだろう。

午後から読書をしていた場所が悪かったようで、数時間でリタイアしてシャワーを浴びた。
ケビンは朝からジムに行っているからこの暑さは影響しないだろう。俺も図書館へ行けば良かったと後悔してももう遅い。6月の太陽を甘く見ていた俺が悪かった。

リビングのエアコンで冷房温度を思い切り下げ、それでもシャワー後の汗はなかなか冷えてくれなかった。
ソファーでだらしなく寝転んでいるところへケビンが帰宅し、食欲がないと言ったらヨーグルトとフルーツを出された。

「少しは食わないと暑さ本番になる前にくたばってまうぜ?水分は摂っているのか?」

「常温のミネラルウォーターを午後から1リットル位かな・・・寝ている方が楽だったし起きるのも面倒だった。今夜は早く休ませてもらうぞ」

「えっ、今夜はヤる約束していたじやないか」

「体調不良だ、許せ」

「・・・ま、仕方ないか。明日には元気になってもらいたいしな」

「シャワーをもう一度浴びて寝室へ行かせてもらう。まだ21時前だが、おまえは観たい映画があるんだろう?」

「ああ、見逃したやつをやっとテレビで観れるからな」

ということは二時間はケビンが下に居てくれる。その間にぐっすり寝てしまえば奴が来ても気付くまい。

「ではな、おやすみ」

「おう、大事にしろよ。今はあんた一人の身体じゃねぇんだから」

言い返したいが気力が出ず、そのままバスルームへ向かい、温めのシャワーをサッと浴び、いつもの掛け布団ではなく、タオルケットを1枚引っ張り出した。
ケビンが元のは使うだろう。あいつはそんなに暑さに弱くない。まだ若い証拠だ、羨ましいったらない。

最初は仰向けになっていたが、あえてケビンが寝るだろう位置に背を向けて横になった。何をされるかわかったものではないからだ。先日はしつこいキスで起こされた、その前は抱き枕にされて暑くて目が覚めた。俺はあいつの何なんだろう?!



この時期にはまだ使わない寝室のエアコンを27℃に設定したのは、明日の朝方が雨の予報だったからだ。窓は開けられないしどうせ蒸し暑くなる。
涼んでから眠りまでは早かったように思う。だが、その後三時間と経たずに目が覚めた。

誰かに尻の辺りを触られている。
ケビンしかいないのだから犯人はケビンだが。
撫でられていたうちは寝たふりをして耐えたが、やがて硬い筋肉だというのに揉み始めやがった。
まさか、ケビンの奴・・・

「おい」

「なんだ、起きたのか」

「そんなところを触られていれば余程鈍感でない限り起きるぞ!」

「いや、寝ようとしたんだが、こっち側にケツがあって、それでつい撫でたくなって揉みたくなって・・・こんなこと滅多に出来ないからな」

「おまえは体調を崩した恋人(男)のケツを揉んで何が楽しいんだ!?まさかそのまま俺を・・・」

「いやいや、別に犯したいとは思っていない!触れればどこでもいいんだ」

「だからと無防備な尻を狙うとは、とんだ変態だな」

「これでも自重したんだぞ!本当は前を、タマとかサオとか揉み揉みしたかったんだが、密着したら暑くて気付かれるかと一応気を遣ったんだ!」

「暑いのどうのより前を狙おうと企んでいた方に問題ありだろうが、この色情魔めが!」

「・・・すまない。だが後ろだけでいいからもう少し揉ませていてくれないか?他に変なことは多分しないから」

「自分の尻でも触っとけ」

「いやだ、ブロの尻がいい。前ならもっといい、あんたも元気になりそうだし」

「なるわけないだろう!今夜は絶対ヤらんからな、それだけは覚えておけ」

「ううう、、、尻を撫でたり揉んでるだけなのに怒られた」

「そういうことをされるのを嫌う俺なら怒るのが普通だろうが。10分だけ許す、超過したら殴る」

「殴る体力があるならシモの体力も・・・いやあの、何でもないです、10分したら寝ます。その代わり少し此方を向いて1回キスを頼みたい」

「いやだ」

「明日、体調良かったらヤれるか?」

「さあな」


俺はそれきり喋らなかった。
ケビンも10分前後で尻から手を離した。その後すぐに寝室を出ていったが翌朝には隣にいた。嫌な予想だが、大方トイレに駆け込んだのだろう。
きっと用途は大でも小でもない。我慢しきれず、奴が多用する「中」をしに。


それはそれで気持ち悪いが、尻を撫でられ続けた俺の方が気持ち悪かった。
・・・前は絶対に許さんぞ。




---元ネタ提供:シンリン様---

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