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〔光星弟〕:
今日は眞白くんに会えて嬉しいよ。 -
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〔光星弟〕:
GW中も危うく仕事になりかけたんだけど、
この日だけは絶対に休みたいから、有休を充てたんだ。 -
光星の弟さんは、兄である光星と似た雰囲気を持っていて、『一回り小さい光星』…みたいな感じの人だ。
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普段はほとんど眼鏡を掛けているらしいが、今日は俺に会うために少しでもイケメンになろうとコンタクトにしたらしい。
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瀬名 眞白
(眼鏡って、イケメン度下げるのか…?)

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眼鏡スタイルでも十分だと思うくらい、光星の弟さんは穏やかな笑顔が素敵に映えるイケメンだと思う。
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〔光星弟・嫁〕:
眞白くん、飲み物足りてる? -
光星の弟の奥さんは、以前、晴蘭の校門付近で見かけたことがあるが、
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雰囲気が少し黒木に似ていて、現在は妊娠中だからか前よりも少しふっくらしている。
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瀬名 眞白
(…確か、「澪」っていう名前だったよな)

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ずっと前に光星から聞いていたはずのその名を、記憶の奥底から引っ張り出した。
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人見知りをするらしいけど、俺はたいして気にならない。
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口数は少なくても会話の最中も頷きながら微笑んでくれるし、何かと気遣ってくれているのが伝わるから、むしろ十分すぎるくらいだ。
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弟さん夫妻には8月に子どもが誕生するらしいが、それまでおとなしく過ごしていた俺が出産予定月を聞いた瞬間、
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瀬名 眞白
えっ、じゃあさ、光星と同じ誕生日になるかもなっ?

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と、光星に向き直って嬉々として発言したことで、
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〔光星弟〕:
わわ、眞白くん、めちゃ可愛い…! -
瀬名 眞白
い、いや…そんなことは…、

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それにすぐさま反応した弟さんから囃し立てられて、とても照れてしまった。
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……しばらくして、
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弟さんの奥さん・澪さんは、少し用があるからと光星の実家に向かい、俺たちは男3人で和気あいあいと会話を繰り広げていた。
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〔光星弟〕:
眞白くん、医学生なんだ!すごいなあ! -
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〔光星弟〕:
じゃあ、将来はお医者さんだね。 -
瀬名 眞白
そうですね…
でも、思っていたよりもなかなか大変です。
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瀬名 眞白
在学中に仮免受けて、卒業するための卒験受けて、そこから医師免許試験に合格して…っていう長いプロセスが必要なんで、

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瀬名 眞白
高校のときよりもバイトも減らして…
普通は、大学に入ったらバイトする量が増えると思うんですけど、
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瀬名 眞白
俺の場合は逆で。
生きてきた中で、今が一番勉強してると思います。
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〔光星弟〕:
へえ…偉いなあ。 -
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〔光星弟〕:
仮免や卒験って、聞こえだけはなんだか車の免許を取得するときに出てくる単語みたいな感じだけど、内容がまったく違うもんね。 -
瀬名 眞白
はは、そうですね。

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瀬名 眞白
俺も最初は、『仮免』『卒験』って聞いたとき、『=車の免許』って頭に浮かびました。

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〔光星弟〕:
ちなみにその仮免や卒験って、医学部ではどんな感じ? -
瀬名 眞白
えっと、
仮免は、CBT(シービーティー) っていう知識テストと、OSCE(オスキー) っていう実技テストのことを指した仮免許試験のことで、
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瀬名 眞白
卒験は、大学を卒業するための卒業検定で、
それに合格しないと医師免許の国家試験を受ける資格をもらえないんですよ。
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瀬名 眞白
だから、なかなかハードです。

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〔光星弟〕:
うわぁ…もう聞いてるだけでめまいがする…。 -
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〔光星弟〕:
僕は兄さんと違って勉強が苦手だったから、 -
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〔光星弟〕:
眞白くんのことを本当にすごいなって思うよ。 -
感嘆の溜め息を零した弟さんは、センターテーブルの上にある紅茶のカップに手を伸ばしてコクリと一口飲みほした後、
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〔光星弟〕:
兄さん?
頑張ってる眞白くんのことをしっかりと支えてあげないとだよ? -
微笑みながらも諭すように目元を引き締めて言葉を紡いだ。
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そんな弟さんに向けて、
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<< もちろん。全力で支えるよ。>>
<< たくさん支えてもらってます。>> -
鷹野 光星…、
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瀬名 眞白
…、

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俺と光星の声が、示し合わせたかのように同時に重なる。
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〔光星弟〕:
ええっ!すごいな、息ぴったり!
二人とも仲がいい証拠だね! -
<< 当たり前だろう? >>
<< そりゃもう…! >> -
鷹野 光星…―――
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瀬名 眞白
…―――

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また重なって、思わず光星と顔を見合わせた。
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〔光星弟〕:
ははっ、めっちゃいい! -
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〔光星弟〕:
いい人に出会えてよかったね、兄さん。 -
鷹野 光星…ああ。本当にそう思うよ。
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―――ピンポーン…。
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光星がちょっぴり誇らしげに微笑んですぐ、不意にインターホンが鳴った。
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〔光星弟〕:
あ、ごめん、ちょっと待ってて。 -
言いながら、立ち上がった弟さんの背を静かに見送っていた俺だったが、
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弟さんの姿が扉の向こう側に消えていくのを見計らった光星は、
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鷹野 光星…隙あり…っ、
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瀬名 眞白
え…、ッ、……、

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鷹野 光星ッ、……
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短く呟いてこちらに身を乗り出したかと思うと、俺の唇にそっと自分の唇を重ねた。
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瀬名 眞白
――ッ、

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鷹野 光星…っ、ッ
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深く押し当ててから二度ほど軽く啄ばんで、光星はゆっくりと唇を離す。
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瀬名 眞白
こ、うせい、いきなりヤバイ…、

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鷹野 光星実家に来てからの眞白がもう可愛すぎて…、
いつキスしようか狙ってたんだ。 -
互いの鼻先が触れ合う至近距離で、ひそひそと言葉を交わす。
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瀬名 眞白
か、可愛くなんかねーって…。

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瀬名 眞白
緊張しまくってて、むしろダセーよ。

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鷹野 光星そんなことない、可愛いよ…。
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鷹野 光星…早く夜にならないかな…。
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瀬名 眞白
…、

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妖艶に口角を持ち上げた光星にトクンと鼓動が跳ねたと同時に、俺の体の中心がグンと疼いた。
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健康な成人男性とはいえ、素直過ぎる…俺の本能。
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鷹野 光星今夜は、俺が眞白を食べちゃおうかな…?
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瀬名 眞白
ば、ばか、聞こえる…、

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パタパタとこちらに向かってくるスリッパの音がして、俺たちはひとまず元の正位置に戻った。
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