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大学の友人たちとご飯に行こうとしていたその先で、偶然、大学帰りの眞白と鉢合わせた。
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駅前で少し買い物をして、眞白はそのまま帰宅する途中だったそうだ。
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大学の僕の友人たちは皆とても社交的で、眞白と僕が親友であることを伝えたら、『一緒にご飯に行こう!』と眞白を誘った。
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眞白はとてもいいヤツだけど、どちらかといえば人見知りの域に入る。
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たとえ僕の友人だとしても、よほどのことでない限り、初対面の人間との挨拶はそこそこに関わりを避ける派だ。
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だから、
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武藤 勝生
《いやまあ、いきなりだし、また今度行こう》

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眞白のことを考えて、そう促してみたんだけど。
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瀬名 眞白《…行こうかな、飯》
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今日の眞白は、どういうわけか珍しく快諾して見せた。
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︙
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評判の焼鳥屋で、僕たちは賑やかな時間を過ごしていた。
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僕と眞白を含む総勢8人のメンバー。
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友人の中には一浪したヤツ、留年したヤツもいるから、僕たちより年上の彼らはアルコールを口にしていた。
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僕と眞白が飲酒解禁になるのは、年齢的にあと約1年先。
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そのため、僕たちはソフトドリンクを飲みながら焼き鳥に舌鼓を打っていた。
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8人もいると、それぞれの場所で会話の花が咲く。
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眞白と横並びに座った僕は、疑問に思っていたことを左隣の眞白に訊ねた。
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武藤 勝生
ねえ、眞白。

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瀬名 眞白…、ん?
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焼き鳥のモモ串をもぐもぐやりながら、眞白はこちらに耳を寄せる。
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店内は喧騒に満ちていて、少し距離を詰めないと声が聞こえにくいためだ。
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たったそれだけのことなのに、その近い距離感に内心でときめいてしまいながら、面は普段通りの僕で質問を投げかけた。
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武藤 勝生
今日、いきなりのご飯会に付き合ってくれたけど…どうして?

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瀬名 眞白……別に、行こうって思っただけ。
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武藤 勝生
眞白って、ここまで付き合い良かったっけ?

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武藤 勝生
珍しくない?

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武藤 勝生
どっちかっていうと、知らない人と行くの嫌がるじゃん?

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瀬名 眞白……まあ、そうだな。
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武藤 勝生
じゃあ、なんで?

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武藤 勝生
なんで、ご飯会に付き合ってくれたのさ?

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瀬名 眞白そんな気になる?
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苦笑めいて目尻に皺を寄せた眞白は、ガラスコップに残るカルピスソーダで喉を潤してから小さく息を吐き出した。
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武藤 勝生
めっちゃ気になる。

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武藤 勝生
だって、マジで珍しいから。

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瀬名 眞白んー…
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瀬名 眞白焼き鳥も食いたかったし。
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武藤 勝生
眞白、そんなに焼き鳥が好きだったっけ?

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瀬名 眞白焼肉よりは好きだよ。
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武藤 勝生
……んんー……なんか引っかかるんだよねー。

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瀬名 眞白細かいこと気にしすぎ。
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武藤 勝生
そうかなあ。

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瀬名 眞白久しぶりに、ねぎまを食いたいなって思ったんだよ。
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武藤 勝生
……

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瀬名 眞白なによ、その疑いの眼差し。
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武藤 勝生
…それだけじゃないよね?

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瀬名 眞白……いや、別に。
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武藤 勝生
「それだけ」って言い切らないのが引っかかる…。

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武藤 勝生
なんでかな…、

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武藤 勝生
ねぎまを食べたいっていう理由よりも、別のところに核心があるように思えるんだけど?

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瀬名 眞白…ねぎまだよ、ねぎま。
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瀬名 眞白俺、追加でまた注文したし。
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武藤 勝生
……眞白が嘘をつくと、ほんの少しだけ上ずった声になるんだよね。

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武藤 勝生
半トーンくらい声域が上がる感じ。

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瀬名 眞白……
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武藤 勝生
そして、その次には無言になる。
今、まさにそのパターン。
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瀬名 眞白…、
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武藤 勝生
鋭いって思ってる?今。

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瀬名 眞白……、思ってる。
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ちょっぴりタジタジした様子で、眞白はこめかみの辺りを指先で軽く掻いた。
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武藤 勝生
小学校からの親友を侮るなかれ。

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瀬名 眞白確かに、恐れ入るわ。
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武藤 勝生
じゃあ、観念して、潔く本当の理由を教えてもらおうかな?

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瀬名 眞白…そんな、たいした理由じゃねーよ?
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武藤 勝生
いいから、教えて?

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急かすように覗き込んだ僕を視界の端で捉えた眞白は、おもむろに口を開いた。
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瀬名 眞白駅で、勝生やその友達と話したとき、
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瀬名 眞白このメンツの中に二人くらい年上がいるのを知ったから。
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武藤 勝生
…うん、

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瀬名 眞白……
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武藤 勝生
……、?

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瀬名 眞白……
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武藤 勝生
……え、え?

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武藤 勝生
理由って…それで終わり?他には?

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瀬名 眞白ない。
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武藤 勝生
それだけ?

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瀬名 眞白それだけ。
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武藤 勝生
え、ちょっと待って…、意味分かんないんだけど?

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武藤 勝生
もう少し詳しく言って?

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瀬名 眞白「詳しく」って…、
今言ったことがすべてだけどな? -
追加注文していたジンジャーエールとねぎまが届き、早速ねぎまの串をつまんだ眞白は鶏肉の端っこを品よく食みながら、チラリと僕を一瞥した。
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