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瀬名 眞白…勝生?大丈夫か?
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武藤 勝生
…うん、平気。大丈夫…。

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瀬名 眞白……
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武藤 勝生
(そんな優しい目で見られると、マジでヤバイ…)

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あ……ほらもう、ダメだ。
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めっちゃ胸が痛い…。
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瀬名 眞白ほんとに?
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武藤 勝生
だ、大丈夫だって。

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武藤 勝生
全然へーきっ。

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もともと嘘なんか嫌いだ。
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でも、僕の想いに限っては必要悪。
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だからこそ懸命にニコッとして見せたのに……努力の甲斐なく、僕の瞳からは涙が溢れた。
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武藤 勝生
―――…っ、

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瀬名 眞白わっ…!?勝生?!
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瀬名 眞白おま…っ、やっぱ全然平気じゃねーじゃんっ!
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武藤 勝生
っ、ちが…うっ、なんか目にゴミが…、

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向かいに座っていた眞白と距離を置くように立ち上がって、ササッと拳で涙を拭う。
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武藤 勝生
なんでもないから…。
目にゴミが…入っただけ…、
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瀬名 眞白バカかおまえ、風も吹いてねー室内でどうやって目にゴミが入るんだよっ、
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瀬名 眞白しっかり泣いてんじゃん!
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そんな僕を追いかけるように、眞白もすっくと立ち上がった。
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瀬名 眞白なんだよ…、元気出せよ、勝生…。
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瀬名 眞白戸川とは付き合いも長かったから、辛いだろうけどさ…。
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武藤 勝生
…ほんと、大丈夫だってば…、

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もちろんだけど、眞白は僕が彼女と別れたことが悲しくて泣いているのだと推察しているはずで。
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でも、涙の本当の理由は全く違う。
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武藤 勝生
(眞白のことが好きすぎて…、苦しいよ…)

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口に出せない想いが胸の中でさらに強くうねった途端、堰を切ったようにますます涙が溢れて止まらない。
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込み上げてくる慟哭を喉奥で必死に留めながら、手で目元をゴシゴシやる。
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瀬名 眞白なにが大丈夫だよ…、
全然大丈夫じゃねーじゃん…。 -
武藤 勝生
……、

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瀬名 眞白…そうだ、勝生。
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瀬名 眞白今からどっか気晴らしに遊びに行くか。
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武藤 勝生
…えっ…?

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瀬名 眞白まずは飯でも食いに行ってさ。
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瀬名 眞白スポッチャとか…、
あ、久しぶりに映画とか行く? -
武藤 勝生
で、でも…、今日は土曜日だよ?

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武藤 勝生
この後、鷹野先生の家に泊まりに行くんじゃないの…?

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瀬名 眞白今日はやめとく。
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瀬名 眞白明日も休みだし、光星のところは明日行くわ。
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武藤 勝生
…でもさ、鷹野先生、眞白に会えなくて寂しいかも…。

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瀬名 眞白光星は、元生徒の勝生のことも大切に想ってるし、俺の大事な親友のことなんだから、絶対に分かってくれる。
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瀬名 眞白それに、まずそこは俺がなにも言わせねー。
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武藤 勝生
―――…

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二人が持つ優しさが染み入るように、それでいてチクリと胸に刺さる。
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あくまで僕は『眞白の親友』だからこその、二人のその思いやりや気遣いはとても残酷だ。
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武藤 勝生
(なんだよもう…、眞白も鷹野先生も優しさがエグいんだよぅ…)

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武藤 勝生
(特に眞白は、親友想いの無自覚ムーブが最強すぎ…)

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ぶつぶつ思いながらも、それでもやっぱり、その無償の仁愛は僕の心を柔らかに癒してくれるから。
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瀬名 眞白…な、勝生?
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武藤 勝生
…ん…、ありがと、眞白…。

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瀬名 眞白行く?遊びに。
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武藤 勝生
……うん、行く…。

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スン…と鼻を鳴らして目の前の眞白と視軸を合わせた。
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目が合った途端に慈しむように目尻を細めた眞白に、胸がじわりと焦がれる。
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武藤 勝生
…、

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瀬名 眞白…どうした?
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武藤 勝生
…いや、えっと…、

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武藤 勝生
(どうしよう……ちょっとだけ、わがまま言っちゃおうかな…)

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…僕の『永遠の失恋記念』の[#ruby=餞_はなむけ#]に。
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武藤 勝生
眞白…、

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瀬名 眞白ん?
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武藤 勝生
遊びに行く前に…ちょっと、お願いがあるんだけど…。

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瀬名 眞白なによ?
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武藤 勝生
眞白から…いっぱい元気をもらいたいんだ…、

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武藤 勝生
だから…、

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武藤 勝生
ハ……、ハグ、してもらってもいい?

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瀬名 眞白「ハグ」?
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武藤 勝生
う、うん…なんていうかさ、
心が弱ってるとき、人ってさ――
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瀬名 眞白…―――
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武藤 勝生
(…――えっ、?!)

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僕が言い訳じみた言葉を言い終えるよりも早く、眞白は手を伸ばして僕のことをすぐに抱き寄せた。
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瀬名 眞白…、
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武藤 勝生
(わわ…っ、)

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眞白の広い胸にしっかりと収まるように、強く抱き締められる。
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背中に回る両手が躊躇うことなく僕を包み込んだ。
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瀬名 眞白…こんなので勝生の元気が戻るんなら、いくらでも。
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武藤 勝生
―――…

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瀬名 眞白勝生の笑顔は最高なんだからさ…、
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瀬名 眞白俺も辛れーわ…おまえの泣き顔見るの。
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武藤 勝生
…眞白…、

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瀬名 眞白だから、早く元気になれ。
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武藤 勝生
―――

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ああ…もう、眞白のバカ。
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『笑顔が最高』とか言わないで。
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ほんの少し褒められるだけで、嬉しくて心が舞い上がってしまうから。
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瀬名 眞白辛いときは、俺に甘えりゃいいんだよ。
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瀬名 眞白つーか、俺だけに甘えろ。
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瀬名 眞白おまえだけが、俺の大切な親友なんだからさ。
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武藤 勝生
…―――

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眞白の言葉が、魔法みたいにリフレインする。
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そうだ…僕はある意味、眞白にとって『特別な存在』。
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『親友』として眞白に愛される幸せを、誰よりも存分に味わえる。
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他の友達に対して、眞白はここまでの『友愛』を注いだりはしないから。
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武藤 勝生
僕は、眞白にとって大切…?

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瀬名 眞白大切に決まってんだろーが。
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武藤 勝生
じゃあ…もしも眞白以外に、僕に親友ができたとしたら…?

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瀬名 眞白…なんだそれ。
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瀬名 眞白別に構わねーけど…、ランク付けろよ?
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武藤 勝生
…「ランク」?なにそれ…?

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瀬名 眞白おまえの親友の中では、俺が1番な?
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武藤 勝生
…なんだそれ。

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瀬名 眞白真似しねーの。
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クスッと僕の頭上に眞白の笑みが降り注いだ。
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瀬名 眞白親友の中で俺が1番だから…、
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瀬名 眞白勝生のしんどいこととか、いろんな悩みとか、他のヤツよりも俺に真っ先に言えってこと。
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武藤 勝生
……眞白のバカ。

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瀬名 眞白は?なんでよ?
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苦笑を零しながら抱きしめた僕の体をグラグラと揺らす眞白に、僕も声を出して笑う。
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まったくもう、サラッとそんなことを言ってのける眞白は本当に罪深い男だ。
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そして、どこまでも親友想い。
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武藤 勝生
…これからもずっと眞白は不変で僕の1番の親友だから、いっぱい甘えちゃおうっと…。

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おもむろに、ぎゅうっと眞白に強く抱きつく。
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もう離してやるものか…ってくらいに、強く。
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くうぅ…眞白の全部が大好きだっ。
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武藤 勝生
…あ。鼻水ついたらごめんねっ…、

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言いながら、眞白のTシャツの胸の辺りにズリズリと顔を擦り付けて、いつものひょうきんな僕をゆっくり取り戻していく。
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瀬名 眞白…ぉわっ!?
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瀬名 眞白おまえ、このTシャツおろし立て――っ…
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瀬名 眞白…って、ま、いいわ…、
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瀬名 眞白よっしゃ、受けて立つ!
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ちょっぴりおどけるように声を弾ませた眞白は、さらに僕をしっかりと抱き込んだ。
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武藤 勝生
く、くるしい…、

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瀬名 眞白るせ、文句言うな。
全力で元気を注入してんだから。 -
武藤 勝生
く…苦しいけど、

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武藤 勝生
エアコンの温度が低くて涼しすぎるから、ちょうどいいかも…。

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武藤 勝生
うー……眞白、あったかいー…。

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瀬名 眞白人をでっかい湯たんぽみたいに。
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武藤 勝生
えーいいじゃん、眞白湯たんぽっ…。

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…僕のわがままの本当の意味を、眞白は知る由もない。
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それでもいい、『友愛』を謳ってたくさん甘えてやろう。
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『眞白らぶ』。
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これからも変わることのないこの想いを、ギュッと存分に詰め込んで。
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わがままの意味 END
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【あとがき】まずは、お読みいただきありがとうございます(多謝♡
ちなみに、後輩二人は、【優しさの余白】に登場した彼らです( · ∀ · )
まだご覧になっていない方はぜひとも♪ -
眞白の無自覚親友ムーブがヤバイと、書いてて思う今日この頃…笑
これは片想いしてる勝生はしんどいだろうなと( ̄▽ ̄;)
というわけで、いよいよ勝生の片想いを実らせてあげたいという野望が芽吹いてきました。
とはいえ、IFになるとは思いますが“φ(・ω・。*)カキカキ -
うーんでも、
この勝生の片想いの世界も、まだもうちょっと書いてみたい気もします…( ̄▽ ̄)勝生ごめん…笑 -
エピソード話、楽しんでもらえると嬉しいです♡
ゆさみん
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