孤高のソナタ IF VERSION -4

  • ・・・

  • その母子は、支援団体の施設に一時入居することになると警察側が安心材料を伝えてくれたことで、ホッとしながら帰って来たのだと眞白は言っていた。

  • 母親とその子どもが仲良く幸せに暮らせることを願う…と、

  • 病院の待合室で何気なく呟いた眞白の優しい横顔が、再び脳内に浮かぶ。

  • 非人道的なことに対して、眞白はいつも絶対に目をそらさないから、その微笑は何よりも尊い。

  • 武藤 勝生

    (はあ…。眞白のしたことは誇らしいけど…、心臓がいくつあっても足りない)

  • 眞白が頻繁に怪我をしていたのは、荒れていて、研ぎ澄まされていた刃先のようだった中学時代の頃。

  • 高校に入ってからは喧嘩もしなくなったし、大学生になった今もそういった不穏な怪我とは無縁の日常だったのに。

  • 瀬名 眞白

    ……

  • 武藤 勝生

    …、

  • ドライヤーの風を眞白の髪に送ってサラサラと乾かしながら、

  • 『できるだけ危険なことには首を突っ込まないように』と諭しそうになる。

  • …けれど。

  • 武藤 勝生

    (言ったところで聞かない…)

  • そういうときこそ、人見知りだったり不愛想だったりの性質が発動されればいいのに。

  • 公に広く称賛されるわけでもないのに、目に留まった見知らぬ人の事でも困っているようであれば、危険を顧みずに全力で向き合ってしまう。

  • 武藤 勝生

    (……ああでも…、これが『眞白の正義』なんだよな…)

  • そう思い直して、ドライヤーのスイッチを切った。

  • サラサラッと眞白の髪を手櫛のように撫でつける。

  • 武藤 勝生

    …はい、しっかり乾いたね。

  • 瀬名 眞白

    ―――

  • 武藤 勝生

    …、ん?眞白?

  • 瀬名 眞白

    ―――

  • 武藤 勝生

    あー…やっぱり寝ちゃってるぅ…。

  • 端正な顔を覗き込むと、瞳を閉じて細い寝息を立てていた。

  • クラリと眞白の上体が揺れて、僕に体を預けたようになったから、

  • 武藤 勝生

    …もう、「寝ないで起きてて」って言ったのにさ…。

  • 形のいいおでこを指先でツンとやってみる。

  • 瀬名 眞白

    ―――

  • 武藤 勝生

    (…んー…、起きないか…)

  • …それにしても。

  • 目に映る眞白の寝顔はほんとに最強。

  • その可愛い寝顔に魅入ってしまって、先に寝てしまったことなんてどうでもよくなってくる。

  • 武藤 勝生

    (…無防備だなあ…)

  • 小さく微笑んだあと、その寝顔にそっとキスを降らせる。

  • 瞼、頬、そして唇。

  • 重ねた唇を柔く啄ばむと、眞白が薄く目を開けて無意識に口元を緩く開いた。

  • 瀬名 眞白

    …、しょう、い…、

  • 瀬名 眞白

    キス…、

  • 武藤 勝生

    あ…、

  • 武藤 勝生

    眞白…?起きた…?

  • 瀬名 眞白

    ん…、

  • 瀬名 眞白

    もっと…、キス…

  • 武藤 勝生

    (わ…、めっちゃ可愛い…)

  • この間、見知らぬ子どものために体を張って正義を貫いたとは思えないくらいに。

  • 僕だけが知る、僕だけの可愛い眞白。

  • 武藤 勝生

    じゃあ…、

  • 武藤 勝生

    キス、続けるよ…?

  • 瀬名 眞白

    ん…。

  • 瀬名 眞白

    して…。

  • 精悍で優しい眞白の正義の剣は、悪というものを一刀両断するほどの強靭な強さを持つ。

  • 普通では考えられないような出来事が眞白の前で繰り広げられて、そのたびに眞白は孤高で立ち向かうから。

  • 武藤 勝生

    キスだけじゃ止まらないかも…それでもいい?

  • 瀬名 眞白

    いい…。

  • だからせめて、そうじゃないときは、僕が眞白をたっぷりと癒して甘やかしてあげたい。

  • 武藤 勝生

    腕、大丈夫…?
    痛くない…?

  • 瀬名 眞白

    へーき…。

  • 瀬名 眞白

    早く、勝生…。

  • 武藤 勝生

    うん…、眞白…――

  • …愛してるよ。

  • ベッドの上に柔く眞白を組み敷いた僕は、もう一度、優しく唇を重ねた。

  • Feel better soon, my love. ― Shoi.

  • 【 早く治りますように。大好きだよ。勝生より。 】

  • 孤高のソナタ IF VERSION END



  • 【あとがき】まずは、お読みいただきありがとうございます(多謝♡

    眞白×光星が主である世界軸でも【孤高のソナタ】というEPISODEがありまして。
    そこでの眞白は、見知らぬ女性を救ったのでした。

    眞白×勝生の世界軸では、眞白は見知らぬ子どもを助けます。
    どちらの世界軸の眞白でも、この部分はブレません(๑•̀ •́)و✧.゚

  • ちなみに、眞白が助けた子どもとその母親はいったん母子シェルターに入り、
    その後母子支援センターを経て、母子で仲睦まじく暮らしていくことになるでしょう。

  • 眞白が中学時代に(眞白×光星の世界軸において)、
    『オトナの勝手な都合で生み出されたようなあいつらのこと、なーんも分かってねえだろうが、あんたも。』
    と、光星に言う場面があるのですが(EPISODE【August30】参照)、
    実は、仲間の中には幼い頃からそういった辛い暮らしを強いられていた子もいて、

  • 中学生になってすぐに家を飛び出し、眞白たちとつるむようになったことで救われたということもありました。

    眞白は、これまで生きてきた経験(ヤンチャだった頃の)すべてを正義に充てることができる、稀な人種だろうなと思います。(中学時代のヤンチャな部分は、眞白×勝生の世界軸でも同じ)

  • さて、自分よりも弱いものを虐げることに強い嫌悪を抱く眞白ですが、子どもが苦手であると公言しながらも、
    こういう人に限って、いざってときにちゃんと関われたりするんですよね笑
    だからといって、子どものことが苦手であることは変わらないので、日常的に関わろうとは思わないですが(できるだけ避ける派

  • 光星も勝生も子どもは好きなので、子どもと仲良く過ごせる二人のことを、眞白はいつも尊敬の眼差しで見つめています。

    「すげーな…。俺は無理」と…笑

    そういったほわほわした話も書けたらいいな…と思います“φ(・ω・。*)カキカキ

  • IFの【Only Lover】のお話の中で、勝生が大学生になったら眞白と過ごす時間が減ることを憂いていましたが、
    この世界軸では、二人でルームシェアで暮らしているのでめでたしめでたし、ですね♪

  • そして今回、お話の後半には、ちょっと甘めな要素を加えました。
    光星との世界軸の【孤高のソナタ】では甘さ要素ゼロでしたが、勝生にだけ見せる甘えっこな眞白を書いてみたくて。
    お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、二人は『リバ』です♡

  • エピソードなお話、みなさんに楽しんでもらえると嬉しいです♡


    ゆさみん

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