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武藤 勝生
わ。
え、ちょっと、眞白…、
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瀬名 眞白なに?
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武藤 勝生
え、あれれ?
もしかして……妬いてる?
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瀬名 眞白………、別に。
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武藤 勝生
嘘だぁ。

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瀬名 眞白べ、別に、嘘とかじゃねーよっ。
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武藤 勝生
じゃあなんで、そんな顔してんのさ?

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瀬名 眞白「そんな顔」って、どんな―――
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武藤 勝生
『こんな顔』だよ…、

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眞白が紡ぎ出す疑問符を遮るようにして、両手で目の前の両頬をそっと包み込む。
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武藤 勝生
滅多に見せてくれない…『可愛い顔』。

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瀬名 眞白っ、…、
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武藤 勝生
ごめん、少し手が冷たい…?

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瀬名 眞白ち、違う…、
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眞白は普段堂々としているけれど、途端にへなへなっと脆くなるときがある。
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こんな風に優位に立って意表を突く僕に、とっても弱いのだ。
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武藤 勝生
あの子とのこと…、
眞白が心配するようなことは何もないよ?
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瀬名 眞白わ、分かってるって。
だから別に―― -
武藤 勝生
…えいっ。

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瀬名 眞白いっ…、ッ、
……勝生ー。 -
手に触れる柔らかな両頬を横に軽くムニッと抓ると、眞白は目尻を細めて苦笑いした。
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武藤 勝生
あはは、可愛い。

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瀬名 眞白可愛くなんかねー。
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武藤 勝生
ね、妬いたんだよね?
ね?眞白?
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瀬名 眞白…んー…、妬いたっつーか…、
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瀬名 眞白ほんとそういう感じじゃねーんだよ、おまえがモテるのも分かってるし。
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武藤 勝生
いやいや、モテるのは眞白でしょうが。

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瀬名 眞白そんなことねーよ。
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瀬名 眞白とにかく、妬いたとかじゃなくて、
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瀬名 眞白勝生が俺に見せたことない表情をしてたから…、
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瀬名 眞白なんつーの、
『俺の知らない勝生がいる』みたいな気持ちなって、ちょっと寂しくなったっつーか…。 -
武藤 勝生
えっ、なにそれ、マジで?!
そんなの可愛すぎるんだけど?!
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瀬名 眞白…、おだまりなさい。
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武藤 勝生
単純にさ、余所行きの顔してただけだよ?

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武藤 勝生
眞白も前まではよく告白されてたじゃん?
そのときは、ちゃんと余所行きの顔してたよ?
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瀬名 眞白……、してたか。
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武藤 勝生
してた。

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武藤 勝生
「傷つけないように、どうやって断ろうかな」って思いながらさ。

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眞白も僕も、人の心を弄んでるわけじゃない。
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相手の恋心を『存在として肯定』することが罪だと指摘されたとしても、『愛するという想い』をどうしても傷つけたくないから。
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ただ誠意をもって、きちんと断っているだけ。
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これは、見せかけの美徳ではなく、僕や眞白の芯が通った価値観なのだ。
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瀬名 眞白んー……、そっか…。
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こめかみの辺りを決まりが悪そうにぽりぽりと掻くそんな眞白は、晴蘭に入学してからも自分に女子たちからの告白が押し寄せることに恐縮して、
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今後の告白を回避しようと、ある日突然、僕たちの交際を学園内で周知の事実にした。
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『…さすがにちょっとメンタルくる…。』
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告白を断った相手の気持ちを推し量り続けた末に呟いた眞白のその言葉が、交際を周知させる決定打となった。
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もともと僕たちの交際は中学時代の友人たちも知っていたことだし、学園内に知れ渡ることに抵抗もなく、
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以降、いまだに人気度はすごく高いけど眞白に告白する女子はほぼ皆無、
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今日僕にクッキーを手渡そうとしたクラスの女子の挙動も、実はとっても珍しいケースなのだ。
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武藤 勝生
…ねえ。
眞白のバイトが終わってから、ちょこっとだけ会いに行っていい?
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瀬名 眞白え?いいけど…、
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瀬名 眞白明日会えるからさ、今日はバイトで夜も遅くなるし、無理に会わなくても――
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武藤 勝生
僕が会いたいんだよ。

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武藤 勝生
一分一秒でも、眞白のそばにいたい。

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畳み掛けた僕に、眞白の口端がわずかに上ずる。
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ああ、これは、眞白がすごく嬉しいときの顔つき。
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武藤 勝生
眞白は違うんだ?

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返ってくる答えは分かってるのに、あえて小首を傾げて問いかけると、
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瀬名 眞白違うわけねーだろ。
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瀬名 眞白少しでもおまえといたいって、俺も。
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ほんのりと頬を赤らめて、またフイッと視線を逸らした。
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ほんとに、時々ツンデレになっちゃうんだよね、眞白って。
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そこがまた、たまらないんだけどさ。
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武藤 勝生
そうだ、眞白、

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瀬名 眞白…ん?
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ささめ雪がちらつくクリスマスイブの終業式。
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足早に帰った生徒たち。
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誰もいない廊下。
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…こんな恵まれたシチュエーションで、キスしない恋人同士っている?
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武藤 勝生
大好きだよ…、――ッ、

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瀬名 眞白…っ――
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僕は少しだけ背伸びをして、眞白の唇を優しく奪った。
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武藤 勝生
…、っ、

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武藤 勝生
バイト前なのに、引き留めてごめんね?

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重なっていた唇からゆっくりと離れて微笑みながら眞白を見上げると、
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瀬名 眞白……許さん。
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精悍な瞳が照れくさそうに揺れて、低い声が呼気に乗った。
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武藤 勝生
えっ、…「許さん」?

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聞き間違いかと目を瞬いて眞白を見つめると、ちょっぴり眉根を寄せた表情が目に映る。
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武藤 勝生
えっと…、眞白?

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瀬名 眞白バイト終わったら、俺が会いに行くわ。
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武藤 勝生
え――ほんとに?

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瀬名 眞白ああ。
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武藤 勝生
やった!

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武藤 勝生
じゃあさ、明日のクリスマスは二人で過ごすわけだし…

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武藤 勝生
もういっそ、今日はうちに泊まっちゃう?

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瀬名 眞白泊まる。
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瀬名 眞白『許さん』の代償も『きっちり払って』もらう。
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寄せていた眉根が柔らかに広がるとともに、瞳には次第に妖艶さが満ちてゆく。
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武藤 勝生
――わ、ヤバイ…。

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武藤 勝生
そんな目で見られたら、このまま家まで連れて帰りたくなるじゃん…。

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瀬名 眞白…おまえこそ、そんな目で俺を見るな。
バイトに行きたくなくなる。 -
瀬名 眞白明日休みもらう代わりに、今日は絶対に行かねーとなんだからさ…。
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武藤 勝生
…一瞬、バイト休もうかなって思った?

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瀬名 眞白思った。マジで。
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瀬名 眞白初めて、『仮病使おうかな』って思ったわ。
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武藤 勝生
うう、眞白ぉ…。

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思ってくれるだけでシアワセっ。
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瀬名 眞白とにかく、家でいい子で待ってなさい。
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僕の頭をぽんぽんとやって、わがままに走り出そうとする理性をコントロールしている眞白がかっこよすぎる。
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すごくかっこいいのに、眞白はいろんな表情を見せてくれるから。
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武藤 勝生
(『眞白らぶ』は永遠だなー)

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こんな眞白を独占できる優越に改めて浸りながら、弾むようにウキウキしてしまう心を和ませた。
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――そんなクリスマスイブの今日も、僕たちの想いはまっすぐに互いを見つめ合って、深くクロスしている。
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…On Christmas Eve, we reaffirm our eternal love.
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FACE to FACE END
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【あとがき】まずは、お読みいただきありがとうございます(多謝♡
IF眞白×勝生の第二弾を書いてみました“φ(・ω・。*)カキカキ
クリスマスイブの一コマ的な感じですね。
これを書いちゃったら、クリスマスの一コマも書かないとなーと思いつつ(書けるかな… -
勝生は、見た目もよく社交的で人当たりもいいので、実は女子から結構モテます。
身長は170センチで、178センチの眞白よりは低いですが、女子から見たら170センチの身長って別に気にしない感じですもんね(高身長が好きな女子は置まあ置いといて -
ちなみに、勝生は文系の頭なので、英語が得意です。
お話の中の最後の一文である『On Christmas Eve, we reaffirm our eternal love.』は、
勝生が咄嗟に思いついたモノローグです(๑•ㅂ•)و✧ -
エピソード話、みなさんに楽しんでもらえたら嬉しいです♡
ゆさみん
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