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武藤 勝生≪いったいどうしちゃったの、眞白。≫
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武藤 勝生≪様子が変だから、すっかり目が覚めちゃったじゃん。≫
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瀬名 眞白
……「親友」として、好き…?

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武藤 勝生≪もちろんそうだよ。≫
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瀬名 眞白
例えばだけど…、

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瀬名 眞白
それ以上ってことはねえよな?

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武藤 勝生≪ん?どういうこと?≫
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瀬名 眞白
勝生が俺のことを…、

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瀬名 眞白
『恋愛対象』として好きとかじゃねえよな?…ってこと。

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武藤 勝生≪…、≫
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武藤 勝生(わあ…眞白、今日はマジでおまえになにがあったんだよ…ダイレクトに聞いてくるじゃん)
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武藤 勝生(いやもう、恋愛対象としてめっちゃ好きだけどさ…、言えないし)
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ひとまず、『好き』はそのままで、『恋愛対象』云々についてはお茶を濁そう。
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瞬間的にそう閃いた勝生は、一息の間を空けた。
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瀬名 眞白
……

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対して、勝生がどういった言葉を綴るのか眞白の心は[#ruby=逸_はや#]ったが、短い沈黙の後、明るい声音の続きが受話口の向こうで響く。
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武藤 勝生≪ずっと親友だよ。≫
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武藤 勝生≪僕はそれ以外の何者でもない。≫
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瀬名 眞白
…、

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武藤 勝生≪ なーに、どうした? ≫
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武藤 勝生≪ 納得いかない?悩める青年?≫
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瀬名 眞白
別に、そういうわけじゃねーけど…。

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武藤 勝生≪…眞白が鷹野先生の恋人である以上、僕は今のポジションを変えるつもりはない。≫
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武藤 勝生(…うぅ、濁そうと思ってるのに、ついギリギリを攻めてしまう僕)
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瀬名 眞白
……、え、

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瀬名 眞白
なんつーか、やっぱそれってさ…、

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武藤 勝生≪いつも言ってるよね?
何かのときは、『いつでも僕のところにおいで』って。≫ -
瀬名 眞白
そ、それはでも、『親友』としてってこと…だよな?

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武藤 勝生≪…おそらくは。≫
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瀬名 眞白
えっ。

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武藤 勝生≪そんなの、そのときになってみないと分かんないよー?≫
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武藤 勝生≪眞白のセクシャリティに縛りがないのは前からだし、僕だって眞白と愛し愛される関係になるかもしれないでしょうが。≫
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瀬名 眞白
いやでも…、

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瀬名 眞白
セクシャリティで言えば、勝生は女しか愛せないだろ?

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武藤 勝生≪そうだねえ…、≫
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武藤 勝生≪でも、眞白だけは特別…かもね?≫
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瀬名 眞白
「特別」?

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武藤 勝生≪眞白だって、男を好きになったのは鷹野先生が初めてじゃん?≫
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武藤 勝生≪僕の場合は、眞白だけに恋愛感情が発動する可能性も否めないってことだよ。≫
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どこか意味ありげに告げて見せた勝生は、困惑した様子の眞白に向けて、ふふっと余裕めいた風格を漂わせた。
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…が、
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武藤 勝生(ああ、マズイ…。眞白の反応が可愛すぎて止まらなくなっちゃう)
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そろそろエンジンブレーキをかけてうまい具合に話の方向性を変えねばと、勝生はひとつ咳払いをして続ける。
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武藤 勝生≪…なーんて。≫
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武藤 勝生≪まあね、僕の存在は、眞白のアミュレットでいいんだよ。≫
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瀬名 眞白
……、

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武藤 勝生≪これからもずっと心地よい距離を保ちながら、いつもひっそりと眞白のそばにいる…、≫
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武藤 勝生≪『困ったときの勝生』みたいな。≫
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瀬名 眞白
…「困ったときの勝生」…、

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武藤 勝生≪そう。…あ、眞白の存在も僕にとっては『困ったときの眞白』っていうアミュレットだよ。≫
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武藤 勝生≪そして、『スタンドバイミ―』。≫
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瀬名 眞白
…「スタンドバイミ―」?

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武藤 勝生≪訳して?≫
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瀬名 眞白
…『僕を支えて』とか『僕の味方でいて』…とか?

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武藤 勝生そう。
お互いにそんな強い絆で結ばれてるんだよ、僕たちは。 -
――…だから、いいんだよ、これで。ずっとこのままで。
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低めのトーンで付け足したその言葉は、実のところ深い意味を刻んでいながらも、夜更けの静寂に溶け込むように消えゆく。
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武藤 勝生≪納得した?眞白。≫
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瀬名 眞白
…ん、まあ…、
納得した…かな。
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瀬名 眞白
(やっぱ俺の思い過ごしか…)

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武藤 勝生(…まったくもう、眞白に余計なことを考えさせた『きっかけ』にゲンコツを喰らわせたい気分だよ)
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思いながら、ふぅ…と一つ深呼吸をした勝生だったが、
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武藤 勝生≪……あ。そうだ、眞白。≫
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武藤 勝生≪近いうちにさ、休みの日にちょっと付き合ってくれない?≫
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ふと閃いた誘いを口にした。
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それはもちろん、『親友』としての絆をさらに確定させるための言の葉。
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瀬名 眞白
おう、いいけど。

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武藤 勝生≪[#ruby=坂辺_さかべ#]と行こうかって話にもなってたんだけどさ、あいつのバイトの休みがなかなか合わなくて。≫
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『[#ruby=坂辺_さかべ#]』とは、晴蘭学園時代のクラスメイトの男子で勝生と眞白の共通の友人であり、実際に勝生はその坂辺と出かけることになっていた。
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普段はいちいち加えることのない補足要素だが、今は友達の名前を敢えて話に絡めて、眞白が抱いた疑惑の濃度をさらに薄めるために、
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『 眞白=親友 』の公式を定着させていくために、勝生はその詰めを怠らない。
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瀬名 眞白
どこか行く感じ?

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武藤 勝生≪観たい映画があるんだよねー。≫
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瀬名 眞白
なに観たいんだよ?

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武藤 勝生≪『鬼〇の刃』!≫
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瀬名 眞白
あーあれな!
俺も観たいと思ってた。
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…勝生にとっての今が、残酷な現実でなければそれでいい。
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そんな結論に至った眞白は、内心でホッと息を吐き出しながら…、
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武藤 勝生≪今回の映画はさ、もうめっちゃ泣いちゃうかも、僕。≫
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瀬名 眞白
俺は原作読んだときに、めっちゃ泣いたわ。

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瀬名 眞白
十二鬼○の中で、ガチで猗○座推し。

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武藤 勝生≪あの話が映像化だよ? 観たいけど観たくないっていうのがループするような、不思議な気持ち…。≫
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瀬名 眞白
分かるわ、それ。

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瀬名 眞白
…とりあえず、吸水性の高いハンドタオル持参だな?

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勝生と話を合わせながらも、眞白の中でほんの少し動揺が残ってはいたが、
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小学校からの親友が紡ぎ出すいつもの明朗さに次第に感化されていった――。
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*
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光星と深く愛し合う眞白。
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眞白に熱く恋をするも、眞白のために親友で居続けようと決意を秘める勝生。
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それは、『今』のものがたり。
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でも、もしもそこにちょっとした歪みが生じたとしたら…?
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眞白が勝生の恋心に無意識に触れた瞬間、それは世界の並列が生み出されるとき。
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振り出しに戻って、愛する人を、心の中も……すべて初期化してしまうとき。
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ただしそこは、IFの世界。
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それでも、一人の青年の愛はその世界の中で報われる。
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…いよいよ、その『もしも』の扉が開くかも――しれない。
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『もしも』の扉がひらくとき END
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【あとがき】まずは、お読みいただきありがとうございます(多謝♡
今回は久しぶりの三人称視点で、IFの物語への匂わせ風味で終わりました(;・∀・)
匂わせ風味、伝わりましたでしょうか?(っていうか匂わせで終わってすみません
眞白×勝生のIFを書こうかな…と少し思い立ってるので、ちょっとその入口的なお話を書いてみようかなとφ(・ω・。)かきかき -
なんかもう、特にこのお話の筆致はキャラのセリフ枠が分かりやすくついただけの、ますます普通に小説ですね(;´▽`A``
以前から、わたしの筆致はチャットノベルの域を飛び越えちゃってますが、
今後もゆさみん流チャットノベルでいきますので、よろしくお願いいたします! -
さて。このお話には、かなりの伏線が絡んでおりまして、
MAINの【このバトンを君に】【そして、俺たちは】や、EPISODEの【August 30】【ひらがなのキミ】【October 1】【体調不良はほのかな蜜の味?】【わがままの意味】などの内容が地味に散らばっております。 -
本編やエピソード話をしっかりと読んでくださっている方にしか分からない仕掛けであります(✧∀✧)キラーン! 笑
そんな方っていらっしゃるかな…いたら感涙です(´;ω;`)ウゥゥ♡ -
勝生も勘が鋭い子ですので、眞白が訊ねようとしていることをすぐに見抜いて対応するよなーと、書きながら思ったゆさみんです。
ワガママに自分の想いを押し付けないのが、勝生の愛であり優しさですね(๑•̀ •́)و✧ -
果たしてIF ROUTEで、勝生の想いを叶えてあげることができるのか?!
…やりますぜ(๑•̀ •́)و✧ -
ちなみに、眞白は『猗○座推し』ですが、勝生は『○磨推し』です♪
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エピソード話、楽しんでもらえると嬉しいです♡
ゆさみん
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