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瀬名 眞白
(……もしかして、勝生…、俺のことが…)

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―――いや、そんなことはないはず。
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諦めが悪い子どものように、すぐにそう思い直して眞白は頭を振る。
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勝生はとても友達想いだが、それは自分と似通った要素。
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だからきっと俺の勘違いだ…そう思い込もうとしてみる。
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しかし、いろいろと理由をつけて打ち消そうとしてみても、どうしても一度膨らんだ違和感は[#ruby=萎_しぼ#]んでくれない。
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瀬名 眞白
……

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おもむろに取り出したスマホ画面に、勝生の連絡先を表示する。
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瀬名 眞白
(もう真夜中…)

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明日が土曜日とはいえ、さすがに勝生も夢の中だろう。
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瀬名 眞白
(いや、電話したところで…どう確認するんだよ)

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望み通り解明したとしてもどうにかなるわけでもない。
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眞白は光星の恋人であり、光星だけを心から愛している。
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どう考えても、そこに誰かが入る余地なんてないのだ。
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それでも、どうしようもないことなのだと分かっていても、
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瀬名 眞白
(…悪い、勝生)

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『知りたい』と膨らむ衝動は止められない。
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眞白の整った指先は勝生の声を求めて、スマホの画面をタップしていた。
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≪ ――pppp…pppp… ≫
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瀬名 眞白
……、

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武藤 勝生≪――…眞白?≫
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瀬名 眞白
…勝生、ごめん、こんな夜遅くに…、寝てたよな?

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武藤 勝生≪ちょっと寝かかってたけど、さっきまで起きてたし大丈夫。≫
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明るい声で返してくれてはいるがさすがにベッドの中らしく、布団の衣擦れのような音が聞こえた。
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瀬名 眞白
悪い、夜中にいきなり電話して。

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武藤 勝生≪んーん、いいよ。≫
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武藤 勝生≪それより、どうしたのさ?≫
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瀬名 眞白
……えっと、なんつーか…、

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武藤 勝生≪もしかして、僕の声を聴きたくなったとか?≫
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瀬名 眞白
まあ…そんな感じかもな。

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武藤 勝生≪うお、マジで?≫
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武藤 勝生≪これは眠気もすっ飛ぶねー。≫
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勝生の声が嬉しそうに軽く弾んだようになる。
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瀬名 眞白
…、

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だが、対照的に眞白が沈黙したことで、勝生はいつものトーンで話を切り替えた。
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武藤 勝生≪まあ、それはさておき。≫
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武藤 勝生≪どうしたのさ、なんかあった?≫
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瀬名 眞白
……いや、別に…なにも。

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いざ勝生の声を聴くとすぐには疑問符を口にすることができず、定番の切り返しをしてしまう。
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もしも勝生が、自分が予想している回答を述べたら…そう考えると胸がざわついて踏み込めないのだ。
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武藤 勝生≪…眞白?なんかあった?≫
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瀬名 眞白
…、いや…。

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たとえ想いを告げられても今の自分が応えられるわけがなく、勝生の心を傷つけてしまうだけなのに。
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武藤 勝生≪じゃあ、なんで電話してきたのさ?≫
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瀬名 眞白
…、

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ビンゴな真実だとしても、ただただ気まずくなるだけ。
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愚直な自分の中にもぎこちなさが残って、おそらく、これまでの親友という関係を保つことさえ難しくなるだろう。
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半ば勢いで電話しておきながら、心の中でしぶとく自問自答を繰り返した。
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瀬名 眞白
……

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今ここで、『聞く』のか『聞かない』のか。
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決断力が早い眞白が二者択一の選択でこんなに迷ったのは初めてのこと。
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それでも、惑いながらも知りたい。
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瀬名 眞白
(このままってのは、やっぱよくねえよな…)

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自分が立てた推測が正解なら、中学時代の仲間からの想いも然り、
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なにも気づかないままで平然と過ごすのがとても残酷に思えて。
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抱いてくれている気持ちには感謝を、そして、
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今の自分の心の占有率は光星で埋め尽くされているということを改めて真摯に伝えなければと、実直な眞白は考えた。
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瀬名 眞白
(……よし)

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一瞬キュッと唇を噛んでから、眞白は意を決したようにスマホを握る手に力を込めた。
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