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鷹野 光星【昨日はごめん。】
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鷹野 光星【今日は土曜日だし、もちろんうちに泊まるよな?】
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瀬名 眞白
【光星が仕事で疲れてないなら。】

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鷹野 光星【全然疲れてないよ。あと1時間くらいで駅に着くから、マンションで待ってる。】
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鷹野 光星【眞白が来れそうな時間帯においで。】
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瀬名 眞白
【分かった。】

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本当は、今すぐにでも飛んで行きたい衝動。
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でもそれをグッと堪えて、2時間くらい後に光星のマンションに着くことを目安に身支度することを決める。
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瀬名 眞白
(…、いや、早すぎるか?)

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いくら疲れていないと言っても、家に辿り着いてからのホッと一息つく時間は必要だ。
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俺が今から2時間後に到着してしまったら、光星は実質1時間も休憩できないことになる。
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瀬名 眞白
…、

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早く会いたいのは山々だが、今から3時間後に光星のマンション着に変更。
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浮き足立つ心を落ち着かせながら、スマホ画面の時計表示を見つめた。
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︙
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鷹野 光星思ってたよりも来るのが遅かったから、待ちくたびれたよ。
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ちょっぴり茶目っ気を滲ませたその顔は、いつもの光星と何ら変わらない。
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この間は少し雰囲気が違ったこともあって気になりつつマンションに向かったが、どうやら杞憂だったみたいだ。
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鷹野 光星眞白の到着が遅くなった理由を当てようか。
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瀬名 眞白
え?

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鷹野 光星俺が少しでも休憩できるようにって、気を遣ってくれたんだろう?
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一旦ダイニングテーブルの椅子を引いて座ろうとした俺に向けて、光星は遠慮がちに微笑んだ。
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瀬名 眞白
いや…まあ、

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鷹野 光星まさか、俺に会いたくないとかで、こっちに来るのを遅くしたわけじゃないよな?
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瀬名 眞白
違う違う!

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瀬名 眞白
会いたいのを我慢しながら、こっち来るの遅くしたんだって――…っと、

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瀬名 眞白
まあその…だな、

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鷹野 光星やっぱりそうか。…ありがとう、眞白。
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柔らかに微笑んだ光星はなぜか俺の手を取り、ソファーのあるリビングへと[#ruby=誘_いざな#]う。
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瀬名 眞白
ん?

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鷹野 光星少し、話がある。
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瀬名 眞白
…「話」?…なに?

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鷹野 光星ひとまず座って?
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促しながら自身もソファーに腰を下ろした光星の相貌に、わずかだか緊張の色が見えた気がした。
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瀬名 眞白
(…え、なに…?)

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その微弱ながらも緊迫したような陰影に、一抹の不安がよぎる。
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瀬名 眞白
…、

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鷹野 光星……
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座り慣れたソファーに二人並んで腰掛けたが、光星がゆっくりと俺に向き直り姿勢を正した。
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鷹野 光星実は…、
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鷹野 光星金曜から家を空けたのは、弓道部の引率の仕事が理由じゃないんだ。
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瀬名 眞白
え…?

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鷹野 光星…実家に帰っていた。
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一息の間の後、光星は俺をまっすぐに見つめて静かな低音を紡ぐ。
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鷹野 光星…カミングアウト、してきたんだ。
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瀬名 眞白
「カミングアウト」?

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鷹野 光星俺が…男性しか好きになれないってことを。
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『物心ついた頃から男しか愛せない』ということを、実家の両親や弟には今までずっと隠し通してきたんだ…と、光星は続けた。
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鷹野 光星眞白というこんなにも素敵な恋人のことを、親や弟にも、もう隠したくないから。
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受け入れてもらえなければ家族との絶縁は免れない、それは勇気を振り絞っての告白。
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つまりそれは、これまでの安全牌を完全に封印する決意で向き合ったということ。
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瀬名 眞白
カミングアウトして…大丈夫だったのかよ?

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鷹野 光星…ああ。
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鷹野 光星両親も弟も、思っていたよりも驚かなくて…
どうやら、昔からなんとなく気づいていたみたいだ。 -
瀬名 眞白
そっか、よかった…。

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鷹野 光星たとえ分かってもらえなくても、誰に何を言われてもこれは俺のセクシャリティだし、
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鷹野 光星絶対に引き下がらないって気合いを入れて帰ったんだけど、
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鷹野 光星なんだか拍子抜けしてしまったよ。
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瀬名 眞白
…じゃあ、分かってもらえたってことは、

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瀬名 眞白
光星の家族との関係も、これまでと変わらねー感じ?

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鷹野 光星うん、大丈夫だよ。
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鷹野 光星弟も奥さんと一緒に駅まで送ってくれて、
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鷹野 光星二人から、「今度恋人を連れて一緒に帰って来い」って、良い意味で冷やかされたよ。
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瀬名 眞白
おお…そっかあ、めっちゃいいじゃん!

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ずっと隠してきたことを暴露する側の決心も相当なものだが、それを受け入れる側も同じくらいの覚悟が必要だろうと思う。
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その大きな壁を乗り越えた光星と両親や兄弟の絆は、きっと強くて温かい。
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瀬名 眞白
(良かった…。光星も、光星の家族も、お互いに分かり合えて)

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俺と愛し合っていることで、光星のあったかい家族の関係が崩れてほしくないから。
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鷹野 光星それで、5月の連休にでも、一緒に俺の実家に行ってくれないか?
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鷹野 光星みんなに眞白を紹介したいんだ。
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瀬名 眞白
マジか!行きたい!

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光星がどんなところで育って、どんな両親に愛されて、どんな弟と切磋琢磨しながら過ごしてきたのか…その全部を貪欲に知り尽くしたい。
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そして、俺がどれだけ光星のことを想っているのか、どういう人間なのかも知ってもらいたい。
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瀬名 眞白
なんかちょっとドキドキするけど、めっちゃ楽しみ!

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前のめりになって威勢よく答えた俺に、光星は嬉しそうに目を細めた。
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