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︙
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瀬名 眞白…そういえば、光星って虫とか全然平気だよな?
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鷹野 光星
まあ、別に苦手ではないかな。

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――朝食のあと。
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眞白は食器を洗い、それを受け取った俺は布巾で拭くといった流れ作業で一緒に片づけをしていた。
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瀬名 眞白思ったんだけど…
光星は、苦手とか無理なモノとかってねーの? -
鷹野 光星
んー…そうだな…、

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瀬名 眞白幽霊とかの類も平気?
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鷹野 光星
ああ。
別に怖がるってほどでもないかな。
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瀬名 眞白子どもや動物も苦手じゃねーよな?
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鷹野 光星
むしろ好きだな。

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瀬名 眞白じゃあ、高いところや狭いところが無理…とかは?
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鷹野 光星
うーん…
好んでそういった場所に行こうとは思わないけど、苦手というほどでもないかな。
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瀬名 眞白……、よく考えたら、光星ってさ、
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食器を洗い終わった眞白は、タオルハンガーにかけてあるリネンタオルで手を拭きながらこちらに振り向く。
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瀬名 眞白めっちゃチート男子じゃね?
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鷹野 光星
…うん?どうして?

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瀬名 眞白だってさ、
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瀬名 眞白頭いい、見た目いい、虫とか平気…、
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瀬名 眞白『めっちゃ無理』っていうの、なにもねーなと思って。
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鷹野 光星
…確かにないかな。

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見た目云々は置いといて、言われてみればそうだ。
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『無理なもの』を想像してみても、すぐには思い当たらない。
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かといって、自分が眞白の言う『チート男子』だとは思わないが。
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瀬名 眞白いつもさ、落ち着いてて穏やかで…でも、男らしいところもあってさ。
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瀬名 眞白俺からしたら、虫を触れるってだけでめっちゃ尊敬。最強。
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鷹野 光星
ははっ、そうか?

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まるで自分のことのように誇らしげに言う眞白の笑顔に、つられて微笑む。
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瀬名 眞白……あ、光星、食後の珈琲飲むだろ?
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瀬名 眞白俺は、炭酸水…っと。
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不意に、くるっと冷蔵庫に向き直った眞白は、まず俺の好きなアイス珈琲のペットボトルを中から取り出した。
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愛用しているガラスコップに、幾つかの氷とアイス珈琲を先に注いでくれる。
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鷹野 光星
……

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見慣れたようなその光景だが、当たり前だと思ってはいけない尊い状景。
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眞白はいつも、自分のことよりも俺のことを第一に考えてくれている。
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…そう思った刹那、
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鷹野 光星
――あったよ…。

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瀬名 眞白…んー?
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鷹野 光星
俺にとって…『無理なこと』。

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巡る思考を引き寄せながら呟いた。
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瀬名 眞白え?あった?「無理なこと」?
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鷹野 光星
…ああ。

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瀬名 眞白え、なになに?
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アイス珈琲を注いだガラスコップをダイニングテーブルに置いた眞白は、興味深そうにこちらを見遣る。
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その曇りのない眼差しに向けて柔らかに微笑みかけた俺は、静かに続けた。
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鷹野 光星
少し主旨からはズレてるかもしれないけど。

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瀬名 眞白そうなのか?
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瀬名 眞白でもいいよ、知りたい。
「無理なもの」ってなに? -
鷹野 光星
…『眞白を失うこと』。

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瀬名 眞白えっ…、
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鷹野 光星
おまえを失うことだけは、俺にとって耐えられない『無理なこと』だ。

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瀬名 眞白――光星…。
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鷹野 光星
眞白がいなくなるだとか、想像するのも嫌だな。

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瀬名 眞白まさかのそれ…、
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瀬名 眞白なんか照れる。めっちゃ嬉しいけど。
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鷹野 光星
……

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食器を拭き終えた俺は、はにかむ眞白の元までゆっくりと歩み寄る。
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鷹野 光星
もしも眞白を失うことがあったら…、

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鷹野 光星
ほんの少しそう考えただけでも、とても怖いよ…。

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指先でスッと眞白の唇の輪郭をなぞり、眞白が次に何か言葉を発するよりも先にそこに唇を重ねた。
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鷹野 光星
…っ、

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瀬名 眞白…、ッ――
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きっと眞白は、『絶対に失ったりしねーよ』と、俺の唯一の弱点を強い笑顔で笑い飛ばしてくれようとしたのだろう。
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でも今は、俺の抱く『弱点』を大丈夫だと打ち消されるよりも、この想いを丸ごと受け止めてほしい…そう思った。
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瀬名 眞白っ…、こ、うせ…――
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鷹野 光星
ッ、…っ

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眞白から零れ出る声をも取り込むように、深く口づけてその唇を塞ぐ。
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角度を変えながら深まるキスに酔いしれるように、眞白はゆっくりと俺の後頭部に手を回した。
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瀬名 眞白……っ、ヤバイ…、
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瀬名 眞白めっちゃ欲しい、かも…。
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鷹野 光星
「かも」…?

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鷹野 光星
俺は今、無性に眞白を抱きたいけど…?

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背筋をゆっくりと滑る眞白の指先が合図のように、俺は眞白の首筋を甘く吸い上げた後、その体をベッドの上に組み敷いた。
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瀬名 眞白ん…、…ッ、あっ…
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鷹野 光星
…ッ、っ…!

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強い熱情を眞白の中に何度も打ち付けながら、俺は震えるほどの快楽に飲み込まれ、
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眞白は迫る恍惚に溺れるように俺の背を懸命に掻き抱く。
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紅潮した艶やかな肌に翻弄されて眩暈にも似た快感を貪りながら、お互いを激しく揺さぶり合い、その体も心も欲して止まない。
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瀬名 眞白…っ、こうせいっ…、ぁっ!
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鷹野 光星
っ、く…っ、ッ!

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瀬名 眞白も、俺……ヤバイ…っ、
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瀬名 眞白んんッ…、あっ……イ、クッ――!
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鷹野 光星
…まし…ろっ…、ッ、んっ…――!!

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一足先に達した眞白の体が弛緩してすぐ、その後を追いかけるように、強い快楽に絡め取られた俺の愛欲が一気に弾けた――。
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︙
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瀬名 眞白光星…、
いきなりスイッチ入るときがあるから…、 -
瀬名 眞白抱かれたくなるの、我慢できなくなるじゃん…。
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俺の体に寄り添ったままの眞白は、今も残る気怠い甘美を押しのけるようにして呟いた。
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そんな眞白に向けて、ほんの少し揶揄するように口端に笑みを湛える。
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鷹野 光星
眞白だって、そういうときがあるけど?

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瀬名 眞白え…、
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鷹野 光星
眞白がすごくかっこよくて…抱いてほしくてたまらないときがある。

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瀬名 眞白マジか…、じゃあ、お互いさまだな…。
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ククッと笑って掠れたようになる眞白の声が妙に色っぽくて、思わずその頬に吸い付くようにキスをした。
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瀬名 眞白んんっ…、
ほっぺたにキスマークついたりして…。 -
鷹野 光星
あっ…、ごめん。

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瀬名 眞白んーん…、別に全然いいけどさ…。
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瀬名 眞白その代わり、光星には抱き枕になってもらうー…。
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鷹野 光星
ははっ、喜んで抱き枕になるよ。

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俺の最大の弱点は、まさにこの腕の中の眞白。
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最愛の恋人に出会い、自分にとっての『弱点』を知れたこと…
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それは、紛れもない一つの奇跡だ。
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...Recognizing Your Weakness, a Miracle. END
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【あとがき】まずは、お読みいただきありがとうございます(多謝♡
眞白の虫嫌いのエピソードを書こうかな…と思ってぽちぽち書き始めてたら、光星の『無理だと思うこと』にフォーカスしたお話になっていきましたφ(・ω・。)かきかき -
ちなみに、眞白の虫嫌いについては、【ポッドキャスト風?:碧芭編】やキャラの裏話にもちらりと書いておりますので、まだご覧になってない方はぜひ♪
あと、高2の頃の眞白について回顧している光星ですが、その辺のお話は【グレースケール本編:体育祭編】に書いております♪(懐かしい…笑 -
今回のお話、弱点を知れたことが『奇跡』なのだと思い改めるのが、光星らしいかなと。
眞白を失うことを恐怖であると思うほどに無理なことと捉える光星ですが、もちろん眞白もそれは同じだろうなあと思います。
『虫を鷲掴みにしないなら、光星を失っちゃうぞ』と言われたら、おそらく眞白は震えながらでも鷲掴みにするでしょうな…笑 -
というか、戦闘モードの眞白は喧嘩にものすごく集中しているので、そのときだけは虫を怖がらないんですけどねぇ…(というか、虫がいることに気づいていない
喧嘩が終わってから、『…えっ?!虫?!(ひえええっ』ってなる笑 -
本編がほとんど眞白視点なので、エピソードは別視点が多いな…と思いつつ。
そして今回は、ほんの少しだけ微エッチを追加してみました((ノェ`*)っ))タシタシ笑 -
エピソード話、みなさんに楽しんでもらえると嬉しいです♡
ゆさみん
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