6-6 俺だけの考えなんだし。

  • 瀬名 碧芭

    ね、母さんから眞白に電話があったよね?

  • 瀬名 眞白

    あったけど、出てない。

  • 瀬名 眞白

    LIN〇で「心配ないから」とだけ送っといた。

  • 瀬名 碧芭

    どうしてさ。
    母さんが電話したときくらいは出てあげてよ。

  • 瀬名 碧芭

    眞白の声、母さんも聴きたいと思うよ?

  • 瀬名 眞白

    俺と密に関わったら、母さんの負担になる。

  • 瀬名 碧芭

    …え?

  • 瀬名 眞白

    俺と話したことが父さんに知れたら、さりげなく母さんに余計な探りを入れてきそうだし。

  • 瀬名 眞白

    俺のこと無視するくせに、父さんはそういうところ執念深いっつーか…、

  • 瀬名 眞白

    鬱陶しいじゃん、そういうの。

  • プリンを口に運んでカラメルソースの風味を味わいながら続ける。

  • 瀬名 眞白

    母さんは父さんには強く言えねーだろうし、父さんからチクチク言われたらかわいそうじゃん。

  • 瀬名 碧芭

    …眞白…

  • 瀬名 眞白

    碧芭はさ、取ろうと思えば父さんとうまく距離を取れると思うけど、

  • 瀬名 眞白

    あの二人は夫婦だし、専業主婦の母さんは距離も取りづらいだろうから。

  • 瀬名 碧芭

    眞白…、そこまで考えてるなんて思わなかった。

  • 瀬名 碧芭

    ごめんね、なにも気づきもしないで。

  • 瀬名 眞白

    謝る必要なんかねーよ。俺だけの考えなんだし。

  • 瀬名 眞白

    …とにかく。

  • 瀬名 眞白

    いいんだよ、これで。

  • 瀬名 眞白

    母さんにとっても、俺にとっても。

  • ちょっぴり諭すように碧芭を上目遣いに一瞥した後、プリンの上に乗ったサクランボを口に含んだ。

  • 瀬名 碧芭

    …おいしい?

  • 瀬名 眞白

    …ん。

  • 瀬名 眞白

    でも、このプリンアラモード、ちょっと豪華すぎて胃がもたれるかも。

  • 瀬名 碧芭

    あはっ、お年寄りみたいなこと言うんだから。

  • 瀬名 眞白

    俺、普段からあんまりガツガツ食わねーもん。

  • 瀬名 碧芭

    だよね。

  • 静かに笑って一息つくようにグラスのミネラルウォーターを口にした碧芭は、「話は戻るけど」と告げて優しく俺を注視した。

  • 瀬名 碧芭

    学校側は、向こうが悪くて眞白に非はないって言ってくれてたらしいから、

  • 瀬名 碧芭

    母さんも、もちろん僕も安心はしたけど…、

  • 瀬名 碧芭

    眞白はそのとき、怪我とかは大丈夫だった?

  • 瀬名 眞白

    へーき。

  • 瀬名 眞白

    久しぶりの喧嘩だったから手首を少し捻ったけど、他に怪我はねーよ。

  • 瀬名 眞白

    俺が喧嘩強いの知ってるだろ?

  • 瀬名 碧芭

    まあ、知ってるけど…。

  • 瀬名 碧芭

    僕もだけど、母さんも詳しい話を眞白から直接聞けてないから心配してたよ。

  • 瀬名 眞白

    じゃ、こっそり母さんに伝えといてよ。

  • 瀬名 眞白

    「眞白は怪我もしてないし、めっちゃ元気だった」って。

  • 瀬名 碧芭

    うん、それはもちろん。

  • 瀬名 眞白

    つーか、今日は喧嘩のことを心配して俺に会いに来たってわけ?

  • 瀬名 碧芭

    …、それもあるかな。

  • 瀬名 眞白

    マジで大丈夫だから。

  • 瀬名 眞白

    …それより、帰国したのって一昨日だろ?疲れてねーの?

  • 瀬名 碧芭

    それはとっても疲れてるよう…。

  • 瀬名 眞白

    じゃあ帰って寝ろよ。食ったら即行帰ろうぜ。

  • 瀬名 碧芭

    えーっ、眞白の顔をもう少し見ていたい。

  • 瀬名 碧芭

    自他ともに認めるブラコンだから、僕。

  • 瀬名 眞白

    あー…うぜー。

  • わざと苦く笑って見せる。

  • でも、本音を言えば、弟想いのその気持ちがあったかくて。

  • デザートフォークで刺した兎りんごを齧る頃には、嬉しく思う気持ちが面に出てしまっていた。

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