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瀬名 碧芭今はもう欲しくない?また買ってあげようか?
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瀬名 眞白
もう持ってるのに、さすがにいらねーよ。

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瀬名 碧芭じゃあ、他に欲しいものってないの?
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瀬名 眞白
あったら自分で買うよ。そのためにバイトしてんだし。

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瀬名 碧芭偉い、眞白…!相変わらず自慢の弟だ…!
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瀬名 眞白
高校生ならバイトするヤツも普通にいるって。

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瀬名 碧芭そうだけど。
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瀬名 碧芭眞白はね、僕にとって小さい頃からずっと…、
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瀬名 碧芭いや、眞白が生まれたときからずーっと自慢の弟だから。
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瀬名 眞白
(…始まった)

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瀬名 碧芭生まれたときもね、新生児室で他に並んで寝ている赤ちゃんよりもずっとずーっと、
眞白は可愛かったなあ。 -
瀬名 碧芭眞白は王子様みたいで、他の赤ちゃんはみんなおサルさんみたいで。
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瀬名 眞白
…それ、もう何回も聞いた。

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時々…いや、わりと頻繁に、碧芭は誰彼かまわず弟自慢を繰り広げる。
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かなりブラコンが入っているが、俺にとっては優しくて良い兄貴だ。
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瀬名 碧芭…ねえ、眞白。
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瀬名 碧芭バイトが終わったら、ご飯行かない?
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瀬名 眞白
あー…飯は無理。

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瀬名 眞白
叔母さんが作ってくれた晩飯、先に食べてきてるから腹減ってねーんだよ。

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瀬名 碧芭じゃあ、デザートだけでも食べない?
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瀬名 碧芭僕はまだ晩御飯を食べてないから、何か食べるけど。
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瀬名 眞白
え、まだ飯食ってねーの?!

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瀬名 眞白
もうすぐ22時だぞ?

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瀬名 碧芭今日はちょっと忙しくて、食べる暇がなかったんだよ。
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瀬名 眞白
マジか…社会人って大変だな。

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瀬名 碧芭まあ、それなりにね。
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瀬名 碧芭…ね、行こうよ?
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瀬名 眞白
んー…いいけど、

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瀬名 眞白
明日も学校だから、長時間は無理な。

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瀬名 碧芭えー…久しぶりの兄弟水入らずなのに?
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瀬名 眞白
碧芭だって明日も仕事だろ?

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瀬名 碧芭そうだけどさ…。
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瀬名 眞白
…っと、お客だ。

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瀬名 眞白
とりあえず、もうすぐバイト終わるから。

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瀬名 眞白
また後でな。

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大人げなくいじける碧芭にそっと笑いかけて、小走りにレジに向かった。
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︙
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碧芭の行きつけだというレストランの店内は、22時をとっくに過ぎているというのに客の減りを感じさせず賑わっていて、
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仕事帰りらしきスーツ姿のビジネスマンや、仲良さげなカップルが楽し気に談笑している。
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奥の席に通された俺たちは向かい合って椅子に腰掛け、静かに流れるピアノ音楽をBGMに互いの近況を話していた。
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瀬名 碧芭そういえば、母さんから喧嘩騒ぎを起こしたって聞いたよ?
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注文したハンバーグステーキを丁寧に切り分けながら、碧芭は俺を見遣る。
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プリンアラモードを前にデザートスプーンを手にした俺は、少しばかり怪訝な顔を晒した。
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瀬名 眞白
今頃?

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瀬名 眞白
それ、学園祭のときの話だけど?

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瀬名 碧芭ちょうど学校から家に電話があった頃、僕、日本にいなかったんだよ。
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瀬名 碧芭研修でニューヨークにいたから。
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瀬名 眞白
研修?ニューヨークで?

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瀬名 碧芭うん。父さんに言われてね。
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瀬名 碧芭父さんの古くからの友達が経営している法律事務所がニューヨークにあるんだけど、
そこでの仕事を見て学んできなさいって言われてさ。 -
瀬名 碧芭国際弁護士の資格は取ってないから、ほとんど見学状態で、雑務しかできなかったけど。
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瀬名 眞白
…ふーん。

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瀬名 碧芭僕が向こうで何かと忙しいだろうからって、帰国した一昨日まで、母さんは何も言ってこなかったんだよ。
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瀬名 碧芭語学力も少し鈍ってて、最初の頃は僕も苦戦してたし、
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瀬名 碧芭その状況を母さんには電話で聞いてもらってたから、遠慮して言えなかったのかもね。
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瀬名 眞白
…なるほど、そっか。

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母親は、温厚で優しい人だ。
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独身の頃はキャビンアテンダントをしていたらしいが、父親と結婚して以来、専業主婦に徹している。
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俺や碧芭のことをとても大切に考えてくれながらも、あの独裁者的な父親の嫁を務めているわけだから、
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なかなか根性の据わったの良妻賢母だと思う。
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