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鷹野 光星俺は…、
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鷹野 光星『生徒』の瀬名を心から大切に想う。
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鷹野 光星大切すぎて、その想いを抑え込むのに苦労するほどだ。
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瀬名 眞白
…、

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『生徒』という形容詞が、鷹野の想いの隠れ蓑。
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真摯な瞳に吸い込まれそうに鷹野を見つめて、その一言一句を受け止める。
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鷹野 光星だから、おまえに対して過保護にならないようにだとか、いろいろと気を付けてるつもりだが、
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鷹野 光星万が一にも『生徒』のおまえになにかあれば、
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鷹野 光星確実に俺は『鷹野 光星』じゃなくなる。
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瀬名 眞白
…「鷹野光星じゃなくなる」?

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鷹野 光星大切な『生徒』の瀬名のためなら、俺は鬼にでも蛇にでもなるってことだ。
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瀬名 眞白
え……やばいじゃん。

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鷹野 光星やばいんだよ。
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鷹野 光星それはもう、きっと冷酷非道になるから。
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ほんの少し自虐的に目尻に皺を寄せながらも、鷹野は茶目っ気を含んだ笑みで言った。
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それにつられて、俺も口角を上げた笑みを浮かべる。
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瀬名 眞白
なんかちょっと、見てみたい気もするな…冷酷非道な鷹野。

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鷹野 光星できれば、そうはなりたくない。
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鷹野 光星俺がそうなってしまうときは、
瀬名の身に理不尽な、良くないことが起きるときだから。 -
瀬名 眞白
…、なるほど。

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鷹野 光星だから瀬名には、いつも笑顔でいてもらわないと困る。
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瀬名 眞白
…うん。

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鷹野 光星俺はとても心配症だから、瀬名が少しの怪我を負っただけでも気が気じゃない。
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瀬名 眞白
…今みたいに?

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鷹野 光星今の怪我なんて、俺にしてみれば大怪我だよ。
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鷹野 光星本当に心臓に悪い。
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鷹野 光星おまえが怪我するくらいなら、自分が怪我した方がずっとマシだ。
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瀬名 眞白
それは俺が困る。

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瀬名 眞白
鷹野には、常に無傷でいてもらわねーと。

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鷹野 光星それはこっちのセリフだよ。
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鷹野が思わず吹き出すから、俺も一緒に丸い笑顔になった。
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…『好きだ』と、まだ公には言えない今。
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それでも、そのわずかな隙間をかいくぐって伝わる想いというのがある。
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例えば、誰がどんなに食い止めようとしても、その想いは加速を止めない。
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むしろ、どんどん『好き』が膨らむばかりだ。
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鷹野 光星…あっ、
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鷹野 光星そういえば、早くその怪我の手当をしないと。
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瀬名 眞白
あー…話に夢中ですっかり忘れてた。

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瀬名 眞白
なんかもう、乾いてきてる気もするけどな、傷口。

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鷹野 光星そんなわけないだろう、
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鷹野 光星大丈夫か?痛みは?
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瀬名 眞白
だからそんな痛くねーって。大丈夫。

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鷹野 光星とにかく、救護テントに行こう。
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瀬名 眞白
はいはい。

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鷹野 光星……瀬名。
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瀬名 眞白
ん?

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鷹野 光星いつもおまえのことを見守ってるから。
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瀬名 眞白
…っ、お、おう…。

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いきなりの熱のこもった囁きに、途端に狼狽えてドギマギしてしまう。
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瀬名 眞白
(せっかくなんとか冷静でいられたっつーのに…、)

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瀬名 眞白
卑怯だぞ、鷹野。

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鷹野 光星…?なにが?
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瀬名 眞白
いちいち全部、かっこよすぎんだよ。

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鷹野 光星なに言ってるんだ、それは瀬名だろう。
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瀬名 眞白
なんでよ、俺、別に――

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鷹野 光星自覚がまったくないようだけど、
おまえのように全てにおいてかっこいいヤツはそういない。 -
瀬名 眞白
なーに言ってんだよ。
そんなわけねー。
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鷹野 光星そんなわけある。
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鷹野 光星…ったく、いつもヒヤヒヤするよ。
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瀬名 眞白
「ヒヤヒヤ」ってなによ?

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鷹野 光星……内緒。
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意味深に微笑んだ鷹野は、それ以上は誤魔化すように俺の肩をポンとやった。
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…昨日より今日、今日より明日、ずっと固く結ばれていく絆。
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『グレースケール』を『有彩色』が少しずつ塗り替えていく。
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俺も、きっと鷹野も。それを強く実感していた。
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【体育祭 編】END
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