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こういうとき、このまま黙って静かに話を聞くのが普通なのかもしれない。
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鷹野にとって辛い経験だったってことなら尚更、俺はもちろん鷹野のどんなことでも全力で受け止めるつもりだ。
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でも、
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瀬名 眞白
…ちょっと待て。

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鷹野 光星…え?
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瀬名 眞白
火傷の痕だとかそんなこと、ここで話しても大丈夫なのかよ?

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アームカバーの下には、黒木からすれば見られたくないものを隠しているはずで。
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自分の知らないところで自分以外の誰かに、ある種の『秘密』を暴露されるのは、黒木にとって嫌なことではないのか…
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そう考えると自然と眉間に皺が寄った。
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鷹野 光星…瀬名、怖い顔してる。
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瀬名 眞白
悪い。俺、なんつーか…、

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瀬名 眞白
こういうのってさ、本人から直接聞くならいいけど、

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瀬名 眞白
本人のいないところで話すのって、良くねー気がしてさ。

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瀬名 眞白
それに…、

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鷹野 光星…「それに」?
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瀬名 眞白
……、

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もう一つ、大事なこと。
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瀬名 眞白
…鷹野にも。

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鷹野 光星…俺?
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瀬名 眞白
鷹野にも、『勝手に暴露した嫌ヤツ』にはなってほしくねーから。

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鷹野 光星―――…
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瀬名 眞白
万が一にも鷹野が他で話したことを黒木が知ったとして、

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瀬名 眞白
黒木が鷹野のことを悪く思わないとも限らねーじゃん。

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瀬名 眞白
そうなったら鷹野、またしんどい思いが増える。

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鷹野 光星瀬名…。
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瀬名 眞白
嫌だからさ、俺。

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鷹野 光星え?
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瀬名 眞白
鷹野がしんどくなるの、嫌だから。

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鷹野 光星…、瀬名、おまえ…。
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瀬名 眞白
…、

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…マズイ。
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なんとなく神妙になってしまったこの空気を変えないと。
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これ以上、俺の奥底の本音を剥き出しにしてしまうと鷹野が混乱する。
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一旦、リセットしなければ。
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ひとまず、ニッコリしろ、俺。
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瀬名 眞白
なんつーか、心配じゃん?

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瀬名 眞白
仲良く仕事してもらわねーと、二人は俺のクラスの担任と副担だし?

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鷹野 光星…、
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瀬名 眞白
な?

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鷹野 光星……ほんとに、おまえは…、
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鷹野 光星まっすぐで優しいヤツだな。
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瀬名 眞白
そ、そんなことねーよ、

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瀬名 眞白
優しいとか、そんなんじゃねーから。

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鷹野 光星いーや、優しい。
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鷹野 光星黒木先生や俺のことまで考えてくれて、とっても優しいと思うぞ。
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瀬名 眞白
もう言うな、背中がムズムズする。

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めっちゃ照れる。
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鷹野に褒められるのはすごく嬉しいけど、照れ隠しに素っ気なくそっぽを向いた。
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鷹野 光星さっきの話だけど、大丈夫だから。
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鷹野 光星黒木先生には、前から許可をもらってる。
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瀬名 眞白
…そうなのか?

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確認するように鷹野に視線を戻した。
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鷹野 光星俺が話したいって思ったら、気にせずいつでも話していいと言われてる。
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鷹野 光星だから…このままさっきの話の続きを聞いてくれるか?
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瀬名 眞白
…ん、

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瀬名 眞白
分かった。いいぜ。

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どこか縋るような鷹野の眼差しに、深く頷いて見せた。
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